↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者パーティから勇者を追放したので、もう魔王城には行きません!  作者: おやまみかげ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/9

第一話 勇者、多数決でパーティを追放される。


 短編版をお読みくださった方へ。

 第一話、第二話までは短編と同じ内容になっております。

 あらかじめご了承ください。




 ♠︎

 

「ねぇ、フォル……。悪いけど、もうあんたとは一緒に行けない」


 魔王討伐に向けて旅を始めてから三ヶ月。

 まもなく出発という時に、踊り子のルディアが突然そう言い出した。


「急にどうした? 何か気に触るようなことをしてしまったか?」

「気に触るとか、そういうことじゃなくてさ……」


 じゃあどういうことだ?

 何か不満があったのだろうか……。

 

 勇者パーティのバッファーであるルディア。

 常に場を盛り上げてくれる子で、何度その明るさに救われたかわからない。

 そんな彼女に抜けられては、パーティの士気そのものに関わる。


「ルディア、考え直してはくれないか?」

「いや、悪いけどそれは無理だ」


 勇者フォルの言葉を遮ったのは、戦士のアルデオだった。


「無理? アルデオはルディアが抜けてもいいって言うのか!?」

「そういう意味じゃなくてよ」

「今無理と言ったじゃないか!」


 つい、語気が強くなる。

 

 アルデオは仲間想いで面倒見のいい男だ。

 同じ前衛でありながら、後衛の二人にも常に気を配る。

 彼がいるから、僕は戦闘中に魔族のことだけを考え、戦うことができた。


「フォル、落ち着いてください。ルディアが抜けるわけではありませんよ」


 空気が悪くなり始めたところで、僧侶のメデリが口を開いた。


「でも、もう一緒に行けないとルディアが」

「はい。もう一緒には行けませんから」


 何を言っているのかわからない。


 メデリは知識が豊富で思慮深く、パーティのまとめ役だ。

 特に僕とアルデオは、何度彼女に治癒魔法をかけてもらったかわからない。

 そんな知性溢れる彼女が、意味のわからない発言をすることが理解できなかった。


「なら止めないといけないだろう!?」


 ルディアが首を横に振る。


「違うんだよ、意味がさ」

「意味が違う……?」


 今度はアルデオが首を縦に振った。


「あぁ、俺たちには俺たちの夢があるんだ」

「私たち三人の意思は固まりました。ですので、多数決をもってあなたを追放します」

 

 最後にメデリがそう言い放った。




 *


「ちょ、ちょっと待ってくれるかい!?」


 頭が追いつかない。

 ルディアが抜けるのではなく、僕が追放される側?


 僕たちって、勇者パーティのはずなんだが——。

 

「混乱させて悪い。でも、俺たちはもう行けないんだ」

「もう行けないってどういうことだい、アルデオ!!」


 思わず、彼の肩を強く掴む。

 ぶつかる視線からは、僕への嫌悪感ではなく罪悪感が滲んでいた。


「ごめん……。フォルが魔王討伐をして、親父さんの仇を討ちたいのもわかってる。でも俺たちには、行く理由がないんだ」

「行く理由がない……?」

「そうだ。行く理由がない」


 アルデオは何を言ってるんだ?


 僕たちは勇者パーティだ。

 行く理由なんて、考える必要さえない。

 魔王を倒し、世界の平和とみんなを護る。

 その使命を全うする以外に何が必要だと言うんだ……!


「フォルってさ、夢ある?」

「夢?」

「うん。夢」


 ルディアが急に話を振ってきた。

 

 表情を見る限り、ふざけているわけではないだろう。

 こんな時に、何故そんな質問をしてきたのかはわからないが……。


「僕の夢は、世界の平和を、みんなを護ることだ」

「……それってさ、夢なのかな」

「どういうことだ?」

「それって、フォル自身がやりたいことなの?」

「やりたいとかやりたくないとか、そういう話じゃないだろう? 魔王討伐は僕たちの使命だ!」


 質問の意味がわからない。

 僕の家は代々勇者の家系だし、これが役目なんだ。

 僕たちがやらなければ、誰が魔王討伐を成し遂げる?


「ですが、私たちはそれを辞めたいのです」

「……辞めたい?」

「はい。私たちは勇者パーティに選ばれただけ。崇高な目標など持ち合わせていません」

「でも選ばれたからには——」

「それは、自らの夢を諦める理由になりますか?」


 メデリが珍しく、僕の発言に被せてきた。


「夢って……。メデリの夢は魔王を討伐することだろう?」

「いいえ、違います」

「違う!? ならどうして勇者パーティにいるんだ!」

「先ほども言いましたが、選ばれただけです」

「でも選ばれたんだろう!?」


 何故、選ばれた使命を全うしない!?

 なんて責任感がないんだ!!


「選ばれたからって、やりたいとは限らないんだよ」

「ルディア! キミはなんてことを……!!」

「だって、あたしもやりたくないし」


 やりたくない……!?

 何を言っているんだこの二人は……!!


「だから言ったろ? もう行けないって」

「アルデオ! 今まで一緒に戦ってきたじゃないか!!」

「そうだな、それは事実だよ。でも昨日の夜、俺たちは気づいちまったからさ……」

「気づいた!? 何に!!」


 アルデオは一つ大きなため息をつくと、はっきりと告げた。


「魔王討伐に行きたいのが、お前だけだってことに」


 


 そんなバカな*\(^o^)/*

 勇者パーティなのにね!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。