火照った頰と汗ばむ朝
「たけし〜!遅刻よ〜!早く起きなさい〜!」
お母さんの叫び声が一階から聞こえた。
「いけない!たけしさん!急ぎましょう!」
イノシシガールのかおるちゃんは、時計を見て突然焦り出した。
階段を駆け下りてリビングへ行くと、お母さんが心配そうな顔をしながらお弁当を手渡してくれた。
「ありがとう!」
僕はお母さんにお礼を言うと、食パンを口にくわえながら、慌てて靴を履き、頭からは星が飛び出て、目はマルバツサンカクというような、よくある漫画状態で駅に向かって走った。
たけしは、なんとか駅に着き、いつもの電車に乗って一息ついた。
さっき口に詰め込んだ食パンがまだ流れておらず、息も詰まりそうだった。
「いや〜。あせりましたね〜。」
イノシシファッションのかおるちゃんは、ふぅ〜と息を吐き、火照った顔を手でパタパタしながら言った。
すると、かおるちゃんは、
「朝からイノシシファッションの力説をしてしまって申し訳ありませんでした…。」と、謝ってきた。
「別に大丈夫だよ…。」
と、僕は返した。
「たけしさんがよくお話を聞いてくれるので、ついお喋りになっちゃうんです。朝から恥ずかしい…。」
かおるちゃんは、顔を赤くして恥ずかしそうに言った。そして、また両手でパタパタと火照った顔を仰いでいた。駅まで走ったから余計に汗ばむのだろう。ほっぺが赤くて可愛かった。
すると、かおるちゃんは、ポッケから何やら白いシートを出した。
かおるちゃんは、すぐに僕の視線に気がついた。
「ん?これ?…これは、ふきふきサラ肌シートです。フェアリー界の超便利グッズです。これで一拭きすればサラサラになります。たしか人間界にもありますよね?」
僕は目を丸くして驚いた。
朝からイノシシファッションと、フェアリー界の汗拭きシートを見せられるなんて。
こんな朝を迎えられるのもフェアリーのかおるちゃんとの出会いがあったからこそだ。
たけしは、静かに微笑んだ。
かおるちゃんもニッコリ笑っていた。




