それゆけ、ベアラビ軍団
まもなくして、エリーゼを大聖女に認定することが大司教様によって発表された。
国内は魔王を倒した聖女様の大聖女への昇格に沸いて、至る所で聖女フィーバーが起こっている。
まだ一日フルで出歩くことはできないけれど、少しの時間でも神殿へ手伝いに訪れるエリーゼを一目見ようと、たくさんの人が神殿に列をなしているようだ。
国を挙げたお祝いムードに、私はニコニコと毎日の公務をこなしながらも、胸の奥のドロドロとした何かに耐えていた。
***
「──そう、そうなんですよ……!! そこが先生の素敵なところで……。……あーっそうそう!! わかります!? あの冷めた目がまた良いんですよねぇ……!!」
「……お前はいったい何をやってるんだ……」
呆れたような声が背後で聞こえて振り返ると、若干引き気味に私を見つめるレイヴンがそこにいた。
「レイヴン。おはようございます。見ての通り、ベアラビ達と先生のすばらしさについて熱く語りあっています」
私がきりりとそう答えると、私の目の前で集まって座っていたベアラビたちはいっせいに頷いた。
騎士団の訓練場の一角。
私は朝からベアラビたちを集めて、彼らに明日開かれる大聖女お披露目パーティの警備について、説明を行っていた。
会場となる城内の警備は騎士による警備。
そして城の外はベアラビ軍団との共同警備を予定している。
外回りの大部分をベアラビ達が担ってくれる分、会場内に人員が避けるので、大助かりだ。
さすが、持つべきものは先生親衛隊の同志達だ。
「まぁ、もともとは明日のパーティの警備について説明してたんですけどね。いつの間にか先生のすばらしさを語り合う会になっちゃってました。えへ」
「えへ、じゃねぇわ!! こんなところでベアラビ引き連れて布教活動──いや、変態活動してたらこの状況に慣れてない奴らは入ってこれねぇだろうが。見ろ!! 出入り口で顔引きつらせながらこっちを見てる一年生たちの顔!!」
そう言われて訓練場の出入り口に視線の向けると、朝練に来たであろう騎士科の一年生たちが、引きつった顔でこちらの様子をうかがっているではないか。
「皆さん入ってきたらいいのに。先生のすばらしさについて学ぶいい機会──」
「新入生にまで布教活動しようとすんな!!」
「ちっ……」
でも確かに、在校生や騎士団の人は私のコレはもはやも見慣れているだろうけれど、つい昨日入学したばかりのグローリアス学園の新一年生からしたら少し──いや、かなり異様な光景かもしれない。
「仕方ない。撤収させますね。──ではベアラビ軍団の皆さん、明日はよろしくお願いしますね!! 解散!!」
「キィ――――っ!!」
私の号令に、ベアラビたちはいっせいに返事をして立ち上がると、綺麗に列をなして退場していった。
うんうん、素晴らしき統制力だわ。
それゆけ、ベアラビ軍団!!




