……おや? 地図は持ってるかい?
いらっしゃい、旅人さん。
この世界は初めてかな?
……どうしてそんなことを聞くのかって?
ここにはね、キミのような旅人がよく来るんだ。
迷い込んだのか、はたまた自らの足でここへ来たのか——。
これからこの世界を覗いていくんだろう?
それなら一つだけ、わたしと約束してほしい。
キミはこの世界の観測者だ。
だから手を貸したくなっても、絶対に干渉してはいけないよ。
それさえ護ってくれれば、何を感じようが、どう思おうがキミの自由だ。
……変なことを言う老人だと思ったかい?
キミは実に正直な人だ。
じゃあ変なことついでに、この地図を持っていくといい。
この世界には、四人の冒険者がいてね。
同じ時を生きる者たちが、何を感じ、何を思い、何を選ぶのか。
世界を観測しているうちに、その瞬間を目撃することになるだろう。
ただ、注意点があってね。
同じ時を生きている以上、時間は止められない。
だから、急に視点が変わることがあるんだよ。
でも、心配しなくて大丈夫さ。
これを目印にするといい。
そうすれば、きっと迷うことはないだろうからね。
♠︎→勇者フォル
♣︎→戦士アルデオ
♥︎→僧侶メデリ
♦︎→踊り子ルディア
*→視点は変わらず、時間や場所が変わる合図だと思ってくれればいい。
さてと、長々と話しすぎてしまったね。
歳を取ると、話が長くなってしまって困ったもんだよ。
わたしの話を聞くよりも、その目で見た方が早いだろう。
いってらっしゃい、旅人さん。
わたしはここでキミが何を見てくるのか、何を感じるのか。
それを楽しみに待っているよ。
もし地図をなくしたら、またここにおいで。
わたしはいつでも待っているからね。
それでは、よい旅を——。
短編版をお読みくださった方へ。
第一話、第二話までは短編と同じ内容になっています。
あらかじめご了承ください。




