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勇者パーティから勇者を追放したので、もう魔王城には行きません!  作者: おやまみかげ


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第六話 甲斐性なしのホラ吹きと賢い少年。


 ♠︎


 街へと向かいながら、フォルはレウィスの言い分を聞いていた。

 

「——要するに、みんなを騙したわけか……」

「騙したというか、後に引けなくなって……」

「そもそも、なんで勇者パーティに選ばれたなんて嘘をついたんだい?」

「……良いところを見せたら、彼女が結婚してくれるかなと思って」


 事の発端は、レウィスが彼女に見栄を張りたいがために、勇者パーティに選ばれたと嘘をついたことだ。

 勇者である僕の名前は公表されるが、それ以外のメンバーが大々的に知らされることはない。

 その穴をついたのだろう。

 

 しかしどこかでそれを聞きつけた人々が、街の英雄を応援したいと旅の資金を援助してくれたのだ。

 話が大きくなってしまい、後に引けなくなったレウィスは、とりあえず形だけの旅に出た。

 そして、出会った旅人同士でパーティを組んだのだが――現在に至る。


「それで? その彼女とは結婚できたのかい?」

「それがさ……絶対バレないと思ったのに、何故かバレたんだ!! 『あんたみたいな甲斐性なしのホラ吹きとは結婚できない』って、出て行っちゃったんだよ!!」


 レウィスには申し訳ないが、彼女の考えが真っ当だと思う……。

 借金、という言い方をしていたということは、資金も当に尽きているのだろう。

 

「因みに、援助してもらったお金は何に使ったんだ?」

「聖都に寄った時、ずっと欲しかった竪琴がちょうど売ってて……」

「それが今背負っている竪琴か」

「うん……。吟遊詩人なら誰もが憧れる品なんだよ、これ。だからどうしても欲しくて……」


 おずおずと、竪琴をレウィスは差し出す。

 

 確かに素人目でも素晴らしい作品だ。

 派手な作りではないが、綺麗な彫刻が施されており、作り手の魂が込められている。

 その道を行く者なら、喉から手が出るほど欲しいだろう。


 ……かといって、彼の行いはとても褒められたものではないが。


「お金、返せるアテはあるのか?」

「……ない」

「そうだよな……」

「でも、頑張って返すし!」


 アテはないのにやる気だけはあるようだ。

 仲間になってしまったからには、他人事では済ませられないか……。


 ん……? 勇者パーティ……?


「大丈夫だ、レウィスは勇者パーティの一員じゃないか!」

「あ、そっかー! 相棒は勇者様なんだった!!」

「もうホラ吹きのレウィスじゃないぞ!!」

「ホラ吹きのレウィスって……まぁ事実だけどね……」


 結果として嘘ではなくなったが、集めたお金はいずれ返さなくてはいけない。


「でも、お金は返さないといけない」

「うん、この旅でちゃんと貯めて返すよ」

「次同じような嘘をついたら、その竪琴売るからな」

「えぇ!? それは流石にひどいよ!! ちゃんと返すからぁ!!」


 雲ひとつない綺麗な青空に、レウィスの悲痛な叫びが響いた。




 ♣︎


「お前ら、なんで水浸しになってんだ……?」


 アルデオがレシを連れて焚き火へと戻ると、三人がずぶ濡れの状態で突っ立っていた。


「あの……これは――」

「あのね、二人はすごい魔法使いなんだよ!!」


 メデリが状況を説明しようとしたところに、ファファが笑顔を被せる。

 そんな妹の姿に、レシも嬉しそうにアルデオとの約束を語り出した。


「——なるほど、アルデオも同じでしたか」

「同じ? そっちももしかして」


 こくりと、彼女が首を縦に振る。


「いいなぁ、二人とも弟子ができて〜! あたしも弟子欲しい!!」

「ルディア、あなたもファファの師匠ですよ?」

「え? あたしも!?」

「はい。私たちは二人で魔法使いですから、あなたにも協力してもらわないと困ります」


 メデリの言葉に、ルディアが照れくさそうに笑っている。


 ——フォルには悪いが、ここに残って本当によかった。

 二人のこんな顔、旅してる時には見られなかっただろうからな。


 女同士ということもあって、この二人は旅をしてる時から仲は良かった。

 ただ、メデリが得意げに胸を張ったり、ルディアがちょっと拗ねてみたりなんてことは一度も見たことがない。


 こっちが素なんだろうな。


 兄妹と盛り上がる二人の姿に、アルデオも気付けば笑顔になっていた。




 *


「でもよー、水がないのは困るよな。メデリの水魔法って、飲んでも平気なのか?」

「……止めた方がいいと思います。お腹を下すのがオチです」

「だよねぇ。どっかに水ないかなぁ……」

 

 昼食を取り終わった三人は、焚き火を囲みながら頭を悩ませていた。


 やっぱり生活してくなら、水はないと困る。

 火は起こせばいい、畑がなくても魔獣を狩ればいい。

 ただ、水は雨でも降らない限りは無理だ。


「そういえば、父ちゃんが言ってた!」


 それまでアルデオの隣で大人しく話を聞いていたレシが、大声を出しながら立ち上がる。


「びっくりした……。急にどうした、レシ」

「父ちゃんが言ってたんだ! 魔獣が塞いでるって!!」


 魔獣が塞いでる……?

 なんの話をしてるんだ?


 首を傾げるしかない俺とルディア。

 だが、メデリはレシに一つずつ問いかけた。

 

「レシ、塞いでいるとはどういうことですか?」

「この村、よく水が来なくなるんだ! そうすると父ちゃんたちが向こうの森を見に行ってた!」

「水が来なくなる時は、いつも魔獣が塞いでいたのですか?」

「うん! 水があるのはあそこだけだから、魔獣たちもあの場所が好きなんだって」

「ありがとうございます。よく覚えていましたね」


 褒められて、レシが嬉しそうに笑う。


「よし! なら森を見に行くか!」


 俺の言葉に、ルディアとメデリが立ち上がった。


 


 大丈夫なのか、勇者パーティ……。



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