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勇者パーティから勇者を追放したので、もう魔王城には行きません!  作者: おやまみかげ(・8・)


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第十一話 敵とは、なんだろう?


 ♦︎


「よ〜し、今日も一日頑張るぞ〜!」


 村で生活し始めて、1週間。

 水は問題なく汲めるようになって、レシとファファもやっと毎日水浴びができるようになった。

 昨日なんて——


「ほら、レシもあたしが綺麗にしてあげるからおいで!」

「は、はぁ!? 俺は一人で大丈夫だよ!!」

「なんでそんな冷たいこと言うの〜? ほら、おいで!」

「ルディア、察してやれよ……」

「子供とはいえ、レシも男の子ですからね……」


 アルデオとメデリが呆れたような顔であたしを見てた。

 結局、レシはアルデオに手伝ってもらってたっけ。


「よし! 朝ごはんだ!」

「ルディアおねえちゃん、おはよう!」

「おはよう、ファファ。今日も早起きえらいぞ〜!」

「えへへ! わたしもお手伝いする!」

「ありがとう! じゃあこの葉っぱちぎってくれる?」


 水が使えるようになって、料理は少しだけバリエーションが増えた。

 それでも未だ焚き火での調理だし、森に生えてるキノコや葉っぱくらいしか食べる物がない。

 魔獣も都合よく出てくるわけじゃないし。

 唯一食べられそうな物といえば……


 チラリと、一緒に生活するようになった魔獣たちに視線を送る。

 何やら嫌な予感がしたのだろうか、ビクリと肩を振るわせた。


「大丈夫、食べないよ〜」

「クリスとキュルはもう仲間だもんねー!」


 結局名前は、母獣がクリスティーヌ、幼獣がキュルになった。

 レシが「女の子なのにグルルはありえないって言われた……。キュルはキュルがいいんだって」と魔獣たちの意見を確認し、ファファもそれならと丸く収まったのだ。

 

「そうだね、だから二匹にも手伝ってもらわないとね〜」

「働かざるもの食うべからず、でしょ?」

「難しい言葉知ってんね〜」

「メデリ先生が教えてくれた!」

「そっか、たくさん学んでえらいぞ〜!」


 ファファの頭を撫でると、柔らかい髪が指の間をすり抜ける。

 砂埃で絡まった髪も、周りを飛ぶ小さなハエも今はいない。


 ——本当にここに残ってよかった。


 そんなことを考えていると、朝食の時間が迫っていた。


「やばっ!! 授業に間に合わなくなっちゃう!!」

「葉っぱ、お鍋に入れておくね! わたし、おにいちゃんとアルデオ起こしてくる!」

「ありがとうファファ! そっちはお願いね!」


 手を振る小さな背中を見届けると、ルディアは急いで朝食の仕上げへと入った。




 *


「メデリ先生! ここわかんない!」

「メデリ先生! わたしはこれ終わった!」

「レシから見ますので、ファファは少しお待ちくださいね」


 太陽が散々と降り注ぐ中、兄妹はメデリの授業を受けていた。

 魔法や魔族についてだけではなく、読み書きや計算なんかも含まれている。

 これは将来二人がなりたいものになれるようにと、アルデオのアイデアだった。


「クリスー! そこの木材取ってくれー!」

「グルルルルル……」

「わかったって! クリスティーヌ、取ってくれ!」

「グルル!」


 眠気も少ない午前中、レシとファファは勉強をする。

 その間に、アルデオは母獣のクリスと家屋の修復を行う。

 残念なことに、あたしも勉強なんて教えられない。

 だから洗濯や料理なんかの家事全般があたしの仕事だ。


「キュル、その洗濯物取って!」

「キュルル!」

「あんがと〜! あとで木の実あげるからね!」

「キュルルン!」


 ここでは魔獣も人間も関係ない。

 みんなができることをして生活している。


「よし、洗濯終わり! キュル、キノコ採りに行くよ〜」

「ルディア、また森に行くのか?」

「うん、ほら食材採りに行かないとさ。育ち盛りじゃん? あの子ら」

「でもよ、危ないし。それにずっと森に採りに行くわけにもいかないだろ?」

「それもそうなんだけどさ〜」


 アルデオの言うこともわかるけど、この辺りに他に食べられるものはない。

 また水辺まで行けば魚はいるかもしれないけど、あたし一人ではそこまでは無理だ。

 だからといって、アルデオを村から連れ出すのもリスクがある。


「なんかいい方法ないかなぁ……」

「そろそろ、畑でもやってみますか?」

「畑か〜。でも種がないじゃん?」

「確かにそうですね……」


 兄妹が計算問題を解いている間、メデリも話に入ってきた。

 

 畑はやりたいところだけど、ここには行商人も来ないだろうな。

 ひと月前には一度廃村になってる場所に、わざわざ売りになんて来るわけない。


「キュルルル!」

「ん? どしたんキュル」

「キュルルン! キュルルル」

「ごめん、あたしキュル語わかんないんだよね」

「グルルルルル」

「クリスの言葉もわからんのよ」


 二匹が何かを伝えようとしてくれてるのはわかる。

 でもわかるのはそこまで。何を言いたいのかはわからん。


「キュルがさ、種のある場所知ってるって言ってる」

「あ! そっか、レシは話せるんだ!」

「クリスがキュルと採りに行ってくるってさ」

「えぇ!? 二匹だけで行くの!? 大丈夫なん!?」


 魔獣とはいえ、大丈夫なのかな?

 いや、魔獣だからこそ大丈夫なのかな……。

 でも、二匹も仲間だし……。


「とりあえず、頼んでみようぜ!」

「森のことは、誰よりも詳しいと思いますよ」


 アルデオとメデリは頼む気満々のようだ。

 それに、クリスとキュルももう行く気満々だ。


「よし! じゃあ、任せちゃおっかな! 今日の夕飯は、二匹の好きなキノコと木の実のサラダにするよ〜!」

「グルルルルル!!」

「キュルルルル!!」

「だから、気をつけて行ってきてね! いってらっしゃい!」


 幼獣を肩に乗せ、親子の魔獣は森へと入っていった。




 クリスとキュルは、熊のような見た目をしています。

 木の実やキノコ、木の根っこなんかを食べる草食魔獣です。



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