第4話 軟禁中なのに飯がうますぎて帰りたくなくなってきたんだが
「――というわけで、今日からここで生活してもらいます」
「説明雑すぎない?」
案内された部屋は、明らかに昨日よりグレードが上がっていた。広い。やたら広い。ベッドも机も一回り大きくなっている。
「広くなってない?」
「危険度に応じて調整しました」
「その基準怖いんだけど」
危険度で部屋が変わる生活って何だ。
***
「それでは、私はこれで」
「ちょっと待って」
去ろうとするリゼリアを呼び止める。
「俺、これから何すればいいの?」
「自由に過ごしてください」
「自由(外出不可)」
「その通りです」
にっこり笑われた。怖い。
***
とりあえずベッドに座る。ふかい。
「……やば」
沈み込む感覚がやばい。これは寝たら終わるやつだ。
「いやダメだろ」
自分でツッコむ。軟禁初日から堕落するのはどうなんだ。
「……五分だけ」
その五分は、一時間後に終了した。
***
「失礼します」
ノックの音と共に扉が開く。
「お食事をお持ちしました」
入ってきたのはメイド服の女性だった。柔らかい雰囲気で、どこか小動物っぽい。
「え、飯?」
「はい。昼食でございます」
テーブルに並べられていく料理。パン、スープ、肉料理、サラダ。
「……豪華すぎない?」
「危険人物ですので」
「関係ある?」
理由が全く分からない。
***
「いただきます」
一口食べる。
「うまっ」
思わず声が出た。肉は柔らかく、スープはちょうどいい塩加減。パンもふわふわだ。
「なにこれ、普通にレストランじゃん」
「王城の料理人が作っておりますので」
そりゃうまい。
***
「……あれ?」
ふと気づく。
「俺、軟禁されてるよな?」
「はい」
「待遇よくない?」
「はい」
「逃げる気なくなるタイプのやつじゃん」
「その通りです」
完全に囲い込みである。
***
「リタです」
メイドが軽く頭を下げた。
「この部屋のお世話を担当します」
「よろしく」
「ユウト様は……危険なんですか?」
「その質問、昨日から何回目だろうな」
自分でも分からない。
***
ドンッ!!
外から衝撃音が響く。
「……また?」
「またですね」
リタが普通に答える。
「慣れてるの怖いんだけど」
窓の外を見ると、遠くで煙が上がっていた。
「何あれ」
「訓練中の事故かと」
「事故であの規模?」
この世界のスケールが怖い。
***
「そういえば」
リタがぽつりと言う。
「ユウト様が来てから、城内の警戒レベルが上がっています」
「俺のせい?」
「はい」
即答だった。
「でも安心してください」
「何が?」
「ユウト様がいる方が安全だと言われています」
「意味分からん」
完全に矛盾している。
***
ガチャッ!!
勢いよく扉が開く。
「ユウト!」
リゼリアだった。少しだけ焦っている。
「今度は何?」
「城の一部が崩壊しました」
「俺じゃないよ!?」
反射的に否定する。
「分かっています」
一拍置いて、
「ですが原因はあなたです」
「どういう理屈!?」
***
その日、王城では新たな認識が共有された。
この男は――何もしなくても被害が出る。
「……もう帰れなくない?」
俺はベッドに倒れ込みながら呟く。
飯がうまいし。
「ここまで読んでいただきありがとうございます!
軟禁中なのに妙に快適になってきました(笑)
この先も日常とやらかしがどんどん増えていきますので、楽しんでいただけたら嬉しいです!
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