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あまりにも残酷な力

【登場人物】

ルェン

モアの母親


レオ

モアの弟


トワ

モアの弟


※胸糞悪い展開が起こるので、嫌な人は飛ばしてください

連れてこられた先で、ニーナの瞳に映ったもの。



「ニーナちゃん…」

「…おばさ…っ…」



そこは、モアの家。

身体中に傷を負いながら幼い子供達を抱きしめている、モアの母ルェンがいた。



「ごめんなさい…」



ルェンは震える声で呟く。



「マコトさんに…家に隠れていろって言われたのに…」


「…っ」



そう言ったルェンは明らかに瞳孔が開き切っていて、焦点が合わない。


彼女はどこか様子がおかしかった。

そして



「どうしてお父さんの短剣を…」



その手にはマコトの短剣が握られていたのである。



「ごめん…なさい…っ…」

「…まさか……」



ニーナの脳裏に、レイナの言葉が蘇る。



「生死を左右できる力」


もしそれが


「生死を操る力」だとしたら。



「お前…」



一つの恐ろしい予想がよぎり、ニーナはユアンを睨む。



「この人を操って…私の家族を傷つけさせたのか」

「…さぁなぁ…?」



ユアンは笑った。

そして、ルェンへ手を向ける。



「何を…!!!」

「まぁ見てろよ…」



指先が僅かに動いたその瞬間。



「嫌……嫌ぁ!!!」



ルェンの叫び声と共に彼女の身体が動いた。

そしてニーナの肩へ短剣が突き立てられる。



「…くっ…」



ニーナはそのままルェンを抱きしめた。



「…は…っ…」



ニーナは気づいた。

微弱だが、まだ心臓は動いていて体も温かい。



それはまだルェンが生きていると言うこと。



「…」



ルェンは、自分の意思とは関係なく操られていると言うことを察した。



「チッ…まだこいつ生きてやがるのか…」



「どうりで操りにくいわけだぜぇ…」

そう、ユアンは呟いた。



そして彼は喉が切り裂そうなほどに掠れた笑い声を上げた。



「愉快だねぇ…何も知らねえってのは、本当に罪だよなぁ」

「…」



ユアンは卑しい笑みを浮かべる。



「この島で生きてる奴らはよぉ…生きてること自体が罪なんだよ…!!!」



ユアンは、喉が切り裂かれそうなほど掠れた笑い声を上げた。

そして、指先でルェンの身体を自分のもとに引き寄せ、ニーナから無理やり離す。



「なぁ…ルェンさんよぉ…?大人しく隠れてりゃあよかったのによぉ…?」


「やめて…もう…やめて…」

「あぁ…?」

「お願い…もう許して…っ…」



ルェンの悲痛な声が響き渡る。



「…おばさん…っ」



ニーナは拳を握り締めた。


その表情から彼女がどれほど苦しんでいるのか、ニーナは分かってしまった。



この場に倒れている、モアの幼いきょうだい達。

まだ物心もついていない幼い子供達。


彼らもまた、操られたルェンによって傷つけられたのだろう。



「…お前!!!!!」



あまりにも酷く、あまりにも意地汚いやり方にニーナの身体が怒りで震えた。



「待てよぉ…?」

そう言ってユアンはニーナに笑いかける。



「今ここで動いちまったら…この女は確実に死んじまうぜぇ…?」


「…っ…」


「いいのかぁ?トモダチの…大事なオカアサン…殺しちまってさぁ?」



自分が動けば、ルェンは確実に殺されてしまう。

そう思い、ニーナは動けなくなった。



「なぁ勇者様…」



ユアンはニーナの苦悶に歪む表情を見て楽しそうに笑っていた。



「お前が犯した罪は…こいつらの命で帳消しにしてやる」

そう言った瞬間。


ユアンは部屋の奥に隠れていた、モアの幼い弟妹達へ剣を向ける。



「…やめろ!!!!」



ニーナは咄嗟に間へ入りユアンの攻撃を受け止めた。



「この子達を傷つけるな!!!!」

「へへへ…」



ユアンは笑う。



「泣けるねぇ…でも可哀想になぁ…?」

「…」


「そいつの命はもう…俺の手のひらの上で転がされているんだよ。」


「…っお前…」


「お前のせいで…お前が逃げ出したせいで…こんなことになっちまってよぉ…?」


「…っ…」


「全てはお前が蒔いた種なのに…助けて欲しそうにお前を見つめてるぜぇ…?」


「…ニィ…ナ…ちゃん…」



弱々しい声がニーナの耳に触れた。



「はっ…」



ニーナの外套を弱々しく掴み、涙を流すレオ。



「…助け…て…っ…」

「レオ…!!!」



ニーナが叫ぶ中で、ユアンは愉快そうに笑った。



「安らかに眠りなぁ…ぼうや…」

そういってユアンは人差し指を弾く。



「…」

「…っ…」



その瞬間。

レオの身体から力が抜けた。


外套を握る小さな手が離れていく。



「…」

「おい…おい!!レオ!!!」



倒れ込んだレオを抱きかかえ、声をかけるも返事はない。



「可哀想になぁ…俺がこうして…命を握ってる限り…」

「…っ…」

「傷ついたこいつらは、終われねぇんだよ」

「やめろって!!!!」



動かなくなってしまったはずのレオが、ゆっくりとした動作で動き出した。



「助け…て…」

「…っ…」

「ニー…ナ…ちゃ…」



ニーナの表情が歪む。



「……」



既に失われた命すらもユアンは自由に弄んでいた。



「絶対に許さない…」



ニーナはゆっくりとユアンに剣を向ける。



「おっと…」



その笑みに虫唾が走ったニーナは刃先をユアンの首元へ。



「ニーナ…動くなと言ったはずだぜ…?」

「…」

「お前が動けば俺の指先が動く…そして……」



「こいつらは死ぬ」と双剣を振り回しながらそう告げるユアン。



「まぁ…」



ユアンは頭を抑え表情を歪める。



「…っ…もう死んでるようなもんだがな…!!」

そう言ってユアンはニーナを蹴り飛ばした。



「…っ…人の命を弄ぶな!!!!」


「動くなって言ったはずだぜ?あぁ…なんて嘆かわしいんだ…勇者様は…この小さな命すら守れねぇ…弱いやつだなぁ」


「…っ…!!!」



ニーナはユアンの腕を掴み上げるとそのまま、彼の手のひらへ剣を突き刺した。



「…つっ…テメェ…!!!やりやがったなぁ!!!!」



ユアンは怒りに顔を歪め、怒り狂ったかのように声を上げた。



「…ぐっ…この…女ぁ…!!!!」



彼はニーナの髪を鷲掴み、乱打する。



「女の分際でぇ…俺に怪我させやがって…!!!」

「…っ…かは…っ」

「ニーナちゃん……」



ルェンが震える声で言う。



「私のことは…もういいの…お願い…逃げて…」

「嫌だ…!!!」



ニーナは立ち上がる。



「おばさんだけでも…守る…っ」

そう言って再び剣を構えたその時。



「ニーナちゃん!!!」と言う声が響いたため、声のする方へ振り返ると、そこにはトワというモアの弟の姿がそこにはあったのだった。


生死を操る力:致命傷を負わせた後魂を取りだすことで、相手は何度攻撃されても死ぬことができなくなくなる体になってしまう。ユアンの剣で殺されてしまった者は、ユアンの意思で動く傀儡と化してしまう恐ろしい力。

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