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いつか行った隠れ里  作者: 天野幸道


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㉚ユキの秘密と将来

ユキは家路につきました。見送った後、おじいさんとおばあさんの家では二人が次第に狸とうさぎに変身して行きました。ユキのお父さんお母さんもここで育ちましたが都会に行き、隠れ里の力を無くしたのです。ユキが跡取りになれる力があることを二人は喜んでいました。ユキはまだそのことをしりません。

よろしかったらブックマーク、評価してくださいね。

翌日ユキは駅にいました。

「お爺さん、おばあさん、お世話になりました。」

「またおいでね、お正月にはみんなで餅つきをしようね。」

「はい、これ。畑で取れたお野菜で作った漬物よ。お父さんお母さんへのお土産よ、ユキのぶんもちゃんと入っているからね。」

「ありがとう!また来るね。絶対に。」

列車は駅を離れ、ユキは窓の外の景色を見ていました。

色んなことがあったわ、まるで夢でも見ているみたい。本当は夢だったのかなあ?だって一昨日来たばかりだもの。

ユキを見送った後、家に戻ったお爺さんとおばあさんは二人そろって縁側にいました。

よっこらしょと座った二人、いつの間にかそこにはたぬきとうさぎが座っていまし

「おばあさんや、ユキはせいちょうしたね。ユキのお母さんとお父さんも昔はユキのように”もの”を見る力があったのに、都会へ出てからはすっかり消えてしまったようだね。」

「ええ、ユキの両親が幼いころ、身寄りが無くて二人を引き取って育てたけれど、あの頃は、まだ里の力があったのにね。」

「都会の学校に行かせて、今じゃ里の記憶はすっかり消えているなあ。でもユキは違ったようだ。」

「里で育くまれた力が、両親を通じてユキに蓄えられたのね。それにユキは幼い頃にゆきんこたちに会っているからね。」

「人間と”もの”はお互い助け合っていたのに、文明が発達していつのまにか人間は自分たちだけが、世界を動かしていると思うようになった。」

「私たちは、妖怪だとか化け物とか、お伽噺だけに出てくる架空の存在にされてしまったわ。」

「人の心が荒むと里の”もの”たちの力も衰える。私たちの力が衰えると人間の心はますます”あやし”すらこえたすさんだ心に支配される。」

「そう、人と”もの”は一心同体、どちらが倒れてもダメよね。」

「ユキは、二つの世界の橋渡しをしてくれそうだね。」

おじいさんたぬきとおばあさんうさぎは嬉しそうに空を見上げていました。

挿絵(By みてみん)

次回最終回です。猫又ミーを主人公にした物語が始まります。

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