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いつか行った隠れ里  作者: 天野幸道


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14/20

たわむれに恋はすまじ

モゲラ28号の振動で壁が崩れモグラ地たちは下敷きに。飛梅は哀れに思いモグラを許してやります。ゆきんこの起こす風に乗りみんなは地上に飛び立ち、モグラと手下たちはみんなを見送ります。

挿絵(By みてみん)

「どうしよう、今がチャンスだけど逃げ出せない。」

「ユキさん打ち出の小づちを振ってくださいウッス。私が天井を支えますッス。」

ユキはうなずくとスマホの打ち出の小づちを臼の方に向けて振りました。

「大きく、大きく、大きくなあれ!」

みるみる臼は大きくなり天井を支えています。そしてさらにさらに大きく大きくなりました。

ギャーーーーーー、うわーーー

臼は天井を突き破りそれでも大きくなって、とうとう地面の上に頭が出ました。光が穴の中に差し込み、光に当たると地下の者たちはみな倒れてしまいました。

「風を起こすわ、みんな飛ぶわよ!ユキ、みんなの大きさを元に戻して!」

「私もたのみまウッス」

みんな空に舞い上がりました。

後には土に埋もれたもぐらと部下たち。

「ちょっと待って、もぐらたちを土から出してあげて。いきなり光にあたって弱っているわ、地面から出て来れないのよ。このままじゃ死んじゃうわ、かわいそうよ。」

ゆきはうなずくと下に降りました。

「つむじ風!」

ゆきが起こしたつむじ風は、もぐらたちを埋めた土を舞い上げました。

「もぐら、しっかりしなさい。」

 飛梅の声に、もぐらは意識を取り戻しました。

「梅子さん、、助けてくれたのですか。」

「生きているものをむやみに死なせたくないわ。あなたのことは嫌い、でも倒れている私を助けてくれたりしたもの、そのお礼です。」

「すまない、、あなたは本当に良い方だ。私は日陰者、地下の者、醜いもぐら。恋すれど恋すれど嫌われて、やがて金で何でもできるような気持ちになっていました。でも、金目当てで寄って来たおなごたちは、本気では愛してくれませんでした。」

もぐらの涙はサングラスからボロボロこぼれています。

「あなたは地下の生き物たちを助けているではありませんか。あなたのおかげで地下の生き物たちはどこに行くにもあなたのトンネルを利用して助かっているし、お仕事ももらっています。あなたは本当は心優しいもぐらですよ。」

挿絵(By みてみん)

「飛梅やさしいね。」

「誰でも愛されないと本当の愛が分からなくなるのよ。」

 ユキとゆきは二人を見て言いました。

「もぐらは案外いいやつなのですね。」

みんなはもぐらたちに別れを告げると再び空に舞い上がりました。

空をゆく飛梅を見ながらもぐらはつぶやきました。

「たわむれに恋はすまじだなあ。」

挿絵(By みてみん)

こうして皆たわむれの町を後にしました。

「このまま隠れ里に帰れるのね。おじいちゃん、おばあちゃん元気かしら。」

「人間の時間にしたら何カ月も旅したことになります。人間の世界ではまだ数分も経っていません。でもこの場所では誰も変化しないし、年も取りません。」

「おばあちゃんのご飯食べたくなったわ、隠れ里にはどのくらいで着くの?」

「それがまだ帰れないのです。」

「えっ、どうして、どうして帰れないの?!飛梅を助けたじゃないの。」 


色々な童話や民話の要素を感じていただければ嬉しいです。

よろしければ評価とブックマークを。本を出したいと言う見果てぬ夢があります。

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