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勇者パーティから勇者を追放したので、もう魔王城には行きません!  作者: おやまみかげ


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第三話 腹が減ってはなんとやら〜。


 ♠︎


「どうしてこんなことに……」


 あれから三人とは別れ、フォルは一人で先へと進んでいた。

 

 一旦国へ戻ろうかとも考えたが、勇者が勇者パーティを追放されたなんて、恥ずかしくて言えるはずもない。

 それに……


「追放されたと言うよりも、送り出されたの方が正しい……」


 三人は僕が見えなくなるまで、ずっと手を振ってくれていた。

 アルデオからは申し訳なさを感じたし、メデリは心から心配してくれていた。

 ルディアに至っては——


「フォル、これ好きだったよね! 持っていってよ!」


 と、携帯食まで用意してくれていたのだ。


「僕がみんなに、役目を背負わせてしまっていたんだろうか……」


 今となってはもう、それを問うこともできない。


「とりあえず、僕も先に進むしかないか」


 一人になったから魔王討伐はできませんでした。


 なんて、そんな無責任なことは絶対に言えない。

 ——きっと、使命に燃えてくれる人物がいるはず。


 そんな期待を胸に、フォルは街を目指して歩き続けた。




 ♦︎


「行っちまったな……」

「行ってしまったというより、送り出したの方が正しいと思います……」

 

 フォルの背中が見えなくなってからも、アルデオとメデリはその方角を見つめていた。


「二人も、本当はフォルと行きたかった?」


 昨日の夜、二人はあたしの考えに賛同してくれた。

 でも、それはあの場のノリだったかもしれない。


 ——あたしが、勇者パーティに選ばれた時みたいに。


「そういうわけではありませんよ。ただ……」

「ただ?」

「心配は心配なのですよ。これでも三ヶ月、共に旅してきた仲間ですからね」

「そうだなぁ。ま、フォルなら大丈夫だろうけどさ!」


 アルデオが明るく笑い飛ばす。


 あたしもアルデオもメデリも、フォルだけに背負わせたいわけじゃない。

 でも、それでもやっぱり子供たちを置いては行けない。

 もし二人が着いていくと言っても、あたしはここに残るつもりだった。


「つーか、どうするよこれから」

「廃村になって間もないとはいえ、なかなかの状態ですよね……」


 ひと月ほど前、魔族に襲われて廃村になったここは『クィエス』というらしい。

 ……休まるどころの話じゃないけどさ、現状。


 井戸は枯れ、土地は痩せ、畑も荒れ放題。

 建物は何とか形が残っている、そんな状態だ。


「まずはライフラインを整えて、ですかね……」

「建物も直して、住めるようにしないとなー」


 メデリとアルデオがこれからに向けて話を進める中、ルディアの明るい声が響いた。


「いやいや、まずはご飯でしょ!! 腹が減ってはなんとやら〜ってさ!」

「……そうだな! レシとファファも探さないと」

「そうですね。彼らの方が村についても詳しいでしょうから」

「なら、二人はレシたちを探してきて! あたしは手持ちでご飯作っとくからさ!」


 ルディアは親指を立てると、ぱちんとウインクをした。



 

 *


「やっぱり焚き火だと、簡単な物しか作れないなぁ」


 ルディアは枝に刺した魔獣肉に香草をまぶすと、火の側に突き刺した。

 焼け始めた肉からは香ばしい匂いが漂い、溢れ出る脂は火の勢いを強める。


「わぁ……いい匂いがする……!!」


 声のする方を向くと、メデリと手を繋いだファファがこちらに向かってきていた。

 肉の匂いに目を輝かせる少女の姿に、ルディアも自然と笑顔になる。


「おはようファファ」

「ルディアのおねえちゃん、おはよう!」

「アルデオとレシは食材を運んでくれていまして」

「おにいちゃんが、メデリのおねえちゃんと先に行っててって」

「そっか! おにいちゃんの言うこと聞いてえらいぞ!」


 わしゃわしゃと頭を撫でてやると、ファファは嬉しそうにニコニコと笑う。

 そんな少女の屈託のない笑顔とは対照的に、ルディアの表情は曇っていた。


 ——いつから風呂にも入れてないんだろ。


 髪は土埃で絡まり、撫でた勢いでフケが舞った。

 顔や手足も酷く汚れており、周りには小さなハエがいくつも飛んでいる。


 ルディアは笑顔を作ると、しゃがんでファファに目線を合わせた。


「ねぇ、ファファ。食べる前に手洗おっか!」

「手?」

「そう、手。汚れた手で食べると、お腹痛くなったり病気になったりするからさ」

「でも、お水ないよ?」


 困ったように首を傾げる少女。

 

 枯れてしまった井戸からは、もちろん水なんて汲めない。

 でも、あたしたちにはメデリがいる。


「メデリ、水魔法いける?」

「そういうことですか。ただ、私はあまりその類いは得意でないのですが……」

「あたしが強化したらどう?」


 彼女は少しだけ考えると、首を縦に振った。


「ルディアが強化してくれるのなら、いけると思います」

「よっしゃー!! さすがだね!」

「ではお願いしますよ、ルディア」

「オッケー! 任せてよ!」


 話についていけず、目を丸くするファファを横目にルディアが舞う。

 それに合わせてメデリが詠唱を始めると、三人の頭上に大きな水の塊が現れた。


「よっし!! 成功だね!!」

「メデリのおねえちゃんすごい!!」

「あとはこれを上手く制御できれば——」


 バッシャァァァン!!!!


 音を立てて、塊は三人の頭上で破裂した。




 ここからは短編版以降の内容になります!



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