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『異世界転生した俺、スライム蹴ったら国家災害扱いでした〜常識バグ世界で俺だけルール外〜』  作者: 関澤諭


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第25話 止めるという判断が一番遅かった

 止まらない、という言い方は正確ではない。


 ユウトはそう思った。


 正確に言えば、止めるタイミングを逃しただけだ。


 もっと早い段階で手を離していれば、この状態にはならなかった。違和感はあった。流れが抜けないことにも気づいていた。それでも続けたのは、「まだ制御できる範囲だ」と判断したからだ。


 つまり――判断ミスだ。


***


「一つ確認したいんだけど」


 ユウトは誰にともなく口にする。


 返事を期待しているわけではない。ただ、言葉にして整理したかった。


「今のこれ、止めるっていう選択肢は、まだ現実的に残ってると思うか?」


***


 少しだけ間があった。


 その“間”で、答えはほぼ決まっている。


***


「残っていません」


 リゼリアの声は、いつも通り無駄がなかった。


 余計な前置きも、曖昧な表現もない。


***


「だよな」


 ユウトはあっさり頷く。


 納得というより、確認が終わっただけだ。


***


「じゃあ次」


 今度はミラの方を見る。


「このまま続けた場合、結果はどうなると思う?」


***


 質問の形をしているが、内容はほぼ決まっている。


 ただ、自分以外の視点が欲しかった。


***


「単純に言えば、拡大するね」


 ミラは少しだけ考えてから答える。


「しかも、さっきまでみたいに“外に広がる”んじゃなくて、下に向かって集まってる」


***


「集まった先は?」


***


「もう見えてるでしょ」


 ミラは視線だけで地面を示す。


***


 ひび割れの奥で、黒いものが動いている。


***


「……つまり、起こしてるわけか」


***


「かなり効率よくね」


 ミラは軽く言う。


 皮肉なのか、本気なのか分からない言い方だった。


***


「効率の話は今しなくていい」


 ユウトは小さく息を吐く。


「問題は、その“起きるもの”に対して、こっちが対応できるかどうかだ」


***


「対応する気はあるんだ」


***


「原因がこっちだからな」


 それ以上でも、それ以下でもない理由だった。


***


「なるほどね」


 ミラは納得したように頷く。


「じゃあ質問変える」


***


「まだあるのか」


***


「あるよ。これ重要だから」


 軽く言い切る。


***


「今の状態って、“制御してる”って言える?」


***


 少しだけ考える。


***


「言えないな」


 即答ではなかったが、結論は早かった。


***


「でも、暴走してるわけでもない」


***


「中途半端だね」


***


「一番まずい状態だ」


 ユウトは苦笑する。


***


「じゃあさ」


 ミラが少しだけ声を落とす。


***


「その中途半端な状態のまま、本体に触ったらどうなると思う?」


***


 いい質問だった。


***


「……上書きできるか、飲み込まれるかのどっちかだな」


***


「確率は?」


***


「知らん」


***


「正直でいいね」


***


「嘘つく意味もないだろ」


***


 その時。


***


 ドクン。


***


 下から、明確な反応。


***


 地面が持ち上がる。


***


 もう隠れていない。


***


「……時間切れか」


 ユウトはそう呟く。


***


「どうするの?」


***


 ミラは聞く。


 判断を委ねる形ではない。ただ、確認しているだけだ。


***


 ユウトは一度だけ考える。


 選択肢は整理済みだ。


***


 逃げる → 問題の先送り

 封じる → 再発の可能性

 消す → リスク最大


***


 なら。


***


「書き換える」


***


 答えはそれだった。


***


「ずいぶん断定するね」


***


「他よりマシだ」


***


「成功する保証は?」


***


「ない」


***


「でもやるんだ」


***


「やるしかない」


***


 短い会話だったが、結論は揺れなかった。


***


 ユウトは前に出る。


***


 黒い塊が、ゆっくりと姿を現す。


***


 圧が強い。


 だが、理解はできる。


***


 これは“未知”じゃない。


 自分が引き寄せたものの集合体だ。


***


「……じゃあ終わらせるか」


***


 ユウトは、そのまま手を伸ばした。

「ここまで読んでいただきありがとうございます。

今回は“止めるタイミングを逃した結果、最悪の形で本体を引き上げてしまう”回になりました。

気づいていても止めない、という選択がどれだけ危険か。

そのツケをここから回収していくことになります。

ここから先は、単純な対処では終わらなくなります。

続きを読んでいただけたら嬉しいです。」

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