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いつか行った隠れ里  作者: 天野幸道


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10/19

たわむれの街 本物が無くてウッス!

たわむれの街は本当のことを言わない動物の化身の街。住人は信用できず,臼は物である樽に訪ねると、飛梅を見たと言う。ユキは壁の穴から飛梅の歌声を聞く、一寸法師はそこがモグラの住処だと言う。

挿絵(By みてみん)

「わあきれいな街!」

目の前には絵本に出てきそうな町が広がっていました。明るい陽射し、白い壁、石畳、赤や青の屋根。新緑の木々、窓辺にも草むらにも河原にも花がいっぱい。 近くには牧場。

「本当に危ない街なのかしら?」

「この町の人の話は、本気で聞いちゃだめですよ。」

「本気で?」

「試しに私が聞いてみるね。」

町には、良い身なりの人が沢山歩いています。シルクハットをかぶって、金時計を見ている人。パラソルをさしている貴婦人、カフェでコーヒーを飲んでいる人、それは絵本で見るような風景でした。

「もしもし少しお尋ねしたいことがあるのですが。」

ゆきは背の高いひげを生やした紳士に聞きました。

「おおこれは異国の美少女殿、お声かけられ光栄であります。してなにようでありましょうか?」

「実は飛梅を探しているのです。こちらに小さな女の子は飛んできませんでしたか?」

「飛梅とな?おお、遠くジパングの妖精でありますな。さてここには飛んできたような形跡はございません。よろしければお嬢さん、そこのカフェで将来について語り合いませんか?」

「いえいえ結構です。」

紳士は一礼をすると去っていった。

「あ、あの人の後ろ。」

紳士の後姿は狐でした。前だけ紳士、後ろは狐。

「そうなのよ、ここは皆たわむれ、ふざけている感じかな。」

法師は打ち出の小づちで身体を普通サイズにしてもらい、今度は貴婦人に声をかけました。

「もしもし奥様、ここらで飛梅を見かけませんでしたか?」

「あら、ハンサムな男の子。飛梅はあなたの彼女?それより私とダンスホールでおどりませんか?」

法師が断り、去っていく貴婦人の後ろを姿を見ると、雌鶏でした。

「みんな偽物ってことなのかな。」

「ここでは、本物を見つけるのが難しいのですよ。」

「住人はだめでウッス。私が物に聞いてみまウッス。」

「物って?」

「生き物はここの町ではまやかしでウッス。みな何かの化身で、偽物の自分を演じて満足しているのです。でもここでは”物”は隠れ里でも九十九と呼ばれている通り”その物”であるのでウッス。ほらそこの樽に聞いてみるウッス。」

そういうと臼は樽に声をかけました。

「もしもし、私は隠れ里の臼でウッス。飛梅をみかけませんでしたかウッス。」

すると樽に目鼻が出てきました。

「おおあなたは遠い里の臼でしたかタル。同じ木の仲間でタル。飛梅、あの歌いながら飛んでいた梅の花をつけた女の子ですね。あちらの建物の方に飛んで行きましたタル。」

ユキはおもわず吹き出してしまいました。

「九十九は嘘をつかないのでウッス。」

みんは建物の壁のところに行きました。

「でもここのどこにいるのでしょうね?」

その時どこからか歌声が聞こえました。『

『梅にうぐいす、うぐいすに梅♪うぐいす餅は何個食べる♪隠れ里にはいつ帰る♪』

ユキは地面に顔を近づけました。

「ここよ!地面の下から聞こえるわ。」

みんなは地面に耳を近づけました。

「どうやらあそこの壁の穴が、この下につながっているようです。」

「なんで地面の下なんかにいるんだろう?」

「もしかしたら捕まったかも。」

「となるとあれに捕まったのですね。」

「あれって?」

「もぐらです。」

「もぐら!」

「うーん、やっかいだわね。金持ちもぐらだわ。可愛い女の子を見つけるとお嫁にしようとするのよ。お金で何でもできると思っているのよ。」

「それって、おやゆび姫みたい。」

「そうです、あのもぐらです。」

「もぐらの穴とか入れないわよね。」

「大丈夫です、名案があります。」

「どうやって入り込むの?」

「みんな打ち出の小づちで、小さくなるのです。」


西洋の親指姫の話のパロディみたいな感じの話になります。

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