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ヒーローの中身  作者: 猫ろろ
新人ヒーロー奮闘編
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32/36

第31話 迫りくる圧力

プランを練りながら

半ば自動操縦で現地に向かう。


途中、支援チームから現場到着の連絡が来たので

市民の誘導及び周辺の防衛と

相手の戦力の分析を合わせて依頼。

指揮官から了解の旨が届き

練ったプランの確認をAIと共に行う。


「これで良いかなっと検証開始」


「分析を開始します・・・・・完了しました

 結果を表示します」


あっ、ちなみにこの子喋りますよ。

バイク用だと規格が小さいからそこまで流暢じゃないし

表示内容もそっけないけどね。



作戦成功確率 55%

成功時の被害状況 小規模

失敗時の被害状況 中規模

予測不可状況発生率 高


分析情報

 作戦成功における懸念点は

 相手の戦力が不明と

 当戦力の低さによるものです

 詳細な情報入力をお願いします



「駄目かぁ、やっぱり相手戦力が不明な点がやっかいだよな」


そこに支援チームからの情報が届く。

周囲の情報や相手の分析情報等をそのままAIに入力。

再度の検証を行う。



作戦成功確率 32%

成功時の被害状況 小規模

失敗時の被害状況 大規模

予測不可状況発生率 中


分析情報

 相手戦力との差が大きいです

 部隊の再編制をお勧めします


 

あれ?こんなに下がるの?

相手の分析情報を見てみる。


炎拳(仮):正式名称不明の為、仮に命名

予想戦闘能力 Bクラス

 手足に火を纏い格闘にて戦闘を行う

 現状では格闘以外の戦い方は行っていない

 支援チームが対処にあたっているが効果は低い


う~ん、火を纏うとか仮名称とかって

まんまだよなぁ。

なんかの作意を感じちゃうよねぇ。


予想戦闘能力というのは

現状ある情報で分析した結果を簡易的に区分したものだ。

E、D、C、B、A、S、SSがある。

これは色々と評価項目があるが上に行けば行くほど

被害が大きくなる傾向がある。


Bクラスだと個人戦闘能力で行けば一流だが

複数で掛れば何とかなるレベルでもある。

でも俺と支援チームだけじゃ抑えきれないな。

悲しいぞ俺の能力値。


よし正攻法は諦めよう。

気を取り直してプランを切り替える。  



作戦成功確率 78%

成功時の被害状況 小規模

失敗時の被害状況 小規模

予測不可状況発生率 中


分析情報

 承認可能レベルの成功率ですが

 部隊の再編制をお勧めします



これぐらいなら何とかなるだろ。

大吾さんが駆け付けてくれる事だし。


「うしっ!目的地が近いな

 待ってろよ!俺が助けに行くぜ」





  ◇◇◇





「ハァッハァッハァッ」


それから少しの時間が経ち

俺は片膝を着いて肩で息をしている。


「どうした?もう終わりか?

 勢いよく挑んできたものの大した事ねえなぁ」


炎拳はこちらを見下ろしながら余裕の表情で笑っている。


「明人!大丈夫か!」


「ハァッハァッ、だ、大丈夫です

 と言いたいところですがかなり厳しいです」


「そうか、こっちもかなり厳しくなってきた

 このままじゃジリ貧だな」


「どうしますか?向こうは全然余裕そうですよ

 少しでも時間が稼げれば何とかなるとは思うんですが」


「あぁ、それには決定打が足りないな

 俺と明人じゃ彼奴に届かない

 お前の《ギフト》で投擲は逆に威力が強すぎるしな」


「ですねっと」


「いつまでも喋ってないでかかってこいっ」


そう言って炎拳が間合いを詰めてくる。

俺が前に立ち大吾さんが後ろで援護射撃を始める。


《お守り様》の展開準備をしながら小刻みに加速を使った

フェイントを織り交ぜて攻撃を行う

そこに大吾さんの射撃が加わり

更に支援チームからの補助もある。

しかし、どういう事か相手はフェイントにも援護射撃にも

大した反応をしないのに自然な動きで躱す。

躱すというよりは軌道上から体を外すといったような動きだ。


くそっ、こいつ明らかにBクラスなんかじゃない。

複数で囲んでも1発も入れられない上に

こちら手加減して攻撃できるなんて最低でもAクラスじゃないか。


どうしてこうなった・・・・。




  ◇◇◇



現場に到着した時には既に避難誘導は完了しており

市民は1人もいなく支援チームと警察官がいるだけだった。

小さいクレーターのようなものが其処かしこにあり

建物にも少なからず被害が出ている。

焦げ跡等は目立つが延焼はしてないようだ。


支援チームが5人係りで対応しているが

笑いながら中央で平然と攻撃をいなしているのが炎拳(仮)だろう。


「そこまでだ!これからは俺が相手だ!」


そう声高らかに宣言し支援チームの前に進み出る。


「ハハっ、やっとヒーローの御出ましかよ

 こいつら弱いくせにチョコチョコと小うるさくてなぁ

 退屈してたとこなんだよ」


「そりゃ申し訳ないね

 ここからは俺が相手だ」


《棍棒君》を右手に《インパルス君》を左手に持ち

左腕部には《お守り様》をセットし戦闘態勢をとる。



「楽しませてくれよ」


そう言って炎拳(仮)が一歩を踏み出してくるが

速度が異様に速い。

そのままの速度で炎を纏った右腕で殴り掛かってくる。

その動きだけでも洗練された動きだと判る。

とっさに加速を使い左側にステップし

相手の肩側に移動する。

相手の背中が目の前に来た瞬間を見計らって更に加速を使い

《棍棒君》を振り下ろす。


ドスン


やけに重い音がしたと思ったら

体に衝撃が走り吹き飛んでいた。

3メートル程吹き飛んだが何とか着地。

衝撃はあったものの打撃ダメージはそうでも無い。

今、何をされた?


