第3話 それぞれの思い
ヒーローになれる。
話を聞いてから考えることはそればかり。
通学時も。
授業中でも。
友達と話していても。
もう頭の中はヒーローでいっぱいだ。
憧れていたヒーローに自分がなれるなんて夢のようで
話を聞いてから数日間はワクワクで寝れなかったぐらいだ。
テレビや雑誌で観る色々なヒーロー。
赤い鎧を着たヒーローは火を繰り出して戦った。
巨大な銃を持つヒーローは一撃必殺で怪獣を倒した。
天使のような羽で舞うヒーローは空から光の剣を降らせた。
その他の様々なヒーロー。
小さい頃から夢中だったヒーロー達に自分が少しだけ近づいたという思い。
それが嬉しくて喜びが全身を震わせている。
自分の《ギフト》がどのようなモノかもわからないが
今までのヒーロー達に自分を重ねて想像し、興奮で今日も寝れなく怒られる明人だった。
◇◇◇
実際にはヒーローになれるかどうかは判らなくて
なれるかもしれない資格を手に入れただけなのだが・・・。
◇◇◇
「前原君、例の少年はどうだったのだね?」
「はい、私が見たところ《ギフト》発症とみて間違いないと思います」
「それは君の《ギフト》で確認したのかね?」
「もちろんです」
「そうか、《ギフト》持ちが増えてくれるのはありがたいが
実用に耐えうるレベルになるのは少ない
その中でも実践向きであるのは更に少数だ
そこのところはどのような感じを受けたね?」
「詳細は検査をしてみないと何とも言えませんが
物理操作系と見受けられます」
「また、微妙な処だな。対象と効果によっては化けるかもしれんが
操作系はあまり強力な能力になり辛い系統でもあるしな」
「能力も使い方次第だとは思いますが」
「それはそうだがね、まぁ検査の結果を楽しみにしているよ
・・・・あぁ、そうだ
また《ギフト》発症の可能性がある子が出たそうだ
近日中に見てきてくれないか」
「わかりました。私以外にも《鑑定》持ちがいると楽なのですが」
「まぁ、そう言うな。それもまた《ギフト》持ちの役目さ」
前原俊也
《特殊能力管理委員会》に属す《鑑定》の《ギフト》を持つ《発症審査官》。
《鑑定》は自分の眼で直接診ることにより《ギフト》持ちかどうかを判断できる能力。
実践向けではないが稀有な能力により委員会に召集された過去を持つ。
《ギフト》発症の可能性があれば全国各地を飛び回る宮使いだ。
「可能性がある子供を全員検査出来てしまえばねぇ
こんなに忙しいこともないのに・・・・
まぁ、無理を言ってもしょうがない
まだ診ぬ可能性に会いに行くとしましょう」
理解はしているが少しだけ愚痴が出てしまう。
そんな中間管理職の思いが溜息として少しだけ漏れたという。




