にわかでにわかを脱出作戦
果てしく続くにわかの住人のもてなし。辟易して来たユキに法師が客人である自分たちもにわかをして、拍手喝采を受ければ、もてなしは終わるのだとつげる。法師の提案で打ち出の小槌アプリで法師は巨人になり、大うけする。
「ユキさん飽きましたか?法師さん、そろそろ抜け出しましょうか。」
ゆきが声を潜めて言いました。
「心得ました。」
「どうするの?こっそり抜け出そうにもこの人込みじゃ無理よ。」
「ご心配なく、私たちがにわかをすればよいのです。」
「ここではね、客人がにわかをして拍手喝さいを得ればもてなしは終わるのよ。」
「ええ?私何もできないわよ。カラオケで歌うくらいしかできないもの。」
「大丈夫です、とっておきの方法があるのです。これをやればみな拍手喝采まちがい無しです。」
「法師さん、みんなから見えるかしら。」
「それは大丈夫です、打ち出の小づちを使うのです。」
「打ち出の小づちって、大きくなるやつですか?」
「はいそうです。」
「でも小づちなんてどこにあるの?」
「スマホに打ち出の小づちアプリがあるのです。これを使います。ユキさんのスマホにアプリを送りますね。」
そういうと法師は、スマホを取り出しました。法師の懐にあるスマホ、もう本当に小さいです。
ルルルル、ユキのスマホがなりました。
「本当だあ、アプリがある!」
法師「いいですか、アプリを開いて私に向かって振り振りするのですよ。その時おまじないを唱えるのです。大きく、大きく、大きくなあれ、と。」
三人はこっそり打ち合わせをしました。
「如何いたしました、お客人殿。」
「私たちもお礼ににわかをしようかと相談していたのです。」
たぬきはそれを聞いて大喜びをしました。
「皆の衆お客人がにわかをされるそうです。このようなことはここ幾年もありませぬ。」
やんややんやの大歓声。三人は舞台に立ちました。真ん中に法師がいるのですが、遠くからでは見えません。
「にわかの皆様、この度はお世話になりました。そのお礼に私たちのにわかをご覧に入れます。」
うわーーーパチパチ!!!やんややんや!
「ユキ様、かわいい!!」
「なんでここだけ今風に盛り上がるわけえ? (゜_゜i)」
「情報だけは勉強しているみたいよ。」
「では始めます。ここに法師さんがいます。今から私がおまじないをかけます。さあよーく見ていてくださいね。」
そういうとユキはスマホを取り出して、法師に向かって振りました。
「大きく、大きく、大きくなあれ♪。」
「みな様もご一緒に!」
ゆきものってきました。
「大きく、大きく、大きくなあれ♪」
観客の大合唱です
さあどうでしょう、法師は少しずつ大きくなっていきます。おおおおお!!!みんなから驚きの声。
「やったあ、よおし、大きく、大きく、大きくなあれ♪」
「ねえちょっとふりすぎよ。」
「えっ?」
ゆきが心配そうに声を掛けましたが、間に合いません。法師はどんどん大きくなって天井にまで届いてしまいました、でもまだまだ伸びていきます。
「きやあ、屋根があ。」
「屋根をはずします!」
法師は屋根を外しました、でもどんどん大きくなりとうとう、巨人になってしまいました。
「進撃の法師です!」
ゆきはユキにささやきました。
「ユキさん、ちょっとやりすぎですよ。」
この章は歌舞伎の融通無碍の世界観で書いてみました。




