戦神が誕生した地、ルノーピア帝国
ルノーピア帝国:戦神が誕生した、北方の帝国。
世界の歴史を語るうえで欠かせない最初の大陸に関わる古き国。戦神が誕生した地として知られ、その名は戦いと歴史の深い結びつきを感じさせる。
また、この地には炎の里が存在する。独自の文化を受け継ぐその里は、帝国とは異なる趣を持ちながら、この世界の歴史に彩りを添えている。
威厳ある皇帝のもと、古き伝統を守り続けるルノーピア帝国。その歴史は、戦神の誕生とともに、今もなお語り継がれている。
戦神が誕生した最初の大陸、ルノーピア帝国。
ルメイナ帝国に比べその国は、比べ物にならないほど寒く、作物もあまり育っていなかった。
「神様に感謝して!!」
「いただきます!!」
「「いただきます!!!」」
限りある資源を大切にし、生きるために命をいただく。
国民は皆、幸せそうに笑っていた。
「雪だー!!雪だ!」
「雪ならいつも降ってるでしょーがぁ!!」
楽しそうにはしゃぎ回る子供達を馬車の中から見つめていたニーナ。
「…あ、あの、団長!」
ニーナは窓を開け、馬車の隣を馬で並走するアルヴィスに声をかけた。
ルノーピアに向かう途中何度か打診するも、馬に乗ることを許されなかったため、半ば諦め半分で。
「…」
「あのー、本当に…私だけ…この馬車に乗ってるのもそろそろ申し訳ないので…お、降ります…」
「…そのような装備でこの地を歩くのは命の危険を有する…」
「え。」
「…黙ってその馬車に乗っていろ…」
「はい…」
楽しげに走りまわる子供達を、自分やモア、国の子供達と重ね、涙が浮かんでくる。
「…っ…お母さん…お父さん…っ…」
弟や妹達の名前を呼び、溢れ出す涙を必死に拭うニーナ。
「…帰り、たい…っ…帰りたい…」
馬車が止まっていることには気づかず、ただ1人涙を流し続けていると、声が聞こえて来る。
「ニーナ、城に着いた。早く降りろ。」
「…っ…は、はい…」
目元を擦り、立ち上がったニーナは馬車の扉に手をかけ、ルノーピアの地へと降り立った。
「…っと…ここまで、ありがとうございました。」
「え?あ、いや…構いません…」
「我々の仕事ですから。」
ニーナの言葉に、ルメイナの兵士は戸惑う声を上げる。
「勇者ともあろう方が謙るな。」
「…すみ、ません…っ…」
「…」
ニーナの目元が、赤く腫れていることに気づいたアルヴィスは、彼女の頬に手を当てる。
「…っ…」
「…どうした。」
「い、いや…っ…」
ニーナはアルヴィスから距離を取り、顔を俯かせた。
「…」
「…なんでも、ないので…大丈夫です…」
「そうか。ならば行くぞ。」
「…」
「はい…」と小さく返事をするニーナ。
城にたどり着いたといえども中庭があまりにも広く、氷点下の寒さの中で歩いているルメイナ兵士や、ニーナは中庭から城までの道を歩いているだけで凍え死にそうになってしまう。
「…っ…寒…」
「…」
アルヴィスは自身の外套を脱ぎ、ニーナの頭から羽織らせる。
「…あ、あの団長…寒くないんですか…っ…」
「…黙って歩くこともできない者に…心配される覚えはない。」
「…そう、ですか…でもおかげであったかいです…ありがとうございます…」
「…」
雪化粧を施した宮殿からは広大な景色が広がっている。
厳重な警戒をしている兵士を気にせずに、その城の中庭で遊んでいる子供達の姿が見えた。
「…楽しそう…」
ルメイナ帝国で聞いた「ルノーピアの地は閑散としていて、土地のすべてが戦いのために作られた場所」という言葉が嘘のようにのどかで平和な風景が目に映る。
「…」
その風景に冷え切っている体が温まりかけた時「止まれ。」という、男が行手を阻む。
「何用だ。」
そう言ったのはルメイナ国とは違う装いをする大男の姿。
「帝国ルメイナから参りました。」
「…」
大男は、アルヴィスやルメイナ兵を軽蔑した瞳で見つめた後、ニーナを見つめ目を見張る。
「…貴方様が…剣の勇者様で…いらっしゃいますか?」
「あ、はい…一応…」
「そうですか。」
「でしたら貴方様はそのままお入り下さい。」と告げられるニーナ。
「え?あー…ありがとうございます。」
戸惑いながらも屈強な大男達と城内部へと進んでいったのだった。
アルヴィスを含めたルメイナ兵士達も、ニーナに続こうと足を進めるが、ルノーピア兵に行手を阻まれてしまう。
「貴様らはここで待っててもらおう。」
「我々は勇者様の護衛できている。ルメイナ国で保護している勇者様のおそばを離れるわけにはいかない。どけ。」
「陛下の命令だ。貴様らはここで勇者様を待っていろ。」
そう言った兵士。
自分の背後から発せられる殺気に気づく事はなかったのだった。




