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ヒーローの中身  作者: 猫ろろ
ヒーローへの道
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第18話 想いは近く 理想は遠く




目の前には海が広がっている。

浜辺はの砂は白くてキラキラしているがゴミが流れ着いているせいか少しだけ汚い。

穏やかな海からは心地よいリズムで波が押し寄せる。

時間も早朝の為、人も少なく犬の散歩とランニングをする人がたまにいるぐらいだ。


夜明け前に海に来てから数時間。

何も考えずに海だけ見続けている。

防寒はしているもの寒さはジワジワと沁みてくる。

今はそれぐらいが心地よいが。



「あれから1ヶ月か・・・」




  ◇◇◇




目が覚めたら病院にいた。

どれだけ寝たかは分からなかったが頭はスッキリしているから

結構な時間を寝ていたようだ。


「その割には体が随分と重いな」


どうにも思うように体が動かない。

手足の感覚はあるし痛みもない。

体を持ち上げようにも上手くいかない。


「よし、一気に力を入れるか・・・・・よっと!」


上半身を力任せに持ち上げるようにすると少しだけ頭が上がる。

そこには胸から下がカプセルのような物に包まれている自分の体だった。

真っ白な少し光沢のあるプラスチックの様い見える素材でできている。

それが胸から下を覆っており体を押さえているようだ。


「えっ?なにこれ?」


状況が全然わからない。

試験中じゃなかったっけ?

何なのこの状況は。

そして枕元にある機械からはピーピーと音がしている。

どうやら俺が動いたことによって何かのスイッチが入ったようだ。

体も動かせず何も出来ないので諦めて力を抜く。



シュっと音がすると部屋に誰か入ってきたようだ。

足音がこっちに近づいてくる。


「目が覚めましたか?何処か痛いところはありますか?」


視界内に看護師さんが入る。


「ええ、痛いところはないです」


「そうですか、では少しお待ちくださいね」


そう言って枕元の機械を操作すると

空気が漏れるプシューっとした音と共に自分を覆っている物が

左右に割れベット下に格納されていく。

そこには下着だけの体が出てくるが目立った変化は特にない。

完全に体が露出すると重みがなくなったので体を起こす。

重みはまったくなく心なしか以前よりも軽く感じるぐらいだ。


「体は大丈夫そうですね、気分はどうですか?」


「気持ち悪くもないですし、問題なさそうです」


「それは良かった、では少し検査をするのでもう一度、横になってください」



そこから検査機器を繋がれ色々と検査されたが

体には特に問題無いと診断された。

ただ念のため一晩休んでから帰る事にはなったが。


ひと段落した後に看護婦さんと入れ替わりでスーツ姿の女性が入ってくる。

新見さんだった、ちょっと嬉しい。


「お元気そうですね」


「はい、と言っても何で病院にいるかがわかってないんですが・・・」


「そうですね、でわ最終試験の最初辺りから説明しましょう」





  ◇◇◇



明人は全力で走っていた。


目的に向かって目標に向かって。


憧れていた夢に向かって。



最終試験の敵は人間から見ると大きい。

8メートル位か。

《HP》の残りを気にしつつも加速しながら走っていく。

徐々に見えてくるがその姿はブリキ玩具のロボットのように見える。

あの四角い頭に堂、何も掴めなそうなU字の手、まともに歩けるが不思議な関節が見当たらない足。


「まんまレトロなロボットじゃねーか!」


思わず突っ込みつつも走っていく。

どうやら手当たり次第に暴れているだけで明確な目的はないようだ。

既に到着した受験者達が攻撃しているのが見える。


「こうしちゃいられないってね」


更に足に力を込め現場に急いだ。




  ◇◇◇




現場に着くとそこは混乱の坩堝だった。

ある者は手から光線をだし。

ある者は重火器の様な物で攻撃し。

ある者は刀で足を切りつけていた。


「何で重火器やら刀なんて持ってんだよっ!!

 それ以前に金属バットとか持ってるやつ居なくね?!

 皆、どれだけなんだよ」


(これは後にわかる事だが個人試験を突破してくるような奴は

 何かしらのバックアップを受けているか学園出身が多数を占めるため

 明人の様な自前で用意してくるのは最終試験まで残らないのが普通なのだ。

 そもそも装備品の質も全然違うしね。

 試験内容もそうなってるし・・・・爆発なんてジャージじゃ防げないでしょ。

 そんな試験を最終まで来てしまった明人がちょっとアレなんだが。)


結構な人数が攻撃をしているが大して効いている感じはしない。

表面を少し傷つけてるだけのようだ。


俺に何ができる。

考えろ。

考えろ。


何が有効だ?

何をすればいい?


頭の中で打てる手を片っ端から検討する。


接近戦をするにも刀で通じないのに

金属バットでどうにか出来るかわからない。

一撃を入れるなら弱点に入れるしかない。

弱点はどこだ?

先っから見ていると足は無駄っぽい。

手を片づけたところで動かれたらアウトだ。

やっぱ頭か。



「わかんなきゃわかんないなりにやるしかねーな!」



まず行ったのは仲間を作る事。

これは個人がバラバラに攻撃してもラチがあかないからだ。

率先して遠距離攻撃している奴に声をかける。

相手も効果が無いと思っていたようで何とか話が通じる。

そうして何人かとグループを作り考えた計画を伝える。


計画と言うには単純な内容だ。

ロボットが歩こうと足を上げた瞬間に足を上げてない方の方を全力で攻撃する。

それと同時に上げている足を全力で加速させる。

それだけの事だ。

一旦倒してしまえば後はどうにでもなる。


要はバランス崩させて倒しちまおうぜってだけなんだけどね。



タイミングの打合せを行い、ポジションに着く。

次に足を上げた時が最後だ。



「今だっ!」



一斉に攻撃を行いつつ、上げた足を前に向かって《加速》させる。

明らかにバランスを崩したのがわかると

周りも理解できたのか集中攻撃を行う。



ズズーーーーーーーーン!



大きな音と共に仰向けに倒れる。



「やったぜぇぇぇぇぇぇぇぇ」



計画通りに上手く進んだ事で一気にテンションが上がり

倒れたロボットに這い上がり胸に仁王立ちする。


「悪は倒れるってね!これで終わりだぜ」


金属バットを限界まで振りかぶり《HP》残量も気にせずに

全力で振り下ろす。



ガイーーーーーーーーーーーーンッ!



大きな音と共に金属バットが弾かれ手から抜け飛んでいく。

そこで急激に冷静になり現実を直視する。




傷すらついてねぇ・・・・・。

所詮、金属バットじゃ無理だったわけだ。



そこでロボットの目が点滅しながら光りだす。



「これってもしかして・・・・」



危機を感じ緊急離脱しようにも《HP》は空。

意識が遠くなりつつも気力で後ろに飛び退く。




その瞬間、視界全体を白い光が包み込む。


「やっぱ目からビームですよねぇぇぇぇ・・・・・・」




明人の意識はそこで途絶えた。

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