選択
ルノーピア皇帝に奇襲を仕掛けるも失敗に終わったアルヴィス。
ニーナを連れルノーピア城をあとにするアルヴィスだったが…
ルノーピア城を出発するための馬車に押し込まれたニーナは、アルヴィスに首筋を掴まれ、その身を自由に動かすことができなくなってしまったのである。
「うっ…っ…」
「…苦しいか…?」
「…あっ…苦し…ぃ…っ…っ…」
「そうか…」と、呟くとアルヴィスはその力をさらに強める。
「…ぐっ…っ…」
「…これはお前の愚行を戒めるためには仕方の無い行為だ。」
「はっ…っ…ぁ…く…っ…」
ニーナは自身の首を掴むアルヴィスの手を掴んだ。
「…っ…」
「お前は何をした。勝手な正義感で国を滅亡させる気か。」
「…うる…さい…私は…間違えていない…」
「…」
「必要ない殺生を…するな…っ…命を…なんだと思って…っ…」
「…チッ…!!!」
アルヴィスはニーナ首元を爪で突き刺し、身体から禍々しい光を放つと、蠢くそれを、彼女に注いで行く。
「…っ…くっ…ぁ…あ…っ…」
焼け付く様な痛みが全身に巡り、ニーナは血を吐き出す。
鼓動が鳴る度に、酷い激痛がニーナを襲った。
ニーナに宿っていた光を闇が覆い尽くしていく。
ニーナの魂が汚れていくその様子に、アルヴィスは恍惚した表情を浮かべた。
「…魂が穢れていく…お前がしたたった一つの愚行のせいでな。」
「…」
「お前は…全ての判断を間違えた…ユアンに怪我を負わせ、あの皇帝を庇い、自国の兵士を危険に晒しかねない行動を取った…」
「お前は愚かだ…勇者の風上にも置けない…」と呟くアルヴィスを、ニーナは鋭い瞳で見つめた。
「…っ…」
その瞳を見たアルヴィスは、一瞬その力を緩める。
「私は…間違えたことは言っていない!!!悪戯に尊き命を奪うことは絶対に許さない…っ…お前は命をなんだと思っているんだ…!!!」
「…ちっ…!!!」
しかし、アルヴィスは再び憎悪に塗れたその手に力を込めニーナの首を絞めた。
「なぜ…そんな瞳で私を見る…」
「…っ…」
「なぜ私の手に落ちない…なぜ…なぜなんだ…」
「なぜです…アレン様…っ…」と呟いたアルヴィス。
「アレ…ン…?」
アルヴィスはハッとした表情を浮かべると、再びニーナを見つめた。
「…貴様に私の瘴気を送ってやる…」
「…っ…うぅ…っ…」
「…」
アルヴィスは、大量の瘴気を送ってもなお決意の揺らがないニーナの瞳を見つめる。
自身の魂に触れられる様に感じ、居心地の悪さを覚えたアルヴィスは、ルノーピアの雪原にニーナの体を投げ飛ばした。
「…っ…は…」
「…お前を見ていると虫唾が走る…」
ニーナは痛みのあまり、涙を流した。
「だったら…どうして…あの時私を助けたの…」
「…」
「見て見ぬ振りもできたんじゃ無いの…どうして私を助けたの?!!放っておけばよかったのに…」
「…」
立ちあがろうとするニーナだったが、痛みに耐えきれず膝から崩れ落ちる。
「…っ…私は…お前の元で行動はしない…お前のような命の重みを知らないような奴に…指図されたく無い…!!!!!」
そう言ってニーナは仲間達の所在も掴めないままに、その場から立ち去ったのであった。




