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ヒーローの中身  作者: 猫ろろ
ヒーローへの道
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第17話 新たなる試験


出口を出て少し歩くと市街地と郊外を結ぶ少し大きめの道路にでる。



片側2車線で中央分離帯は無い。



左に行くと市街地、右に行くと郊外だ。



「これからどうすれば良いんだろうな」



《テリンク》は沈黙したままで指示は来ない。



ここは自分で考えろって事かな。



「やっぱり市街地かな・・・・郊外での大規模戦闘もあるかもしれないけどなぁ


 う~ん、どうすっかな」



悩んでいると反対側の右斜め前の少し道路から離れた場所に何かが動いているのに気が付く。



大きさは俺の腰ぐらいで形は上に黒い丸がついていて下は水色の丸みを帯びた長方形かな。



「ちょっと距離があるから何とも言えないけど


 見た感じだと子供だよなぁ


 あれが次の試験なのかね」



腕を組みつつ少し考えてみるも何も思いつかないので



とりあえず近づいてみることにする。






  ◇◇◇



車は走ってないし、道路もかなり遠くまで見渡せるが



何処で視られているかもわからないので



少し歩いて信号機まで行き、青になるのを待ってから横断歩道を渡る。



「まぁ、結局は車なんて一台も来なかったけどなっ」



ほら一応さ、試験中だからね。




道路を渡るころには子供らしき姿がもう少しはっきりわかった。




どうやら立って泣いてるみたいだ。




「これもヒーロの役目、子供は守らないとな」



子供が泣いてるのは嫌なもんだし。






『ピンポーン』



「何の音だ・・・・?」



『指示を伝えます、指示を伝えます』



「あぁ、《テリンク》か、何か館内放送みたいだな」



『子供が1人、迷子になっています見つけ出し保護をお願いします


 繰り返します


 子供が1人、迷子になっています見つけ出し保護をお願いします


 服装は水色で胸には名前の騎士(ないと)君と書かれた名札が付いています』



随分と具体的な指示がくるねぇ。



そのまま騎士君に向かって歩いていく。



合流してからどうすれば良いんだろうな。



自宅まで送るの?泣き止ませればいいの?何かから守ればいいの?



なんかアバウトな指示だよなぁ。



「そもそも保護しろだけってさ、指示がアバウトすぎんだろ?」



思わず口に出てしまう。



『保護するという内容をどうとるかは個人の判断に任せます』



「答えてくれんのかよっ」



一方通行の通信だと思いこんでいたので驚きのあまり突っ込む。



『試験内容に関わる内容についてはお答えできませんけどね』



え~、そんなもんなの?



なんだか微妙に脱力するも騎士君に近づいていく。




  ◇◇◇




そんなこんなで近づいていくと騎士君がはっきりと見えてくる。



「ん?なんだ?」



・・・・なんか違和感ない?



いや確かに子供が泣いてるし声も聞こえる。



でも何か人間らしくないと言うか・・・生き物らしさを感じないと言うか。



何だろうか・・・もっと近くまで行かないと駄目か。




近づいてみても泣きながら手で顔が隠れているので



よくわからないが名札は騎士君とちゃんと書いてある。



まずは泣き止まない事には話も出来ないよな。



前に座り込み目線の高さを合わせる。



「騎士君だよね~、大丈夫?


