蝕む闇と眩しい光1/2
王の間へと訪れたニーナ。
「…陛下、遅れてしまって申し訳ありません。ニーナです!!!」
声をかけるものの、一切返事がなかった。
「…あのー…アルヴィス団長にここへこいと言われたのですがー…?」
返事がなかったため「失礼します…」と扉を開ける。
「…あ。」
「…」
「…」
ニーナは猛烈に、自分の間の悪さを痛感したのである。
目の前には荒れた息遣いで互いに触れ合おうとしている男女の姿。
それは、この国の女帝であるハルカとアルヴィスの姿だったのである。
「えぇ…っ…」
乱れた制服から見える肌は、思わずニーナの頬を染めあげる。
「…っ…」
「…」
「お前は…」
「…す、すみません…っ…また大しくじりを…お…」
「終わったら呼んでください!!!!!!」とニーナは思わず扉を閉めた。
「な、なんて淫らな光景を…なぜ私は返事をいただく前に入ってしまったんだ…!!!!」
扉の前に正座し、1人反省会を開く中で「いやでも待てよ?」と眉を顰めたニーナ。
「そもそも団長がこいって言ったのになんであんな事してんの…!?」
「ひいいぃ…っ…」
立ち上がったニーナは玉座の間の目の前の扉で、行ったり来たりしながらあたふたしていた。
「何をしている。」
アルヴィスの声が聞こえ、慌てて振り向いたニーナ。
「はっ…」
「…」
「いやあの!お言葉ですが…何をしている?はこちらのセリフなんですけれども…」
「…」
「うっ…」
アルヴィスにじっと見つめられ、気まずくなってしまったニーナは逃げる様に瞳を逸らした。
「すみません…遅れた私に非があります…」
「そう…思うか。」
「…え…?」
「…」
アルヴィスはニーナの頬に触れようと手を伸ばす。
しかし、ニーナがその手を掴んだ。
「…」
「あの、大切な人がいるのなら…こうやって触れない方がいいと思いますよ。」
「…大切な…人…」
「…」
アルヴィスは苦しそうに表情を歪め、瞳を閉じる。
「どうしたの、団長…?」
「…っ…チッ…」
アルヴィスは鋭い瞳でニーナを睨むや否や、彼女の首を掴み上げたのである。
「くっ…な、何…っ…」
「…チラついて…離れやしない…っ…」
「かっ…っ…あ…ぐっ…っ…」
ニーナの細い首筋を掴む力を強めるアルヴィス。
「その眼差しで…私を見るな…っ…」
「…っ…あ…」
苦しみに耐えきれず意識を手放そうとしたその時だった。
「…っ…」
「…」
「…何をしているのです…団長…」
「は…はぁ…はぁ…っ…」
アルヴィスの腕を掴み上げ、ニーナを抱き止めた人物。
「…」
それはルークだった。
「ニーナ1人をここに呼び寄せたのはこうして傷つけるためだったの?団長。」
「…」
ルークの後を追ってリヒト、なぜか傷だらけになりレイナに襟元を引きずられているユアンが追いつく。
「…ふっ…お前たちは随分と…この者に入れ込んでいる様だな…」
「俺はちげぇよ…」
そう言ってユアンは唾を吐いた。
「ユアン君!!!!」
「…っ…」
「ダメだよ!そんなことしちゃ!」
「ちっ…うっせぇな…」
「全く…それにね団長?入れ込んでるのは団長だって同じだよ?なんなら異常なくらいにね?」
「おいレイナ…あまり刺激するな…」
「うるさい。」
リヒトにピシャリと言い放つレイナ。
「…」
「私たちは入れ込んじゃいけないのに、貴方はニーナに入れ込んでいいの?そんなの不公平だよね?自分は良くて他人はダメ…団長?子供みたいなこと言わないの。」
「…」
「…」
「わかった?」
この殺伐とした空気の中で、カラッとした透き通る声が響き渡る。
「ゲホゲホ…っ…はぁ…」
「大丈夫…?ニーナ…」
「あぁうん…っ…」
絞められた喉元には、きつく絞めたことがわかるアルヴィスの手の跡がくっきりつけられていた。
「…一先ず…お前たちはここにいろ。」
「どうして!?私達も…」
「陛下の」
「…っ…」
「ご所望だ…」
そう、レイナたちに告げると、アルヴィスはニーナを連れ扉を開け、玉座へと向かったのだった。




