第十四話 手伝ってあげても良いけど?
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「あいつら帰ってきたぞー!!」
もうじき日が暮れる頃、魔獣の親子が村へと帰ってきた。
母獣・クリスの腕にはこんもりと何かが抱えられており、その前を幼獣・キュルがテコテコと歩いている。
「おかえり〜!! クリスは何をそんな持って帰ってきたの!?」
「グルルルルル」
「森にあった植物を、そのまま引っこ抜いてきたんだって」
「えぇ!? だからこんな土まみれなの!? ご飯の前に水浴びしてきて!」
「グルルルルル……」
「ごめんなさいって言ってる」
いつもの如く、レシが魔獣の言葉を翻訳する。
それを聞いたルディアが、まるで母親のように二匹を叱った。
……なんか、平和だなぁ。
そんな二人と二匹のやり取りを見ていると、自分が何と戦ってきたのかわからなくなる。
弟子となったレシの言うように、魔族というだけで敵と認識するのは、間違いなのかもしれない。
そんなことを呑気に考えてると、ファファと水浴びをしに行っていたメデリの悲鳴が聞こえた。
*
「どうしたメデリ!!」
「アルデオ! あれは一体なんですか!?」
普段、こんなに取り乱したりしない彼女が怯えるように村の外を見ている。
ファファもメデリにしがみつき、身体を縮こませていた。
……なんだよ、あれ。
何かはよくわからないが、何かがものすごい勢いでこちらに向かってきている。
「魔獣の類いか?」
「わかりません。私はルディアを呼んできます!」
「頼む! クリスたちも戻ってきてるから、子供たちはそっちにいてもらってくれ」
「はい。ファファ行きますよ」
少女の手を引き、小走りでみんなの元へと向かうメデリ。
俺は愛用の斧を握り締めると、首を鳴らした。
「させるかよ。俺が絶対、この村を護る」
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「見てごらんレウィス、街が見えてきたよ」
「やったー! 野宿とおさらばだー!!」
「ここではどんな美味しいものが食べられるか楽しみだな」
「相棒、なんか吹っ切れた?」
「そうかもしれないね」
嬉しそうに笑うレウィスに、僕も笑顔を返す。
あの街で食べた豆のスープは本当に美味しかった。
また、ここでも何か素敵なものに出会える気がする。
たわいもない話をしながら、二人で今晩の宿を探してた。
「ねぇ相棒、ここなんてどうかな!?」
「雰囲気の良さそうなところだね、ここにしようか」
「うん! 荷物置いてー、ご飯食べに行こうね!」
ルンルンとご機嫌のレウィスが宿の扉を開ける。
「どうか!! どうかお許しください!!」
「嫌よ。何回言ったらわかるのよ、この愚図」
「そこをなんとかぁぁぁ!!」
思わず、顔を見合わせた。
この宿には食堂も併設されているようで、たくさんの人たちが既に食事を楽しんでいる。
そんな中、脚を組んで椅子に掛けている尊大な口調の女性と、その足元でひれ伏し謝り続ける男性。
この一角だけが異様な空気を放っていた。
「ねぇ、相棒……ここやめようか……」
「そうだな、別の場所にしよう」
意見が一致し、宿を出ようと扉に手をかけた時——
「ちょっとアンタ、もしかして勇者フォル?」
何故か女性に呼び止められた。
*
「あ、相棒は勇者とかじゃないよ! じゃあ私たちはこれで」
「アンタに聞いてないんだけどー? それに、その返事はおかしいんじゃない?」
「へぁっ!? どこが!?」
レウィスが必死に誤魔化そうとしているが、女性はにやりと唇を歪める。
「アタシは勇者フォルってしか言ってないのよ? それなのにアンタは、相棒は勇者じゃないって答えた」
「そ、それのどこがおかしいんだよ! 普通でしょう!?」
「はぁ……面倒だわ。素直に吐いたらどうなのよ」
「な、なんなんだよお前ら! もう良いだろう!? 行こう、相棒!!」
レウィスは僕の手を取ると、宿から飛び出すように連れ出した。
*
「なんなんだよあいつら! 嫌な気分になっちゃったよ!」
「すまないレウィス」
「相棒は悪くないでしょう? さぁさっさと次の宿を見つけて、美味しいもの食べに行こう!」
「行かせるわけないでしょ?」
振り向くと、先程の二人も外に出てきていた。
スリット入りのタイトな黒ドレスを身に纏った女性を守るかのように、質素な身なりの男性が前に立ちはだかっている。
……随分と派手な身なりの女性だな。
踊り子のルディアでさえ、こんなに脚を出していなかった。
それに、この男はなんでこんなに従順なんだ?
「もう、しつこいよ!?」
「うるさい男ねぇ。アンタに用はないのよ」
彼女が軽く指を振ると、レウィスが途端に大人しくなる。
「レウィスに何をした!」
「ちょっと静かにしてもらっただけよ? 安心して」
「……僕に、なんの用だ」
「アタシたちも、勇者パーティに入れて欲しいのよね」
「勇者パーティに……?」
レウィスはどうにか誤魔化そうとしてくれていたけれど、今更自分が勇者であることを隠す気はない。
「四人で旅をしているはずの勇者が、仲間を一人しか連れていない。何があったのかは知らないけど、その男だけでは厳しいんじゃなくて?」
「……確かに、今は二人で旅をしている。とはいえ、キミたちを連れていくかは別の話だ」
「ふーん、でも吟遊詩人だけじゃ心許ないでしょ? 力を貸してあげる」
随分と上からな女性だ。
それに、何故ここまで着いてこようとするんだ?
「目的はなんだ」
「勇者の恩恵を受けたいの。証があれば、各国で援助が受けられるんでしょ? そのおこぼれが欲しいのよ。代わりに魔王討伐を手伝うわ」
「本気で言っているのか……?」
「もちろんよ。今不足しているパーティの穴を、アタシたちなら埋められる」
……この二人が?
どう見ても正直そんな風には見えない。
「失礼なことを考えていそうね。こいつはセルウィー、武闘家よ。前衛にちょうど良いでしょ?」
「武闘家……?」
「そうよ。ちょっと変わった男だけど、アタシの護衛をしてもらってるの」
街なのに護衛をつけているなんて、どこかの貴族か?
そういえば、着ているものもドレスだ。
旅行気分で一緒に来られては流石に困る。
「キミのような女性に、旅は厳しいと思う。何日も歩き続け、野宿だって——」
「そんなこと知ってるわよ。アンタ、見た目で判断してるわね? アタシはドミナ、聖都から来た賢者よ」
「……賢者!?」
こうして、フォルはまた仲間(?)を拾った。
四人揃った\( ˆoˆ )/
村は……。




