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変わり果てた故郷

ニーナの後を置い、モア達も上陸した。



「なに…なんで音楽が鳴ってないの…?」



その異常な静けさに、モアの胸も騒いでしまっていた。



「…」

「なんだ…この嫌な感じは…」

「…」

「モア待って!!!!一人でいっちゃ…」



モアは無我夢中で走り出した。



「はっ…嘘…嘘嘘…嘘…」



丘の麓の木の下で項垂れるようにして寄りかかっていた人物。



「お…お父…さん…っ…」

「モア!!!どうし…」

「…」

「…っ…」



「お父さん!!!」と泣き叫ぶモアに、シンは駆け寄った。



「フィル!!!」

「…っ…」


「シン!!!お前はモアとその親父さんを介抱しろ!!!フィル!!!」


「は、はい…っ…」

「俺らは島の住民達の生存確認とニーナを探すぞ!!!」

「わ、わかった…!!!」



バルドとフィルは駆け出し、島民の安否とニーナの姿を探しに出る。



「お父さん…お父さん!!!」

「モア…」

「お願い…!!!返事をして!!お願い!!!」

「…っ…」



心臓の音が聞こえなかった。

それでもモアは、父に呼びかけた。



「お父さん…っ…どうして…どうして…こんなことに…!!!!」


「…っ…」



モアは鋭い眼差しを集落へと向ける。



「みんなを…助けなきゃ…っ…」

「…モア!!!」

「…あ…ぁ…っ…」

「へ…?」



完全に呼吸も、心臓も止まっていたはずの父トウジが動き出したのである。



「何…で…っ…お父さん…?」

「…」

「モア!!!」



シンはモアの肩を掴んだ。

悔しそうに眉を顰め、彼は口を開く。



「シンちゃん待って…お父さんが…!!

「聞け!!モア!!!」

「…」

「…お前の親父さんは多分…操られてる…っ…」

「…っ…」


「大元はこの島のどこかにいるはずだ…そいつを倒して…親父さんを弔ってやろう…っ…」


「…っ…」



モアは強く拳を握りしめた。



「早く…その人のところに行こう。」

「…あぁ…」

「…」



モアは一切涙を流さず、不自然にもがく父を尻目に走り出した。


ーー変わり果てた街並み、消えた賑やかな声。



そして聞こえてくる悲鳴。



「みんなが危ない…!!!」

そう言って走るスピードを速めるモア。



「モア!!待て!!!離れて行動したらお前だって危ねぇよ!!!」



モアは自身の家族やニーナの家族、島民達の安否を確認するために走り続けたのだった。




ーーーーーーーー



ーーーーーーーー



剣戟の音が、静まり返った島に響き渡る。



「…へへ…やっとお出ましかぁ」



聞き覚えのある声に、ニーナは息を呑んだ。



「…っ」



その視線の先にいたのは倒れ伏した父、マコト。



「ニーナ…っ」



彼の身体中には傷が刻まれ、片脚には深い傷を負っていた。



「…お前…何をしている…」



震える声で問いかける。その問いかけにユアンは舌打ちをした。



「チッ……こいつ、最後まで吐かなかったんだよ」

「…」

「妻と娘の居場所をな」



怒りが、身体の奥から湧き上がりニーナは剣を握り締めた。



「…まぁいいか」そう言ってユアンは笑った。



「馬鹿な女なら…あの家にいたからな」



ニーナは剣を振り上げた。



「…」



しかし、ユアンは避けながら、愉快そうに笑ったのである。



「危ねぇなぁ」

そう言って低い声で続ける。



「待ってたんだよ」

「…」

「逃げ出した勇者様を…連れ戻しに来たんだ」

「だからってなんで…」



ニーナの声が震える。



「なんでこんなことをしたんだ!!!」

「…」


「お前は私を連れ戻しに来たんだろ!? だったら…なんでみんなを傷つけるんだ!!!」


「ククク…」



ユアンは喉を鳴らすように笑った。



「さぁな」

「…」

「勇者様。裁きの時間だ」



ユアンを映すその瞳に光はなかった。



「団長からの命令なんでな」

「…」

「悪く思うなよ…っ…」



次の瞬間、ユアンの動きが変わった。



「…つっ…」



以前とは比べ物にならないニーナの剣捌きに違和感を覚えるユアン。



「チッ…」



彼は苛立ったように顔を歪めた。



「瘴気を注いだから動きが鈍くなってるんじゃねぇのかよ…!!!」



ユアンの双剣が宙を舞う。



「…っ…」



一瞬、ニーナの視線が逸れた。



「…」

「はっ…」



その隙に、もう一本の剣がニーナの肩を貫く。



「…っ…ぐっ…ゔぅ…っ…」



痛みに耐えながら、ニーナはユアンを蹴り飛ばした。

そして彼女は剣を構え直そうとする。


しかし



「くっ…」



胸を締め付けるような痛みが走り、膝から崩れ落ちた。



「…」



その一瞬を、ユアンは逃さなかったのである。



「あぁ…めんどくせぇなぁ…」



彼はニーナの首元へ手を伸ばす。



「…くっ…」

「…」

「…離…せ…っ」



「来いよ」

そう言ってユアンはニーナを引きずるように、ある場所へ連れていった。

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