 迷子になっちゃって怖かったね


 もうお兄さんが来たから大丈夫だぞ」



「ワーン、ワーン」



「どうした~、泣いてたらわからないぞ~」



「エーン、エーン、エッグエッグ」



「どうした~、男の子だろ~」



「ヒックヒック」



もうちょいか。



「よーし、よーし、強い子だね」



「ウ・・・・・ウン」



「どうしたんだい?お母さんは?お父さんは?」



「ワカンナイ・・・・キガツイタラココニイタノ」



なんだろう・・・・さっきから違和感がぬぐえないんだが・・・。



「そっか、じゃぁお兄さんと一緒に探そうか」



「ウン、サガスー」



目を抑えていた手をどかし



そのまま両手を広げて抱きついてくる。



「子供は可愛いなぁ・・・・っっ!」



今まで見えなかった目が露わになると違和感がハッキリと形になる。



目の部分だけがモンタージュで間違えたかのように



黒い帯の様になっている。



目の位置に黒い鉢巻を巻いているのが近いイメージだ。



そこに赤い目の様な、でも明らかに目じゃない機械のレンズが埋まっている。



そして額部分にはタイマーのような数字が・・・・・残り5。



「オニイチャーン」



「うっ、くそっぉぉぉぉぉっ」



しゃがみこんだ状態から後ろに体重をかけ一気に加速する。



同時に騎士君を後方に強制加速させる。



《HP》の残量なんかを気にせずにフルパワーで加速を行う。



数メートル距離がとれた所で騎士君が爆発。



『ドッゴーーーーーーーーッ!!!!』



「やっぱりだぁぁぁぁぁぁ」



爆発が起きた瞬間に動き出した衝撃(空気の動き)を自分を避けるように



角度をつけて斜め横に加速させる。



手を目の前でクロスし衝撃に備え後ろへの加速はそのまま維持。



出来る限りの対応はしたがかなりの衝撃が体を襲う。



加速も手伝ってか10メートル程の距離を転がる。



「ぶっはー、死ぬ、これ死ぬぞっ!」



土まみれになりながらも体の無事を確認するも心臓がバクバクだ。




『でも死ななかったでしょ?』



《テリンク》からフォローの通信が入る。



「まあね、ってフォローになってねえよっ!


 普通に考えて死ぬでしょ?あれ間違いなく死ぬでしょ?」



『でも《ギフト》持ちだし死ななかったでしょ?』



咄嗟に頭に何かが閃く。



あっ!駄目だ、これ駄目なやつだ・・・・。



「諦めが肝心ってことだよね、うん、受け入れよう」



また一つ、何かを諦めた瞬間だった。




  ◇◇◇



その後も色々な場面が用意された。





世界征服を狙う組織による、幼稚園バスハイジャック。



 → 何故、幼稚園児を誘拐して世界征服に繋がるのか?を思想論破し解決。



破壊テロ組織による高層ビル爆破予告。


 

 → 予告場所に行って爆弾処理班の警備(特段なにもなし、組織自体は別のヒーローが退治)。



事故した車から人の救助。



 → 車内から助け出し応急処置を行い救急隊員に引き渡す。



迷子犬の捜索。



 → 普通に探して確保。



駅前の掃除。



 → タバコのポイ捨ては問題だよなぁ・・・結構拾うぜ。



等々。



広範囲に渡る活動を強いられるも指示を的確にこなしていく。





「って、《ギフト》関係ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!


 なんなのこの指示?これで何の試験なの?これで俺の何がわかるの?」



迷子犬辺りから何かおかしいとは気付いてたけどさ・・・・掃除ってなんだよ・・・・。



加速度的に気持ちが萎えるのがわかる。



「《ギフト》使ってないから《HP》が回復したから良いけどさ


 もうちょっとこう、ヒーローっぽい事やりたいよ」



そんな俺の気持ちを察したのか《テリンク》から次の指示が来る。



『ピンポーン』



『指示を伝えます、指示を伝えます』



『最終試験のお知らせをいたします


 悪の組織の大型ロボットが現れました


 各自判断のもと迎撃してください


 なお、今試験においては周囲への被害は試験結果に影響しません


 総員、全力をもって当たってください』





背筋がゾクッとする。



ついに来たっ!来たよこれっ!



ここが正念場だ、ヒーローの見せ場だ。



やってやるぜ。







最終試験。



初めての大型敵、そして大規模戦。



加速がどこまで通用するのか。



明人は唇を楽しそうに歪めて走り出す。



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