とても炎を操るとは思えない冷静な男、炎の英傑レイ
領地占領を拒む為炎を村の端に広げて、島が燃えているように見せてる孤島。
通称炎の里。
「…」
そこに住まう、一人の青年。
「レイ兄ちゃんー!また青い炎出して見て!」
「うん、良いよ。見ててねー…」
村の子供達に囲まれるレイと呼ばれるその青年は、手を握り、ゆっくりとその手を広げた。
沢山の色に染められた炎を見つめ、子供達は感嘆の声を上げる。
「わぁ…綺麗!!」
そう言って子供達は触れようとする。
「触ったら熱いよ?」
「触れないの?」
「火だからね、火傷しちゃうよ?」
「えーーー…こんなに綺麗なのになぁ…」
「ふふ…触れないからこそ、綺麗に見えるのかもしれないよ?」
「「ええー!?」」
「なにそれぇ!!」
「意味わかんない!!!」
青年は豪快に笑った。
「あはは!そっか?意味わかんないよね?ごめんね?でも熱いから触るのはやめておいたほうがいいよ?」
「「はぁい」」
幼い子供達の頭を撫でるレイ。
ーーすると
「レイ様!!!」といつもより騒がしい兵士達に緊張が走る。
「どうかしたの?侵入者?」
「ええ、侵入者を4名。生捕りに致しました。」
「…」
「なんだか、勇者…と、名乗られて…」
「勇者…」
「もしかしたらとは思ったのですが…信用には足らず、貴方様に判断していただこうかと…」
「…」
「おい!!!レイ様の前に連れてこい!!!!」
「「はっ!!!!」」
レイの目の前に連れてこられたのは、後ろに手を組み手錠をかけられている少女。
地面にうつ伏せにさせられ、体の自由を奪われている少年。
そして足と手を縛られ、宙吊りにされている男女二人の姿だった。
「おいコラァ!!!!てめぇら!!離せや!!!!」
「黙れ!!!無礼者が!!!」
「おいコラァ!!!どいつが頭だぁ!!話つけてやるから呼んでこいやぁ!!」
「ちょっと…バルド君落ち着いて…!!!」
「…」
「レイ様、どうなさりますか…」
レイはジッと、ある人物を見つめていた。
ーーモアである。
モアは彼が話せばわかる人物である可能性と、炎の英傑である可能性に望みをかけ口を開いた。
「…私はモアと申します。貴方…私たちの光が見えますか…?」
「…」
レイは彼女の魂に見える眩い光を感じとる。
そして「そうか…貴方が…」と呟いた。
「レイ様…」
「彼女は…本物の勇者様だ…すぐに手錠を外してください。」
「「はっ!!!」」
モアはすぐに手錠を外され、自由な身となる。
「あ、あの、彼らも仲間なんです!!」
「…」
吊るされ、地面に押し付けられている三人を見つめると、再びモアを見つめ微笑んだ。
「彼らは喧しいので、貴方が良ければそのままで。」
「へ!?」
その言葉を聞いて黙っていられなかったのがこの人物。
「おいテメェ!!!聞こえてんぞ!!優男みたいな顔しやがってドSの権化かテメェ!!!!!」
「そうよ!!!早く外しなさいよ!!!」
「痛い痛い痛い!俺何も言ってない!!」
モアは苦笑し、シンが気の毒だったが「一旦そのままで大丈夫です…」とレイに告げた。
「改めて…レイと申します。」
「よ、よろしくお願いします…あのーもしかしなくても…」
「はい、炎の英傑です。」
「そうですよね!!期待を裏切らない人!」
「ちなみに3人の勇者様のうちの1人…と言うことでよろしいですか…?」
「はい。」
「そうですか…貴方の光に気が付かず、無礼を働いてしまったことをどうかお許しください」
レイがモアの元に跪き、頭を下げると後ろに並んでいた兵士たち、そして三人を拘束している者達も頭を下げたのである。
「いえいえいえ!?こちらも、急に上陸してしまったので!無礼なのはどちらかといえば私たちなので!頭をあげてください!!!」
「なんと優しい方なんだ…」
「慈愛に満ちている…」
「勇者様…」と手を結びモアを見つめる炎の里の者達。
「ちょちょちょ!!やだなぁもう!やめてくださいヨォ!!!!」
「とりあえず…勇者様、村を案内しますね、こちらに」
「はい、お願いしま…」
「「おい!!!!!」」と大声を出し二人を引き止める三人。
「ん?」
「え?」
「まずこれを外せ!!!」
「なんかよくわかんないけど!!俺らの仲間ってことだろ!?これ外してくれよ!!なぁ!!」
「頭に血が昇ってしんどいの!!!!」
「はっっ!!ごめんみんな!!あのね!!この人たち!すごく喧しい上に喧嘩っ早いけどそれは全部私のためだし、ツッコミ担当みたいなところあるからちょっと口調強めだけどいい人なの!!!!だから解放してあげて!」
「承知しました。」
レイは兵士たちに合図する。
するとフィル、シン、バルドの順に解放され、自由を手に入れた彼らは体をほぐし始めた。
「おいコラァ!!」
「ん?」
「テメェスカした顔しやがって!?あ!?」
「許さねぇぞ!!!」とレイに掴みかかろうとしたバルドだが、里の兵士達に再び捕えられる。
「馬鹿ね。」
「バルドー…ここは人様の島なんだからさぁ…郷に入っては郷に従えだぜー?」
「うるせぇ!!そのスカした顔一髪殴らせろ!!!この優男がぁ!!!!」
レイはその見た目からは想像できないほど豪快な笑い方をする。
「やっぱり君は吊るされてなね」
「あぁ!?」
そう言って手際よく吊るされる羽目になってしまったバルド。
「「…」」
どこか3人は「自業自得」だと思ってしまっていた。
「とりあえず…痛めつけたりはしないのでお三方だけ案内します、それでいいですか?」
「私はいいわよ?あいつ居ると喧嘩になりそうだしね?」
「ちょっと可哀想だけど!バルドなら許してくれるだろ!」
「そ、そうだね、話を進めるためにも…致し方ない…」
「「バルド(君)そういうことだから!!!」」
そう言って三人はバルドの怒号を背に感じながら歩き始めたのだった。




