第十五話 価値観は変わるもの?
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「はい、さっさと水浴びしてくる!」
「ルディアねーちゃん怖っ……」
「なに〜、レシ。今なんて言った〜?」
「な、なんでもないよ!!」
土だらけになって帰ってきた、魔獣のクリスとキュル。
ご飯前にちゃんと綺麗にしてもらわないと。
手洗い・うがいは基本なんだからね!
「ルディア! 至急来てください!!」
「え? そんな慌ててどしたんメデリ」
「いいから早く来てください! ファファ、レシとクリスたちとここにいてくださいね!」
「……わかった」
「ちょ、ちょっと待ってよメデリ!!」
あたしの腕を掴むと、メデリが走り出す。
なになに!? メデリがこんな慌てることって。
もしかして、魔族が来たとか!?
「もしかして……」
「まだわかりませんが、何かがここに向かってきています」
「嘘でしょ!? アルデオが一人で戦ってんの!?」
「おそらく……ですから、急がないと」
せっかく生活が整ってきたところなのに……。
あの子たちは、また居場所を失うかもしれないってこと?
「そんなの……許せない……」
「えぇ、私もですよルディア。ですから、三人で護りますよこの村を」
「うん、絶対護る!」
夜の帳が下り始める中、あたしとメデリはアルデオの元へと急いだ。
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「くそっ……あいつらまだかよ!!」
アルデオは斧を構える。
向かってきているのは、魔牛の群れだった。
普段は温厚で、家畜として飼い慣らされている魔族だ。
……どっかの村で飼われてたのが、野生化でもしたのか?
一頭だけならまだしも、あの量は俺一人じゃ流石に無理だ。
「頼む、早く来てくれ……!!」
「アルデオ!! すぐに舞うから!!」
「私が時間を稼ぎます!」
「ルディア! メデリ!」
メデリは杖を構えると、すぐさま詠唱を始めた。
ルディアもそれに続いて、アルデオを強化するために戦場を舞う。
「エンベロープ!!」
メデリが魔力で井戸の水を包み込む。
大きな水の玉になったそれを、彼女は魔牛に向かって投げつけた。
「ブモゥゥゥゥゥゥ!!」
「ちょ、ちょっと!! あいつらキレてない!?」
「すみません、当ててしまいました……。足元に落とすつもりだったのに……」
「あの勢いで!? 顔面に直撃してたけど!?」
「二人は早く、俺の後ろに入れ!!」
ギャイギャイと騒ぐ女性陣を背に隠すと、アルデオは再び斧を構える。
ルディアに強化してもらってるし、メデリもいる。
大丈夫、この二人となら絶対やれる。勝てる。
グッと、斧を握る手に力が入る。
——ダメだよ!! やめてよアルデオ!!
……なんで、こんなときにレシの言葉が。
——力は誰かを護るためのもので、支配するためのものじゃないって。
……そうだ。護るために使うものだ。
今はその護るときだ。俺が戦わないと、村が——。
……でも本当にあいつらは、村を襲おうとしてるのか?
「アルデオ? どうしたの!?」
——力で解決するんじゃなくて、一緒に生きていきたい。
「アルデオ? 大丈夫ですか?」
——人間も魔族も、仲良くなれるかもしれないだろ?
アルデオの手から、斧が滑り落ちた。
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「ねぇ、相棒! 本当にあの二人も連れていくの!? 大丈夫なの!?」
「武闘家と賢者らしいから、大丈夫じゃないか?」
「そういう心配じゃなくてさ……」
僕の言葉に、レウィスが肩を落とす。
「なによ、なんか不満なわけ?」
「不満しかないよ! 私によくわからない術までかけたくせに!」
「アンタがうるさいからじゃないの。また黙らせるわよ」
「やっぱり反対!! 私この人嫌い!!」
「アタシだってアンタなんか嫌いよ」
新たに勇者パーティに加わった、賢者のドミナと武闘家のセルウィー。
親睦を深めようと、四人で夕食を取っていた。
二人は既に犬猿の仲になりそうだけれど……。
「ドミナとセルウィーは、何故旅をしているんだい?」
「答える義理ないでしょ」
「本当に失礼な女! 相棒が聞いてるんだから答えてよ!」
「貴様ァ!! ドミナ様になんて口を利くんだ!!」
「勇者である相棒に、そっちが偉そうな態度取るからでしょう!?」
賑やかになったなぁ……。
なんだか、アルデオたちと旅をしていたときを思い出す。
つい最近まで一緒にいたのに、随分昔のことのように感じるな。
「相棒、どうかした?」
「ううん。前のパーティのことを思い出していただけさ」
「勇者から離れるなんて、もったいないことをするわよねぇ」
「自分は、ドミナ様から片時も離れる気はありません!」
「聞いてないわよ、静かにしていなさい」
……すごいな、この二人は。
主従関係が根付いているのだろうか?
「なによ、ジロジロ見て」
「いや、二人は付き合いが長いのかなぁと思っただけさ」
「……別に、関係ないでしょ」
なんだろう、今の間は。
まぁ、まだ出会って数時間しか経っていない。
二人のことを知るにも時間はかかるだろう。
「だから相棒にそんな口の利き方しないで!!」
「アンタに言われる筋合いないのよ、このろくでなし」
「ひ、ひどいよ!! 私やっぱりこいつ嫌い!!」
——アルデオたちは、どうしてるんだろうか。
あの村で、やりたいことを叶えて生活しているのだろうか?
ギャイギャイと騒ぐ二人の声を聞き流しながら、フォルは夜空を見上げた。
今回は視点を三回切り替えました*\(^o^)/*
おやまにしては、これでも我慢している方なのです……。




