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勇者パーティから勇者を追放したので、もう魔王城には行きません!  作者: おやまみかげ(・8・)


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第十五話 価値観は変わるもの?


 ♦︎


「はい、さっさと水浴びしてくる!」

「ルディアねーちゃん怖っ……」

「なに〜、レシ。今なんて言った〜?」

「な、なんでもないよ!!」


 土だらけになって帰ってきた、魔獣のクリスとキュル。

 ご飯前にちゃんと綺麗にしてもらわないと。

 手洗い・うがいは基本なんだからね!


「ルディア! 至急来てください!!」

「え? そんな慌ててどしたんメデリ」

「いいから早く来てください! ファファ、レシとクリスたちとここにいてくださいね!」

「……わかった」

「ちょ、ちょっと待ってよメデリ!!」


 あたしの腕を掴むと、メデリが走り出す。


 なになに!? メデリがこんな慌てることって。

 もしかして、魔族が来たとか!?


「もしかして……」

「まだわかりませんが、何かがここに向かってきています」

「嘘でしょ!? アルデオが一人で戦ってんの!?」

「おそらく……ですから、急がないと」


 せっかく生活が整ってきたところなのに……。

 あの子たちは、また居場所を失うかもしれないってこと?


「そんなの……許せない……」

「えぇ、私もですよルディア。ですから、三人で護りますよこの村を」

「うん、絶対護る!」


 夜の帳が下り始める中、あたしとメデリはアルデオの元へと急いだ。




 ♣︎


「くそっ……あいつらまだかよ!!」


 アルデオは斧を構える。

 向かってきているのは、魔牛の群れだった。

 普段は温厚で、家畜として飼い慣らされている魔族だ。


 ……どっかの村で飼われてたのが、野生化でもしたのか?

 一頭だけならまだしも、あの量は俺一人じゃ流石に無理だ。


「頼む、早く来てくれ……!!」

「アルデオ!! すぐに舞うから!!」

「私が時間を稼ぎます!」

「ルディア! メデリ!」


 メデリは杖を構えると、すぐさま詠唱を始めた。

 ルディアもそれに続いて、アルデオを強化するために戦場を舞う。


「エンベロープ!!」


 メデリが魔力で井戸の水を包み込む。

 大きな水の玉になったそれを、彼女は魔牛に向かって投げつけた。


「ブモゥゥゥゥゥゥ!!」

「ちょ、ちょっと!! あいつらキレてない!?」

「すみません、当ててしまいました……。足元に落とすつもりだったのに……」

「あの勢いで!? 顔面に直撃してたけど!?」

「二人は早く、俺の後ろに入れ!!」


 ギャイギャイと騒ぐ女性陣を背に隠すと、アルデオは再び斧を構える。


 ルディアに強化してもらってるし、メデリもいる。

 大丈夫、この二人となら絶対やれる。勝てる。


 グッと、斧を握る手に力が入る。


 ——ダメだよ!! やめてよアルデオ!!


 ……なんで、こんなときにレシの言葉が。


 ——力は誰かを護るためのもので、支配するためのものじゃないって。


 ……そうだ。護るために使うものだ。

 今はその護るときだ。俺が戦わないと、村が——。


 ……でも本当にあいつらは、村を襲おうとしてるのか?


「アルデオ? どうしたの!?」


 ——力で解決するんじゃなくて、一緒に生きていきたい。


「アルデオ? 大丈夫ですか?」


 ——人間も魔族も、仲良くなれるかもしれないだろ?

 

 アルデオの手から、斧が滑り落ちた。




 ♠︎


「ねぇ、相棒! 本当にあの二人も連れていくの!? 大丈夫なの!?」

「武闘家と賢者らしいから、大丈夫じゃないか?」

「そういう心配じゃなくてさ……」


 僕の言葉に、レウィスが肩を落とす。


「なによ、なんか不満なわけ?」

「不満しかないよ! 私によくわからない術までかけたくせに!」

「アンタがうるさいからじゃないの。また黙らせるわよ」

「やっぱり反対!! 私この人嫌い!!」

「アタシだってアンタなんか嫌いよ」

 

 新たに勇者パーティに加わった、賢者のドミナと武闘家のセルウィー。

 親睦を深めようと、四人で夕食を取っていた。

 二人は既に犬猿の仲になりそうだけれど……。


「ドミナとセルウィーは、何故旅をしているんだい?」

「答える義理ないでしょ」

「本当に失礼な女! 相棒が聞いてるんだから答えてよ!」

「貴様ァ!! ドミナ様になんて口を利くんだ!!」

「勇者である相棒に、そっちが偉そうな態度取るからでしょう!?」


 賑やかになったなぁ……。

 なんだか、アルデオたちと旅をしていたときを思い出す。

 つい最近まで一緒にいたのに、随分昔のことのように感じるな。


「相棒、どうかした?」

「ううん。前のパーティのことを思い出していただけさ」

「勇者から離れるなんて、もったいないことをするわよねぇ」

「自分は、ドミナ様から片時も離れる気はありません!」

「聞いてないわよ、静かにしていなさい」


 ……すごいな、この二人は。

 主従関係が根付いているのだろうか?


「なによ、ジロジロ見て」

「いや、二人は付き合いが長いのかなぁと思っただけさ」

「……別に、関係ないでしょ」


 なんだろう、今の間は。

 まぁ、まだ出会って数時間しか経っていない。

 二人のことを知るにも時間はかかるだろう。


「だから相棒にそんな口の利き方しないで!!」

「アンタに言われる筋合いないのよ、このろくでなし」

「ひ、ひどいよ!! 私やっぱりこいつ嫌い!!」


 ——アルデオたちは、どうしてるんだろうか。

 あの村で、やりたいことを叶えて生活しているのだろうか?


 ギャイギャイと騒ぐ二人の声を聞き流しながら、フォルは夜空を見上げた。


 

 


 今回は視点を三回切り替えました*\(^o^)/*

 おやまにしては、これでも我慢している方なのです……。



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