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ヒーローの中身  作者: 猫ろろ
ヒーローへの道
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第1話 進路を決めよう

俺、御影明人は現在高校3年生だ。

この年齢ならではの悩みを抱えている。


教室の窓からグランドを走る生徒を見ながら

ふと思うわけだ。


揺れる揺れる。

夢と希望が揺れる。

ぼいんぼいん。


あぁ、遠き夢と希望よ。

お前らに手の届くのは何時の日か。


うおぉぉぉぉ、彼女がほしぃぃぃぃぃ。

大体、青春真っ只中だっつうのに彼女も居ないってのはどうなのよ。


青空も気持ちよく、太陽も暖かいのに

俺の心は寒いよ、悲しいよ。


「・・・・おい」


あぁ、なんだって俺には彼女が居ないのさ。


「・・・・おいっ」


見た目だって悪くない、っと思うし。

性格だって悪くない、って思う。


「・・・・おいっ、聞いてるか?」


そりゃ、他の人に比べたら普通さ。

俺だって手首のコレさえなきゃさぁ。


「おいっ!聞いてんのかっ!」


ゴッ。

鈍い音と共に頭に重い衝撃が走る。


「いでぇっ」


「おい、進路相談中に外見てボケッとしてんじゃない」


痛みと大声で意識が覚醒する。

目の前には担任の大平聡(おおひら さとし)。

口は悪くて手も早い今時の教師としては珍しいタイプだ。

生徒にグイグイ寄ってくるのが面倒なのか

皆からの評判はあまり良くない。

でも悪いことは悪いと正しく人生について教えてくれる熱い教師だ。

俺は中では信頼し頼りにしてる。


そして今は進路相談の最中だって事を思いだす。


あっ、やべ。

現実逃避してた。

今は恋愛よりも進路だよ進路。


「それで進路についてお前の考えはどうなんだ?。やっぱりこのまま進むのか?」


「はい、そのつもりです」


「そうか、その考えは変わらないのか?」


「ヒーローになるのは小さい頃からの夢ですから」


「お前がそれを望むのであれば、その道もありかもしれん

 だがな、それは普通ではない人生を送る事になるかもしれないんだぞ」


「わかってます」


「大学や専門、就職だって今なら選べるんだ、お前が選ぼうとしている道は

 考えている以上に厳しい道だぞ」


「それもわかってます、でも折角の《ギフト》なんです。役立たせたいんです」


「そうか、覚悟があるならそれで良い。公認試験と学園はどうするんだ?」


「もちろん、《ギフト》持ちなんですから試験狙いです」


「わかった、それで手続きをしておく。今年の試験は10月だ、準備しとけよ」


これで俺の進路は決まった。

学生が公認試験を受ける場合は学校の認可が必要なので

明確に意思を表示しなくてはいけない。


  

  ◇◇◇



ヒーロー。

一言で表すのであれば《正義の味方》

悪と戦い皆を守る存在。

普通の人にはない様々な能力《ギフト》を持った

カッコよくて爽やかで清く正しい人間。


そんなヒーローに俺はなりたい。



  ◇◇◇



御影明人は何処にでもいるような少年だった。

苗字が重いので明るく育つようにと付けられた名前の通り

明るく元気な子供だった。


外見も勉強も運動もソコソコ。

飛び抜けて凄いわけではないが落ちこぼれる程でもない。

所謂、普通の子だ。


もちろん大抵の男の子と同様に

日曜の朝はテレビでヒーローに興奮し。

その後、ヒーローの真似をして遊び。

親にはヒーローの変身アイテム玩具を買ってとお願いする。

そんな子供だった。


違うとすれば、ヒーロー好きがちょっと行き過ぎてた位だ。

成長すると周りはヒーローから段々と離れていき

野球、サッカー、ゲーム等に流れていった。

それでも明人はヒーローが好きだった。ヒーローに夢中だった。

そうは言っても現代っ子。

自分の世界に閉じこもる事もなく周囲に合わせて遊ぶことも出来たので

浮くことも疎遠になる事もなかった。


それでも心の中心にはヒーローがいた。

独りの時は色々なヒーローを妄想し。

新しい玩具が出れば親にねだり。

日曜の朝はテレビと一緒だ。



明人が小学校5年の時に小さな変化が訪れる。

体育の授業で走っていると急に転びだした。

歩くことは出来るしジャンプも出来る。

ただ走る事が出来ない。

正確に言えば走ろうとすると足が思うように動かなくて

上手く走る事ができない状態になった。


親や教師は大慌てし病院に連れて行き

脳や体の検査を行った。

結果は異常なし。


医者からは体が急成長しているので感覚がズレ、心が戸惑てしまっている。

今まで通り動かそうとしてバランスが崩れているので

しばらく軽い運動をして感覚を馴らせば問題ないという診断となった。



それから数週間、軽い運動をしつつ感覚を確かめていたが

どうにも違和感が付き纏っていた。


そんなおり、明人と両親にとある人物が訪ねてくる。



「はじめまして《特殊能力管理委員会》の前原俊也(まえばら しゅんや)と言います

 御影明人君に《ギフト》発症の可能性があるのでお伺いしました」



そう、神か悪魔かわからないが今までの平和な日常に

大きな変化をプレゼントされたのだ。


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