たわむれの街 本物が無くてウッス!
たわむれの街は本当のことを言わない動物の化身の街。住人は信用できず,臼は物である樽に訪ねると、飛梅を見たと言う。ユキは壁の穴から飛梅の歌声を聞く、一寸法師はそこがモグラの住処だと言う。
「わあきれいな街!」
目の前には絵本に出てきそうな町が広がっていました。明るい陽射し、白い壁、石畳、赤や青の屋根。新緑の木々、窓辺にも草むらにも河原にも花がいっぱい。 近くには牧場。
「本当に危ない街なのかしら?」
「この町の人の話は、本気で聞いちゃだめですよ。」
「本気で?」
「試しに私が聞いてみるね。」
町には、良い身なりの人が沢山歩いています。シルクハットをかぶって、金時計を見ている人。パラソルをさしている貴婦人、カフェでコーヒーを飲んでいる人、それは絵本で見るような風景でした。
「もしもし少しお尋ねしたいことがあるのですが。」
ゆきは背の高いひげを生やした紳士に聞きました。
「おおこれは異国の美少女殿、お声かけられ光栄であります。してなにようでありましょうか?」
「実は飛梅を探しているのです。こちらに小さな女の子は飛んできませんでしたか?」
「飛梅とな?おお、遠くジパングの妖精でありますな。さてここには飛んできたような形跡はございません。よろしければお嬢さん、そこのカフェで将来について語り合いませんか?」
「いえいえ結構です。」
紳士は一礼をすると去っていった。
「あ、あの人の後ろ。」
紳士の後姿は狐でした。前だけ紳士、後ろは狐。
「そうなのよ、ここは皆たわむれ、ふざけている感じかな。」
法師は打ち出の小づちで身体を普通サイズにしてもらい、今度は貴婦人に声をかけました。
「もしもし奥様、ここらで飛梅を見かけませんでしたか?」
「あら、ハンサムな男の子。飛梅はあなたの彼女?それより私とダンスホールでおどりませんか?」
法師が断り、去っていく貴婦人の後ろを姿を見ると、雌鶏でした。
「みんな偽物ってことなのかな。」
「ここでは、本物を見つけるのが難しいのですよ。」
「住人はだめでウッス。私が物に聞いてみまウッス。」
「物って?」
「生き物はここの町ではまやかしでウッス。みな何かの化身で、偽物の自分を演じて満足しているのです。でもここでは”物”は隠れ里でも九十九と呼ばれている通り”その物”であるのでウッス。ほらそこの樽に聞いてみるウッス。」
そういうと臼は樽に声をかけました。
「もしもし、私は隠れ里の臼でウッス。飛梅をみかけませんでしたかウッス。」
すると樽に目鼻が出てきました。
「おおあなたは遠い里の臼でしたかタル。同じ木の仲間でタル。飛梅、あの歌いながら飛んでいた梅の花をつけた女の子ですね。あちらの建物の方に飛んで行きましたタル。」
ユキはおもわず吹き出してしまいました。
「九十九は嘘をつかないのでウッス。」
みんは建物の壁のところに行きました。
「でもここのどこにいるのでしょうね?」
その時どこからか歌声が聞こえました。『
『梅にうぐいす、うぐいすに梅♪うぐいす餅は何個食べる♪隠れ里にはいつ帰る♪』
ユキは地面に顔を近づけました。
「ここよ!地面の下から聞こえるわ。」
みんなは地面に耳を近づけました。
「どうやらあそこの壁の穴が、この下につながっているようです。」
「なんで地面の下なんかにいるんだろう?」
「もしかしたら捕まったかも。」
「となるとあれに捕まったのですね。」
「あれって?」
「もぐらです。」
「もぐら!」
「うーん、やっかいだわね。金持ちもぐらだわ。可愛い女の子を見つけるとお嫁にしようとするのよ。お金で何でもできると思っているのよ。」
「それって、おやゆび姫みたい。」
「そうです、あのもぐらです。」
「もぐらの穴とか入れないわよね。」
「大丈夫です、名案があります。」
「どうやって入り込むの?」
「みんな打ち出の小づちで、小さくなるのです。」
西洋の親指姫の話のパロディみたいな感じの話になります。




