㉖魔王は鼠浄土へ
魔王は元鼠浄土の王様、猫又ミーは鼠を食べるのを止め、ネズミたちは改心して浄土へ帰っていきます。
寂しげに見送るユキ。
「うわーーー,やめてくれー!!たすけてちゅー!!!」
「本当にネズミになったウッス。」
「蝙蝠って英語だとBATだけど、ドイツ語だとFledermaus 飛びネズミって意味だって聞いたことがあるわ。」
「ユキさんは博学ですね。」
「どうりで、美味しそうに見えたわけだにゃあ。生で食べるかウエルダンで食べるかどちらにするかにゃあ?」」
「ちゅちゅちゅー、止めてくれー!!俺は美味しくない!」
その時声がしました。
「ミー助けてあげなさい。魔王はもういないのですから。そこにいるのは元のネズミですよ。」
「もともと野ネズミだったのね。」
「人間が山を切り開き住む場所も無くなったの。迷っていたところを”あやし”の心に侵されてしまったのね。」
「でもなんかあんなことされて、まだ気持ち的に許せないわ。て、魔王はどうなったの?死んだの?」
うぐいす姫「死んでないわ、まだいます。」「どこでウッス?戦うウッス!」
「ここはあやしの世界、隠れ里と同じ”存在”の場所。存在は永久に消えないわ。」
「本来人間界も同じなのよ。でも人間は時を無駄にしてしまったの。限りある時間でしか生きられなくしてしまったの。」
「善人が悪をなすように、悪人が改心して善人になるように、人の心にも善と悪があります。異界でも同じです。私の倒した鬼も元は人間だったのです。」
「人でも動物でも物でも、善にも悪にもなるのよ。」
ユキ「そっかあ。」
「ユキさんも、あやしに操られたこともあったでしょ。」
「ユキさんイケメンに弱いウッス。」
「それを言われるとよわい。(゜д゜;)」
「魔王は姿を変え力を変え、心に隙間のできた“もの”に入り込むのよ。でも今ここにはいない。少なくともこの瞬間、そして野ネズミにはね。」
「私も悲しさから黒梅になってしまったわ。」
「でも私たちは一心同体。」
ミーはしばらく考えていました。
「そうかあ、じゃあ食べるのやめるにやあ。。その代りににやあ、後で川魚をお礼に持ってきてにやあ。」
「分かりました、上等なのを持ってまいります。この御恩は一生忘れません。」
そいうと元魔王のネズミは鬼火だった子ネズミを連れて去っていきました。
「さようならイケメン魔王のマオ。」
ユキは少し寂しそうでした。
この物語では善と悪というはっきりとした区別はつけていません、誰でも必ず善の心を持っているという考え方です。魔王も元は鼠浄土の王様と言う設定です。




