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勇者パーティから勇者を追放したので、もう魔王城には行きません!  作者: おやまみかげ


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第七話 水を求めてレッツゴー!


 ♣︎


 共に行こうとするメデリとルディアを、アルデオは手で制した。

 

「いや、二人はレシとファファと待っててくれ」

「そういうわけには行きませんよ、私は僧侶ですから」

「ならルディアは――」

「ダメ! あたしがいないとアルデオ足遅いじゃん!! メデリが倒れたらどうすんの?」


 ——痛いところをついてくるな。

 

 戦士である俺は、二人に比べて素早くは動けない。

 これまでの戦闘では、フォルが先制攻撃を仕掛け、俺は後衛二人を守ることに専念していた。

 

 でも今、その戦い方はできない。

 俺が攻撃と守備、どちらも担う必要がある。

 でも、二人も一緒に行くとなると……。


「ここが襲撃されないとも言えませんよね……」

「肉焼いちゃったし、魔族が来てもおかしくないんだよねぇ……」


 問題は、レシとファファを護る者がいないということだ。

 とはいえ二人が残ってくれたとしても、どちらも攻撃職ではない。


「それなら、俺たちも一緒に行くよ!」


 レシの言葉に、ファファもコクコクと頷く。


「お前ら、外は危ないんだぞ!?」

「だって、アルデオたち水の場所知らないだろ?」

「わたしとおにいちゃんは知ってるもんね!」


 真っ直ぐに見つめてくる兄妹。

 残してくぐらいなら、連れていった方が安全か……?


「メデリ、どう思う?」


 俺はこういう頭を悩ませるようなことは向いてない。

 賢い彼女が同じ考えなら、俺は自分の考えに自信が持てる。


 メデリは顎に指を当てながら少し考えると、首を縦に振った。


「置いていくよりは安全でしょう。私たちが盾になればいいですし」

「そうだね! みんなで行こ〜う!」

「いや、二人がそれでケガする必要はないからな!?」


 盾役は俺だけで十分だ。二人が傷つく必要はない。

 それに、レシとファファにそんな姿を見せるわけにはいかないだろ?


「大丈夫だって! あたしが守備力も瞬発力も最大にするから、アルデオが護ってね!」

「最悪、倒れても蘇生できますから。安心して盾になってください」

「……お前らさ」


 そんな俺たちのやり取りを、兄妹は楽しそうに聞いていた。



 

 *


「いいか二人とも、絶対俺より前に出るなよ?」

「メデリおねえちゃんと手繋いでるからだいじょうぶ!」

「ファファは偉いなー! レシもルディアに手繋いでもらったらいいんじゃないか?」

「バ、バカにすんな! 俺は男だから護るほうだよ!!」


 顔を赤くしながら、俺の半歩後ろを歩くレシ。

 言いつけを守って前には出ないが、それでも女性陣よりは前を歩いている。


 ……本当にファファを護りたいんだな。


 妹がまだ幼いとはいえ、レシもまだまだ子供だ。

 それでもその行動からは、揺るぎない意思を感じた。


「ねぇレシ、水場までってまだかかるの〜?」

「あともう少しで着くよ」

「よかった! あたし喉乾いちゃってさ〜」

「そういえば、レシたちは水が止まってからどうしていたのですか?」


 村の大人たちは全滅し、たまに来る孤児院の人間から二人は逃げていた。

 そんな生活をしていては、水なんて手に入らないだろう。

 だが、ひと月も水無しで生きられるはずがない。


「まさか……お前ら兄妹だけで水場に行ってたのか!?」

「そんな危ないことしないよ。貯めてあった水を少しずつ飲んでたんだ。あの村は水がよく来なくなるから、みんな貯めておくんだよ」

「えぇ!? そんな古い水飲んでお腹壊さないの!?」


 レシの言葉に、ルディアが大声を上げる。

 そんな彼女の姿を不思議そうに見つめながら、少年は当たり前のように答えた。

 

「だから、濾してから飲むんだよ」

「小さいときに、飲み方をおかあさんから教えてもらうんだよ!」

「なるほど、生き抜くための知恵というわけですか……」

「あ! ほら、あそこだよ」


 レシが前方を指さす。


 喋るのに夢中になってて気づかなかったが、言われてみれば水が流れる音がするな。

 

 目指していた水場は、すぐそこまで迫っていた。



 

 *


「すごい場所だなー」

「これは……」

「めっちゃきれ〜!!」

 

 目の前に広がる大きな滝。

 圧倒的な自然の美を前に、メデリとルディアが感嘆の声を上げた。

 これなら魔獣じゃなくても、この場所が気に入るのは当たり前のことだろう。


「な! すごいだろ!」

「みんなでピクニックに来たんだよー!」


 久々に訪れることのできた思い出の場所に、兄妹も嬉しそうにしている。


「でもさ、魔獣なんていなくない?」

「そうですね、見える範囲にはいないようですが……」


 二人が言うように、問題であるはずの魔獣がどこにも見当たらないのだ。


「それなら、なんで水来ないんだろうなー」

「あ! もしかしてあれじゃない!?」


 ルディアが指をさした場所には、巨大な木が倒れていた。

 近づいてみると、細い水路を木がすっかり塞いでしまっている。


「これが原因かー」


 これ避ければ問題解決だな!


 アルデオが倒木に手をかけた瞬間——。


「グオォォォォォォ!!」

「やばい!! 魔獣戻ってきた!!」

「ルディア、早くアルデオの援護を!」

「了解!!」


 メデリが兄妹を背に隠し、ルディアが舞い始めた。

 彼女の強化で、俺の身体は重力を忘れたかのように軽くなる。


「これでも喰らえ!!」


 持ち上げた倒木を、魔獣目掛けて投げようとした時——。


「レシ! 待ってください!!」


 メデリの悲鳴に近い声が響き渡る。

 そして——


「ダメだよ!! やめてよアルデオ!!」


 レシが両手を広げ、俺の前に立ちはだかった。


 


 この村で生きてきた大人たちの知恵は、幼い兄妹の命を救いました。

 ファンタジーなんだから、魔法があればなんでも解決……?

 本当にそうでしょうか?

 みんながみんな魔法を使えるとは限りませんし、

 もし使えるなら、村が被害を受ける前に対処できたかもしれない。

 世界はそんなに優しくはないのです。



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