春のコスチュームチェンジ
「たけしさん。すみません。また着替えるのを忘れてきてしまいました。すぐに着替えます!! 」
そう言うと、かおるちゃんは僕の目の前でパジャマを脱ごうとした。牛柄のモコモコがめくり上がり、僕は、心臓が止まりそうになった。
「待って、ここで着替えないで!! 」
僕は慌ててこの場で着替えようとするかおるちゃんを止めた。
「すみません。でも大丈夫です。 」
かおるちゃんは冷静な顔でそう言った。そして、またモソモソと動き、パジャマを脱ぎ始めようとした。
僕は念のため目を閉じて、少ししてから片目だけ薄っすらと開けてみた。
すると、牛柄のパジャマはスルリと脱げていき、瞬く間に新たなコスチュームに着替えたかおるちゃんが現れた。どうやらフェアリーは、早着替えができるようだ。驚きと同時に少しガッカリもした僕であった。
「フェアリーは、瞬時に着替えることができるんです。すごいでしょう〜。」
腰に手を当ててドヤ顔をしてみせるかおるちゃん。目が星のようにキラキラと光り、まるで満面のドヤ顔という感じであった。
「今日からたけしさんは高校三年生なので、春らしく私も新しい制服にチェンジいたしました。どうでしょうか? 似合っていますか? 」
かおるちゃんは、新しい制服のスカートの裾をヒラヒラとさせてクルッと回って見せた。
初めて出会った頃から今まで、深緑のブレザーにピンクのリボンとチェックのスカートという制服スタイルであったかおるちゃん。たしか、夏場は半袖シャツが爽やかだったような気もする。
この高校3年生の春という微妙な時期に、コスチュームチェンジをするという発想はなかったので僕は驚いた。やはり、女の子の脳内は理解できないことばかりだ。
それにしても、これまでの制服は、なかなかお洒落で可愛かったのに変えちゃうなんて残念だ。
「前のも可愛かったと思うけど……。」
そう言ってたけしは、かおるちゃんを上から下までよく眺めた。
髪型は、変わらず自然なウェーブのロングヘアスタイル。首元はセーラー服よりも少し大げさな広い襟が特徴的。
日本のスタンダードなタイプの制服とは真逆で、制服と言うよりもどこかの知らない国のファッションショーに出てきそうな斬新で奇抜なデザインの洋服のようだった。




