第6話 仲間に誘われたけど普通に断りたいんだが
「仲間になれ」
「なんでだよ!?」
ギルド内にツッコミが響く。
さっきまで吹き飛んでいた男が、なぜか普通に立っている。いやボロボロだけど。
「お前ほどの力があれば、どんな依頼でもこなせる」
「いや俺、依頼とか受けるつもりないから」
「もったいねぇな」
何がもったいないのか分からない。
***
「断る」
即答する。
「俺、平和に暮らしたいだけなんだよ」
「平和?」
男が首をかしげる。
「お前がいるだけで戦争終わるレベルだぞ?」
「そんなスケールで語るな」
重い。話が重い。
***
「ユウト」
横からリゼリアが口を挟む。
「一応聞いておきますが、本当に何もしないつもりですか?」
「何もしない」
「魔物が来ても?」
「できれば他の人に任せたい」
「正直すぎませんか」
だって怖いし。
***
「じゃあ試しに一個だけ受けてみろ」
男が言う。
「簡単なやつでいい」
「嫌だ」
「即答かよ」
むしろ何で受けると思った。
***
「……じゃあこうしよう」
男がニヤリと笑う。
「依頼じゃなくて、“手伝い”だ」
「同じだろ」
言い方変えただけである。
***
その時だった。
「た、大変だ!」
ギルドの扉が勢いよく開く。
「森の方で魔物が暴れてる!」
「数は!?」
「分からねぇ! とにかく多い!」
ざわつくギルド内。
***
「ほら来た」
男が俺を見る。
「タイミング良すぎるだろ」
「仕込みじゃないからな?」
「疑うレベルだよ」
***
「行きますよ」
リゼリアがあっさり言う。
「なんで!?」
「放置できません」
「俺関係なくない?」
「あります」
「なんでだよ!」
***
気づけば、また外にいた。
さっきと同じ流れである。
「……帰りたい」
本気で思う。
***
森に入る。
奥から音がする。
ガサガサと、明らかに普通じゃない気配。
「……いるな」
男が構える。
リゼリアも剣に手をかける。
俺だけ何もしてない。
***
次の瞬間。
――ドドドドドドドド!!
大量の魔物が飛び出してきた。
「多っ!!」
思わず叫ぶ。
***
「ユウト!」
リゼリアが叫ぶ。
「壊さないようにお願いします!」
「それ無茶振りだからな!?」
数が多すぎる。
どうする。
***
「……あ」
考える。
押す→吹き飛ぶ
叩く→壊れる
投げる→論外
「……逃げるか」
結論が出た。
***
全力で後ろに走る。
「逃げるな!!」
「無理だろあれは!」
正論である。
***
だがその瞬間、足元の小石に躓いた。
「うわっ」
体が前に倒れる。
咄嗟に手をつく。
――ドォォォォォォォォォォォン!!
地面が爆ぜた。
衝撃波が広がり、魔物の群れが一掃される。
***
「…………」
静寂。
完全な静寂。
***
「……あれ?」
顔を上げる。
そこには何もいなかった。
さっきまでいた魔物が、綺麗さっぱり消えている。
***
「……な?」
俺は恐る恐る言う。
「今のノーカウントだよな?」
「アウトです」
リゼリアが即答した。
***
「……やっぱり」
男が呟く。
「お前、規格外だわ」
「だから違うって」
何度目だこの流れ。
***
「決めた」
男が真剣な顔で言う。
「やっぱ仲間になれ」
「ならない」
即答する。
***
その日、ギルドに新たな噂が広まった。
この男は――
逃げても災害。
「……もうどうすればいいんだよ」
俺は空を見上げた。
本気で分からない。
「ここまで読んでいただきありがとうございます!
逃げても結局やらかす主人公でした(笑)
この先もどんどんカオスになっていきますので、楽しんでいただけたら嬉しいです!
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