第10話 試験会場に向かおう
進路を決めてから数か月、いやもっと言えば《ギフト》持ちになってから
この日の為に頑張ってきたんだ。
◇◇◇
抑制装置を付けてからは《ギフト》発動が可能なのは政府機関の訓練所のみ。
訓練所自体は全国各地の支部にあるので利用していた。
そこでは抑制装置を外し、思うままに発動が可能だ。
まぁ、能力内容によっては危ないので全区画予約制だ。
区画は大小あって小さい部屋が大体15メートル四方。
大きいところだと学校の体育館ぐらいだろうか。
そこで各々が能力を磨く。
通常、貸してもらえるのは部屋だけなので道具類は自分で持込だ。
市営のスポーツジムや会議室を想像してもらえれば良いと思う。
とえあえずそこに通いつめてずっと頑張ってきたんだ。
◇◇◇
試験会場に到着するとは結構な人がいた。
それっぽい雰囲気を出してる人や「えっ?あんな子が?」と言いたくなるような子まで。
「此処にいる人は全員が《ギフト》持ちなんだよな
何か皆、凄そうなんだけど・・・」
その《ギフト》持ちの1人だという事も忘れて思わず周囲に飲まれそうになる。
「駄目だ駄目だ、ビビッてどうする」
頭をふって頬を叩き、気合を入れなおす。
◇◇◇
受付には綺麗なお姉さんがいて対応していた。
ちょっと吊り上り気味の切れ目でセルフレームの薄い赤の眼鏡が良く似合う。
シンプルなタイトスカートのスーツにセミロングの黒髪。
う~ん
クールだな美人だ。
クールビューティーだ。
ずっと見ていたいところだが目的はそこじゃない。
とりあえず受付をしよう。
「すいません、受付をお願いします」
「はい、ではこの機会に左手首をかざしてください」
言われた通りにすると、なんとっ。
何も起きなかった。
そういえば身分証明はこれでいいんだった。
「ありがとうございます、受付終了しました
それでは本日の流れを簡単に説明いたします
午前中は筆記試験と適性検査を行います
午後は実施試験を行い、面談後に終了となります
結果は後日郵送でのお知らせいたします」
うおっ、すげぇ事務的にスラスラと説明されちゃったよ。
「実施試験はどんな事をやるのですが?
ヒーロー志望とサポート志望では違うと思うのですが・・・」
「はい、希望するコースと適性検査によります
詳しくは冊子をお読みください
他に何かありますか?」
「いや、特には・・・」
「次の方、どうぞ~」
うわぁ、スッパリ切られた。
厳しそうな人だなぁ。
まぁ、お姉さんを見ていてもしかたがない。
試験だ試験。
貰った冊子には大まかなスケジュールが書いてある。
「ふむふむ、午前中は筆記試験で基礎知識を測定し、適性検査で能力測定か
午後は実施試験ね」
実施試験は幾つかの項目に分かれてる。
もちろんヒーローだと戦闘形式がメインとなっていて。
以下の中から題目が組み合わされ実施される。
毎回、試験内容は当日まで未定だそうだ。
・単独戦
・複数戦
・特殊戦
・個人防御
・施設防衛
・状況判断
・緊急時対応
などなど。
「特殊戦ってなにさ、何が特殊戦なんだよっ」
気になる点は色々とあるが試験内容が不明なので焦っても仕方がない。
まずは筆記試験だ。
筆記試験では基礎知識が問われる。
一般常識から法令まで幅広くだそうだ。
基本的には普通の考えを持っていれば通るらしい。
"あまりにも一般常識とかけ離れた考え"、"そもそも常識がない"
そんな奴をヒーローにするには色々と危険なので
選別も兼ねているという噂だ。
その為、筆記試験で落ちる奴は殆ど出ない。
むしろ落ちる奴は要注意人物にマークされるんじゃないかって思えるぐらい強烈な奴との事。
「常識ない奴に力を持たせても危ないだけだしな、うん
なんとなくわかるね
ふふん、午前中は楽勝だぜ」
筆記試験については事前情報通りなので問題視してない。
「よーし、少し早いけど試験会場で気分を落ち着かせてよう」
◇◇◇
試験会場の自席"C37番"にて。
「なんだよっ!なんで何も無いのさっ!
こんな時って誰かに絡まれたり、可愛いけど性格悪い子の事件に
巻き込まれたりするじゃんっ!
ちゃんと"少し早いけど"ってフラグも立てたじゃんっ!
ここでイベントが起こって試験には間に合わないけど
俺の力を見た試験官とかがさ「なんだ?あいつはっ!!」みたいに
驚いてスカウトされたり、試験免除とかになったりするんじゃないのかよ」
◇◇◇
何か自分の人生に色々と勘違いしている明人の
ヒーローへのチャレンジが今始まる。




