規約と秘密とクシャクシャ戦法
「さて、ここを見ておくれ。」
タキじぃが指差した先には、大まかな規約のポイントが書いてあった。
「まぁ、これはほんの一部じゃ。しかし、この規約の本、一冊全て最初から最後まで覚えろと言っても無理なことじゃ。このページに簡単に書いてあるから、ポイントを押さえて覚えて帰っておくれ。さぁて、今から説明するぞ。」
タキじぃは、そう言って眼鏡の位置を手で直して、腕まくりをした。おじいちゃんなのに、なかなかの腕の筋肉だった。
「まず一つ目、規約を守ることじゃ。これが一番大切なことじゃ。実は、この本の内容は、ホームページで確認できる。フェアリーテールタキザワで検索すると出てくるから時間がある時に呼んでおいておくれ。わしも最近スマホに変えたんじゃ。ほれ。」
タキじぃは、得意げにスマホを胸ポケットから出した。そして、スイスイと指でタッチし、ホームページの画面を見せてくれた。トップページには、タキじぃの写真がバッチリと載っていた。
「次に二つ目、これも大事なことじゃ。秘密を守ることじゃ。フェアリーは若者全員に付き添っているわけではない。君のお友達みんなにフェアリーが付いているわけではないのじゃ。だから、フェアリーがいるいないに関わらず周りの人々に話すことが禁じられておる。」
「あの……秘密を守らなかったらどうなるんですか? 」
僕は、質問した。
「秘密は守らんといかん。守らなければ、それはそれは恐ろしいことが起こるのじゃ。昔、人間とフェアリーの間で問題が起こったことがある。また同じようなことが起きてしまったら……フェアリーは、人間の前に姿を現さなくなるであろう。」
その話をするタキじぃの顔が、何とも言えないホラー映像だった。僕は、こわくなって少し震えた。
「今のところ他の人に気づかれている気配はないじゃろう?」
「はい。ないと思います。いつもかおるちゃんが瞬間移動? というか、気付いた時には見えないように隠れてる?みたいなので。でも、みんなには見えてない? ようにも思います。」
僕がそう言うと、タキじぃは大きく頷いた。
「そうじゃ。フェアリーは訓練されている。かおるちゃんは優秀なフェアリーだから大丈夫じゃな。」
タキじぃがニッコリと笑うと、タキじぃのクシャクシャ頭の中から、かおるちゃんがひょこっと顔を出した。
「さぁ、次にいこうか。」
タキじぃは、かおるちゃんに全く気づかず話を進めた。
タキじぃのクシャクシャ頭をさらにクシャクシャにして、かおるちゃんは可愛いイタズラ顔をしてみせた。




