第2話 彼方からの使者
訪ねてきた男をリビングに通すと
部屋に居るように言われたので
ちょっと不満だったけどお菓子に釣られて大人しくヒーロー映画を見ることにした。
◇◇◇
その頃、リビングでは。
「改めまして、私は《特殊能力管理委員会》より派遣されました
《発症審査官》の前原俊也と申します」
そう言って目の前のスーツをきっちりと着こなした
公務員風の男が名刺を出してくる。
「それで、あの、うちの明人が何かしたのでしょうか・・・・」
「両親様、落ち着いてください。明人君は何もしていません。
何かやましい事を咎めに来たりしているわけではないので安心してください」
「そ、そうですか。それで《ギフト》発症というのは?」
「はい、お伺いさせて頂いた内容を今一度お伝えします。
御影明人君に《ギフト》発症の可能性があります。
《ギフト》はご存知でしょうか?」
「もちろん知っておりますが詳しい事はあまり・・・。
ヒーロー達が持っている特殊能力の事ですよね?」
「その通りです。特殊能力と言いましても色々とあります。
身体能力が常人離れになるや伝説に出てくるような狼男に変身出来る等の
多種多様の能力があります」
「しかし、明人は特段何も目立った所はありませんよ
勉強も運動も普通ですし、外見が変わるような事もありません
最近だって走ると転んでしまうようになって、むしろ駄目な感じなんですよ」
「そうですね、それで病院に掛かられていますよね?
当委員会ではその症状は《ギフト》発症の可能性があると考えています」
「と良いますと?」
「順を追って説明しましょう」
◇◇◇
前原俊也の説明をまとめると以下のようになる。
まず《ギフト》とは正確に言えば常人には持ち得ない能力の総称。
それには多種多様の能力があり、もちろん強弱もある。
それらを使用し悪と戦うのがヒーローと呼ばれる者達であり
逆に言えば《ギフト》を持っていない人間は
どんなに頑張ってもヒーローにはなれない。
そして《ギフト》持ちでも戦闘に役立てない者もヒーローにがなれない。
選びに選ばれた者だけが辿り着ける場所がヒーローという存在らしい。
そして《ギフト》とは先天性で持っているのは極めて稀。
基本的には小学生、遅くとも中学生ぐらいで能力に目覚め
数年間かけて能力が明確化し強力な物となる。
その為、発症したばかりでは能力の概要はわかっても
具体的にどんな能力になるか、実用レベルになるかは成長しないと不明。
これは個人差や例外なんかもあるから一概には言えない。
ちなみに発症者は数万人に1人の割合で
先天性で《ギフト》持ちは例外なく尋常ならざる能力だそうな。
政府では発症した子を管理する必要が出てくる。
もちろん将来のヒーロー候補の確保や実生活で能力の暴走等が起きない様にする為だ。
発症した子供を管理する組織が《特殊能力管理委員会》で
《ギフト》発症かどうかを見極めるのが《発症審査官》の仕事。
管理の必要がある為、少しでも疑わしき情報があれば
全て委員会に上がってくる仕組みが出来ている。
ちなみに管理と言っても施設への隔離なんかがあるわけではなく
手首に抑制装置を付けて能力を抑え込み《ギフト》の発動を抑制し
健康状態や現在位置なんかをリアルタイムで監視されるだけ。
《ギフト》持ちは国の宝ではあるが個人の権利を守ることが前提条件なので
プライバシーは完全に保護されるから安心して欲しい。
◇◇◇
「おわかり頂けたでしょうか」
「必要性はわかりました、しかし明人は本当に《ギフト》発症なのでしょうか?」
「この場では断言出来ませんが、概ね間違いないと思って頂いていいでしょう
予想される能力は物理操作系です」
「それはどういった内容なのでしょうか?」
「字のごとく物理的な物を操作する能力です
正直な所、何かしらの力は動いているようなのですが
何に対してどのような作用をしているかは現状では不明です」
「そうですか・・・・」
「はい、そういう事ですので明人君には是非とも検査を受けて頂きたいと思っています
もちろん強制ではありませんが、出来れば《ギフト》発症のリスクを考えて
賛同して頂けると助かります」
「そうですね、私達としては明人の為になるのならば協力いたしますが
本人の意思確認をした上での返答でも構わないでしょうか?」
「ええ、本人の意思確認をして頂いた上での判断で問題ありません」
「わかりました、明人を呼んできましょう」
◇◇◇
「こんにちわ、私は前原俊也です
今日は明人君と話をしたくて遊びに来させてもらたったんだ
明人君はヒーローは好きかな?」
「ヒーローっ!大好きだよ」
「そっかそっか、じゃぁ明人君がヒーローに関係あるって話をしようか」
前原は両親に話した内容をもっと簡単にして明人に説明する。
嘘は含めないし誘導するつもりもない。
ただ少しだけ興味を引くような話し方で囁きかける。
一通り話し終わると目をキラッキラさせて若干鼻息も荒い
明人が興奮してる顔で見つめてくる。
「ちょっと難しい話かもしれないけど簡単に言えば
明人君の体を検査させて欲しいって事なんだ、どうかな?」
先ほどまでの興奮が冷めたのか
明人は急に俯いて1人でブツブツ呟いている。
う~ん、先ほどの反応からみると大丈夫かなと考えていたんだが
やっぱり検査とかは嫌かな。
子供は大抵病院嫌いだろうし。
仕方がない今日の所は諦めるか。
「明人君、別に無理に・・・・」
っと、いきなり明人が立って叫びだす。
「「 僕、ヒーローになるっ!!」」
御影明人、彼のヒーロー人生はここから動き出すこととなる。




