第三話 腹が減ってはなんとやら〜。
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「どうしてこんなことに……」
あれから三人とは別れ、フォルは一人で先へと進んでいた。
一旦国へ戻ろうかとも考えたが、勇者が勇者パーティを追放されたなんて、恥ずかしくて言えるはずもない。
それに……
「追放されたと言うよりも、送り出されたの方が正しい……」
三人は僕が見えなくなるまで、ずっと手を振ってくれていた。
アルデオからは申し訳なさを感じたし、メデリは心から心配してくれていた。
ルディアに至っては——
「フォル、これ好きだったよね! 持っていってよ!」
と、携帯食まで用意してくれていたのだ。
「僕がみんなに、役目を背負わせてしまっていたんだろうか……」
今となってはもう、それを問うこともできない。
「とりあえず、僕も先に進むしかないか」
一人になったから魔王討伐はできませんでした。
なんて、そんな無責任なことは絶対に言えない。
——きっと、使命に燃えてくれる人物がいるはず。
そんな期待を胸に、フォルは街を目指して歩き続けた。
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「行っちまったな……」
「行ってしまったというより、送り出したの方が正しいと思います……」
フォルの背中が見えなくなってからも、アルデオとメデリはその方角を見つめていた。
「二人も、本当はフォルと行きたかった?」
昨日の夜、二人はあたしの考えに賛同してくれた。
でも、それはあの場のノリだったかもしれない。
——あたしが、勇者パーティに選ばれた時みたいに。
「そういうわけではありませんよ。ただ……」
「ただ?」
「心配は心配なのですよ。これでも三ヶ月、共に旅してきた仲間ですからね」
「そうだなぁ。ま、フォルなら大丈夫だろうけどさ!」
アルデオが明るく笑い飛ばす。
あたしもアルデオもメデリも、フォルだけに背負わせたいわけじゃない。
でも、それでもやっぱり子供たちを置いては行けない。
もし二人が着いていくと言っても、あたしはここに残るつもりだった。
「つーか、どうするよこれから」
「廃村になって間もないとはいえ、なかなかの状態ですよね……」
ひと月ほど前、魔族に襲われて廃村になったここは『クィエス』というらしい。
……休まるどころの話じゃないけどさ、現状。
井戸は枯れ、土地は痩せ、畑も荒れ放題。
建物は何とか形が残っている、そんな状態だ。
「まずはライフラインを整えて、ですかね……」
「建物も直して、住めるようにしないとなー」
メデリとアルデオがこれからに向けて話を進める中、ルディアの明るい声が響いた。
「いやいや、まずはご飯でしょ!! 腹が減ってはなんとやら〜ってさ!」
「……そうだな! レシとファファも探さないと」
「そうですね。彼らの方が村についても詳しいでしょうから」
「なら、二人はレシたちを探してきて! あたしは手持ちでご飯作っとくからさ!」
ルディアは親指を立てると、ぱちんとウインクをした。
*
「やっぱり焚き火だと、簡単な物しか作れないなぁ」
ルディアは枝に刺した魔獣肉に香草をまぶすと、火の側に突き刺した。
焼け始めた肉からは香ばしい匂いが漂い、溢れ出る脂は火の勢いを強める。
「わぁ……いい匂いがする……!!」
声のする方を向くと、メデリと手を繋いだファファがこちらに向かってきていた。
肉の匂いに目を輝かせる少女の姿に、ルディアも自然と笑顔になる。
「おはようファファ」
「ルディアのおねえちゃん、おはよう!」
「アルデオとレシは食材を運んでくれていまして」
「おにいちゃんが、メデリのおねえちゃんと先に行っててって」
「そっか! おにいちゃんの言うこと聞いてえらいぞ!」
わしゃわしゃと頭を撫でてやると、ファファは嬉しそうにニコニコと笑う。
そんな少女の屈託のない笑顔とは対照的に、ルディアの表情は曇っていた。
——いつから風呂にも入れてないんだろ。
髪は土埃で絡まり、撫でた勢いでフケが舞った。
顔や手足も酷く汚れており、周りには小さなハエがいくつも飛んでいる。
ルディアは笑顔を作ると、しゃがんでファファに目線を合わせた。
「ねぇ、ファファ。食べる前に手洗おっか!」
「手?」
「そう、手。汚れた手で食べると、お腹痛くなったり病気になったりするからさ」
「でも、お水ないよ?」
困ったように首を傾げる少女。
枯れてしまった井戸からは、もちろん水なんて汲めない。
でも、あたしたちにはメデリがいる。
「メデリ、水魔法いける?」
「そういうことですか。ただ、私はあまりその類いは得意でないのですが……」
「あたしが強化したらどう?」
彼女は少しだけ考えると、首を縦に振った。
「ルディアが強化してくれるのなら、いけると思います」
「よっしゃー!! さすがだね!」
「ではお願いしますよ、ルディア」
「オッケー! 任せてよ!」
話についていけず、目を丸くするファファを横目にルディアが舞う。
それに合わせてメデリが詠唱を始めると、三人の頭上に大きな水の塊が現れた。
「よっし!! 成功だね!!」
「メデリのおねえちゃんすごい!!」
「あとはこれを上手く制御できれば——」
バッシャァァァン!!!!
音を立てて、塊は三人の頭上で破裂した。
ここからは短編版以降の内容になります!




