第20話 届いた想い迫りくる現実
俺、御影明人はついにヒーローになれた。
憧れてた職業に就けたって事だな。
試験に落ち、学園で色々と経験し成長したおかげで・・・・。
おかげ?・・・・なのか?
あれは経験というよりは実験体にされたと言う方が近いと思うが・・・・。
過酷な去年を思い出し自分の回想に突っ込んでしまう。
まぁ、何はともあれ学園に入った事で俺は劇的に変わり
1年でライセンス取得までいけたのは間違いない。
ライセンスも取れ無事に学園を卒業し
就職先はもちろん政府所属のヒーロー狙いだ。
そこからも少なからず色々とあったが無事に就職でき配属も決まった。
配属先はそこそこの規模の地方都市に決まった。
◇◇◇
配属された都市は名前を采光市。
人口10万人弱のの地方都市だ。
高速道路のICがあり交通量は人口の割に多い。
海と山に面しているため海産物から山の幸まで季節によって楽しめる。
電車は2路線使用可能で駅と駅は徒歩で10分程度離れていて
其処には繁華街もあり街としては賑わっている方だろう。
この都市は15年程前から都市整備を行っており新旧が混ぜ合わされたような街並みとなっている。
疎開化が進むわけでも無く緩やかに人口は増えている。
郊外に企業の工場は幾つかあるが目立った産業があるわけでもない。
所謂、普通の地方都市だ。
特段目立つ要素もないが生活する分には便利な快適な都市と言える。
ヒーローの職場と言うか仕事場は
待機場所と兼ねているので秘密基地っぽい作りになっている事が多い。
何だかんだと言いながら漏れると問題になる情報が多いから
独立した組織として運営されている。
設置場所も表向きはカモフラージュ用の建物が建っていて
そこの地下等にこっそりとあるのが一般的だ。
出入り口も巧妙に偽装&最新鋭の監視装置に守られているので
まず見破られることはない。
あるトップランクのヒーロー等では飛行船や潜水艦が
そうだったりもする。
運営資金が幾らなのかは気になるところだが・・・・。
ちなみに俺の仕事場は街中より少し郊外よりの中間地点。
五階建てのマンションで一階部分が喫茶店だ。
流行のコーヒーショップではなく純喫茶の渋い店で
マスターがまた良い味出してるんだ。
そしてコーヒーが美味いっ!
マスターは関係者だが働いてるウエイトレスさんは
普通のバイトの方です。
ちょっぴり可愛いんだよね~。
看板娘として人気がある。
おじさんしか来ないけどね。
店構えからして若い方入りにくい雰囲気の上に駐車場ないし。
地下施設はシェルターを兼ねているので面積は結構広い。
そこに指令室、訓練室、仮眠所なんかがある。
ここに所属しているヒーローは3人。
リーダークラスが一人と先輩が一人でやっている。
実際にはリーダーが指揮官として動き、実働隊として先輩と俺が組んで
対処に当たる体制だ。
まだ一回も出動ないけどな・・・。
指揮官の名前は新見雪江さん。
そうあの新見さんです。
クールビューティーさんです。
どうも学園に推薦した者が卒業すると優先的に配属されるらしい。
一種の青田刈に近いものがあるよな。
すげぇリスキーだけど。
そして先輩が五色大吾さん。
俺よりも数年先輩で昨年、此処に転属されたとの事。
見た目はハッキリ言ってイケメンです。
身長も180はあり細マッチョでイケメンです。
髪もサラサラだし言葉使いも柔らかくイケメンです。
いつもニコニコとして爽やかな笑顔を絶やさないイケメンです。
どこからどうみてもイケメンです、ほんとうにありがとうございます。
ここって美男美女しかいねーのかよ?!
まぁ、色々と問題のある先輩なんだけどさ。
そこでの仕事と言えば。
まずは事務作業から始まった。
ヒーローと言っても事務作業は色々とあるからね!
それに新人だし関係各所に覚えてもらう事も仕事だよね!
覚えることは沢山あり。
学ぶことも沢山ある。
喫茶店の掃除は凄い綺麗にした。
コーヒー豆の仕入れはドキドキした。
ケーキも少しづつ美味しく作れるようになってきた。
そんなこんなで早くも3ヶ月程過ぎた頃。
「うぉぉぉぉぉ、ヒーローの仕事してぇ」
開店前の準備中に
本日のブレンドコーヒー豆を焙煎中に
唐突に湧き上がる思いが思わず口に出る。
そうなのだ3ヶ月もずっと事務作業や喫茶店の仕事ばかりして
悪と一回も戦ってない。
戦闘訓練はしているものの求めていたのはコレじゃない。
そもそもヒーローとして外にすら出ていない。
室内でコーヒー技術を磨く日々にも限界がきていた。
主に精神的に。
ニコニコと笑顔で床をモップ掛けしている大吾先輩。
えらく真面目な顔でグラスを磨いている新見さん。
渋い顔で苦笑しているマスター。
皆がヤレヤレと言う顔でこちらを見てくる。
その中でも新見さんが溜息をつきながら声をかけてくる。
「ふぅ、どうしたんですか?唐突に?」
「コーヒーを勉強するのは楽しいですし
ケーキ作りも燃えるんですが
ヒーローの仕事したいっすっ!」
「具体的には?」
「ヒーローとして外に出たいっす!」
「ふむ・・・・そうですか
でわ来週になりますがヒーローとして仕事依頼が来ていますが受けてみますか?」
「やりますっ!やらせてくださいっ!」
内容も聞かずに仕事に飛びつく。
ついに新人としてヒーローデビューをするのだ。
「まってろよ~、悪の組織!
助けてやるぜチャイルドさん達よ!」




