第5話 外に出たら一瞬で戦力扱いされるんだが
「――条件付きで外出を許可します」
「マジで?」
「監視付きです」
「正直だな」
***
城門を抜けた瞬間、視界が一気に開けた。
石畳の通り、並ぶ店、行き交う人々。荷車の音に呼び込みの声、どこか香ばしい匂いまで漂ってくる。
「うわ……異世界だ」
「今さらですか」
「昨日まで部屋だったし」
情報量が多すぎる。
***
「……なんか見られてない?」
「当然です」
リゼリアが淡々と答える。
「あなたは“城を揺らした男”として既に噂になっています」
「やめてその異名」
「しかも尾ひれがついています」
「どんな?」
「“ドラゴンを素手で引き裂いた男”とか」
「やってない」
勝手に盛られている。
***
「まずはギルドへ向かいます」
「テンプレきたな」
少しだけテンションが上がる。
***
扉を開けた瞬間、空気が止まった。
ざわつきが消え、視線が一斉にこちらへ向く。
「来たぞ……」
「本物か……?」
「マジかよ……」
ひそひそ声が聞こえる。
「いや怖い怖い」
完全に場違いだ。
***
「――お前が例のやつか」
低い声が響く。
振り返ると、大柄な男が立っていた。筋肉。でかい。威圧感がすごい。
「いや例のやつって何」
「とぼけるな」
男が一歩前に出る。
「スライムを一撃で消し飛ばしたって話、本当か?」
「まあ結果的には……」
「なら試させてもらう」
「なんでだよ!?」
話が早すぎる。
***
「軽くでいい」
男が構える。
「一発、受けてやる」
「受けるなよ!」
「大丈夫だ。俺はそこそこ強い」
「その“そこそこ”が信用できない」
周囲がざわつく。
「やめておいた方が……」
「いや見たいだろ……」
完全に見世物である。
「……どうするんですか」
リゼリアが小声で聞いてくる。
「やらないと終わらない流れだろこれ」
ため息をつく。
***
「……ほんと軽くだからな」
念押しする。
指で、軽く押すだけ。それなら大丈夫なはずだ。
「来い!」
男が叫ぶ。
俺は、そっと指を前に出した。
トン。
――ドォォォォォォォォォォォン!!
衝撃が走る。
男が吹き飛び、壁に激突。そのまま貫通して外まで飛んでいった。
「…………」
沈黙。誰も動かない。
「……あれ?」
やばい気がする。
***
「医療班!!」
誰かが叫ぶ。慌ただしく人が動き出す。
「だ、大丈夫か!?」
「生きてるのか……!?」
完全に大惨事である。
「……ほら」
リゼリアが冷静に言う。
「こうなるんです」
「俺悪くないだろ!?」
理不尽すぎる。
***
「……無事だ!」
外から声が上がる。どうやら生きていたらしい。
「よかった……」
心から安堵する。
***
「……認める」
戻ってきた男が言った。ボロボロだが立っている。
「お前は強い」
「違うって」
「今後は手出ししねぇ」
「それは助かる」
やっと平和になるかと思った――が。
「――代わりに」
男がニヤリと笑う。
「仲間になれ」
「なんでだよ!?」
終わっていなかった。
***
その日、ギルドでも新たな認識が広まった。
この男は――関わると吹き飛ぶ。
「……外出ない方がよくない?」
平和に暮らしたいだけなんだけど。
「ここまで読んでいただきありがとうございます!
外に出た瞬間、やっぱりやらかしました(笑)
新キャラも登場して、これからさらに賑やかになっていきます!
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