「お前すげーな

 なんであんな動き出来るんだよ

 急に目の前から消えたぞ」


「それは企業秘密さ」


軽口をたたくも内心は焦る。

まったく相手の動きが見えなかった。

会話で時間を作りながら支援チームに確認をする。


どうやら俺が攻撃をしようとした瞬間に

爆発的な速度で左足を軸に方向転換し

そのまま右腕で攻撃されたとの事。

しかも手加減しているのか掌打だった。

確認してみると足元に小さなクレーターが出来ている。


なんつう踏込だよ。


「いくぜぇ」


そこからは防戦一方だった。

攻撃をするものの躱されるた上に攻撃される。

隙を作らないようにすると攻撃が出来ないの悪循環だ。




  ◇◇◇




「どうしたどうした

 勢いは最初だけか~」


そんな軽口を叩かれるものの余裕は無く。

攻撃を躱し防御する。

タイミングをみて攻撃をするも躱されてばかりだ。


時間にして15分程度の攻防で既に《HP》は7割を切った。

このままじゃ不味いなと考えながらも

動きは止めずに防御する。


「おぉうぅらぁ」


飽きてきたのか炎拳(仮)が大きく踏み出し攻撃してくる。

それをギリギリまで引きつけてギリギリで避ける。

ここしかない。

至近距離で《インパルス君》を実弾モードで連射する。

そこに加速も追加する。


「おらぁぁぁ」


ドンドンドンドンドンドンドンドン


鈍い音が響き炎拳(仮)の動きが止まる。


「ふぅ、あぶねぇあぶねぇ

 短気になるもんじゃねえな」


左の掌で弾丸を全部受け止められていた。


「まじかよっ!」


「おうおう、今の攻撃は良かったぞ

 もっとそういう攻撃をしてくんなきゃ駄目だぜ」


「アンタ何者だよ

 そんなに強いのに無所属の流し何て事はないだろ」


「ハハ、俺はな



 おっと!」


炎拳(仮)が急に何かを思いついたかのように頭を後ろに逸らす。


チュイン


頭があった場所を銀色の何かが通り過ぎ地面に突き刺さる。

これは・・・。


「大丈夫か!明人!」


「大吾さん!」


「おっ、また追加かい

 いいねぇいいねぇ」


大吾さんが俺の隣に立つ。


「こいつが炎拳(仮)か?」


「えんけん?おおそうそう俺の名前は

 炎拳って呼んでくれれば良いさ

 よろしくな」


「嘘付け!今適当に言っただけだろ」


「ハハ、嘘じゃねえよ

 それによ

 名前なんかどうでもいいだろ!」


そう言って踏み出してくる


「明人は前を頼む、俺は後ろだ」


「はいっ」


そうして2対1になり戦いは再開した。





  ◇◇◇




2対1になっても攻撃が当たらない。

防戦一方という事はないが決定打が出せずにいる。

相手は未だに掌打以外の攻撃はしてこないので

受けたダメージはそれほどでもないが

大吾さんも俺も何回か吹き飛ばされ体力が減ってきている。

相手は本気を出してもいない。

それに俺の《HP》も4割を切った。


このままじゃやばい。

でも打開策がねぇ。


焦りながらも加速を使い防御し。

加速を使い攻撃する。

もう加速を使わないと付いていくことすらできない。

ジリジリと減っていく《HP》。

大吾さんも攻撃密度を上げようとして

連射に近いレベルで打ちまくっている為、《HP》に余裕がなさそうだ。


幾度目かの攻防後に少し距離があいた。



「ハハ、二人揃ってもそんなもんか

 飽きてきたし終わりにするかな」


一言で雰囲気が変わったのがわかる。

炎拳の体に力が漲っていくのがわかる。


「おう、お二人さん楽しかったぜ

 最後に全力をお見舞いしてやろう」


まずい!あれは絶対にまずい!


「大吾さん、あれは・・・・」


「ああ・・・あれはちょっとどころじゃなくやばいな

 俺の事は良いから全力で避けろ」


《お守り様》を最大出力で展開しつつ

最大加速で動けるように体制を整える。

思考も加速しタイミングを見極める。





「なるべくなら死ぬなよ」


その瞬間、破砕音と共に炎拳の姿がブレる。

正確に言えばこちらに向かって今までの比ではないレベルで

踏み出したためブレて見えたというのが正しいだろうか。


「あっ、無理だコレ」


想像を何枚も上回る速度で迫りくる炎拳を見て

体がまったく反応できない。

意識だけが反応し肉体が追い付けないレベルでの速度だ。

次の瞬間にはどうなるかが予想が付き。

諦めかけたその時。





目の前に光沢のあるブルーが差し込む。




ドッグワァァァァ




空気が震える程の衝撃がおき。

収まると炎拳と組み合ってるホリゾンブルーの人影があった。



「お二人とも大丈夫でしたか」


「「 新見さんっ! 」」



そこにはいつもの落ち着いた声で

話しかけてくる新見さんの姿があった。















駆けつけてくれた新見さん。

炎拳との実力はどちらが上なのか。

要らない子になってるぞ明人!

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