第8話 初依頼(強制)なんだがどう考えてもおかしい
「――というわけで、依頼です」
「聞いてない」
即答した。
ギルドのテーブルの上には、一枚の紙が置かれている。
「いやお前さっき“協力者”って言ったよな?」
「はい」
「なんで即依頼になるんだよ」
「困ってる人がいるので」
「逃げ場がない」
***
「内容はこれだ」
筋肉男が紙を指差す。
「近くの村で魔物が増えてる。原因調査と討伐」
「重いわ」
どう考えても初心者向けじゃない。
「俺レベル1なんだけど」
「関係ないだろ」
「関係あるだろ!?」
***
「安心してください」
リゼリアが言う。
「私も同行します」
「それでも不安しかない」
むしろ被害が増えそうで怖い。
***
「報酬も出るぞ」
筋肉男が付け加える。
「金か……」
少しだけ揺れる。
***
「……いやいやいや」
首を振る。
「金より安全だろ普通」
「安全ならお前がいるから大丈夫だ」
「その理屈やめろ」
***
その時。
「……あの」
小さな声が聞こえた。
振り返ると、一人の少女が立っていた。
服は少し汚れている。表情も不安げだ。
「その依頼……私の村なんです」
***
「……え?」
空気が変わる。
「家族が……怖がってて……」
震える声。
目には涙が浮かんでいる。
***
「……」
言葉が出ない。
さっきまでの軽い空気が消えていた。
***
「ユウト」
リゼリアが静かに言う。
「どうしますか」
***
少し考える。
危ない。面倒。巻き込まれる。
全部分かってる。
***
「……分かったよ」
ため息をつく。
「行けばいいんだろ」
***
「おお!」
筋肉男が嬉しそうに声を上げる。
「助かる!」
「まだ何もしてないからな?」
***
少女が頭を下げる。
「ありがとうございます……!」
「いや、まだ何もしてないから」
二回目である。
***
こうして俺は――
初めての“依頼”に向かうことになった。
***
その日、ギルドに新たな認識が広まった。
この男は――
結局断れない。
「……なんでこうなるんだよ」
本日四回目の本音である。
「ここまで読んでいただきありがとうございます!
ついに(半強制的に)初依頼スタートです(笑)
ここから物語が一気に動き出しますので、楽しんでいただけたら嬉しいです!
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