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『異世界転生した俺、スライム蹴ったら国家災害扱いでした〜常識バグ世界で俺だけルール外〜』  作者: 関澤諭


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倒したはずなのに空気が微妙に重いままで誰も触れたがらない件

 静かだった。


 さっきまであれだけ騒がしかった地下が、嘘みたいに落ち着いている。


 崩れた地面。えぐれた跡。粉塵の匂い。


 そして――


 何もいない。


***


「……終わった、よな?」


 誰にともなく言う。


 確認したいだけだ。


***


「終わりました」


 リゼリアが答える。


 即答だった。


***


「本当に?」


 間を置いて、もう一度聞く。


***


「……終わっています」


 さっきより少しだけ間があった。


***


「今の“……”は何?」


***


「余韻です」


***


「便利な言葉使うな」


***


 沈黙。


***


 誰も動かない。


***


「……なあ」


 もう一度口を開く。


***


「帰っていい?」


***


「ダメです」


***


 食い気味だった。


***


「理由くらい聞いてもいい?」


***


「不安要素が残っています」


***


「それ俺?」


***


「はい」


***


 間がなかった。


***


「……なるほど」


 納得したくないのに、妙に納得してしまう。


***


「安心してください」


 リゼリアが続ける。


***


「監視しますので」


***


「安心できる要素どこ?」


***


 横から、ミラが一歩出る。


***


「でもさ」


 妙に軽い声だった。


***


「さっきの、すごかったよね」


***


「どの辺が?」


***


「全部」


***


 ざっくりしすぎて逆に何も分からない。


***


「いや具体的に」


***


「うーん」


 ミラが少し考える。


***


「“普通に触って全部持ってく”感じ?」


***


「その説明が一番怖い」


***


「でも合ってる」


***


「合ってるのが問題なんだよ」


***


 ミラは満足そうに頷く。


***


「あとね」


***


「まだあるのか」


***


「ユウトさん、さっきちょっとだけ“分かってた”でしょ?」


***


「……何を」


***


「どこ叩けばいいか」


***


 少しだけ、間が空く。


***


「……まあ、なんとなく」


***


「なんとなくであれやるの?」


***


「やるしかなかったんだよ」


***


「それができる時点で普通じゃない」


***


「それは知ってる」


***


 会話が一周した気がする。


***


 そこで、筋肉男が口を開いた。


***


「結論から言う」


***


「急にまとめに入るな」


***


「お前は危険だ」


***


「知ってる」


***


「だが使える」


***


「その言い方やめろ」


***


「なので」


***


 ほんの少し、間があった。


***


「同行してもらう」


***


「拒否権は?」


***


「ない」


***


「聞く意味あった?」


***


 ミラが笑う。


***


「いいじゃん」


***


「何が」


***


「面白くなりそうだし」


***


「お前の基準で物事決めるな」


***


「だってもうなってるよ?」


***


 少しだけ、言葉に詰まる。


***


「……否定できないのが嫌だな」


***


「でしょ?」


***


 ミラは満足そうだった。


***


 リゼリアが静かに言う。


***


「決まりです」


***


「いや勝手に決めるな」


***


「安全のためです」


***


「誰の?」


***


「周囲の」


***


「やっぱ俺じゃねぇか」


***


 短い沈黙。


***


 誰も否定しなかった。


***


「……帰りたい」


***


「帰れません」


***


「だよなぁ」


***


 ため息をつく。


***


 その時。


***


 ミラがぽつりと呟いた。


***


「でもさ」


***


「何」


***


「さっきの、“全部吸うやつ”」


***


 嫌な予感がする。


***


「……あれ」


***


「まだ完全に止まってないよね?」


***


 空気が、少しだけ重くなった。


***


「……は?」


***


 誰もすぐに答えなかった。


***


 ただ。


***


 足元の空気が、ほんのわずかに揺れた気がした。


***


「……なあ」


***


 ゆっくり口を開く。


***


「これ、終わってないパターン?」


***


 ミラは少し考えてから、にこっと笑った。


***


「終わってたら、もっと安心してると思う」


***


「その基準やめろ」


***


 その日。


***


 “終わったはずの場所”で、


***


 誰も完全には安心していなかった。


***


「……寝かせてくれ」


 それだけが、本音だった。

「ここまで読んでいただきありがとうございます!

今回は少し落ち着いた…と思いきや、やっぱり落ち着いていませんでした。

会話の温度差やズレも楽しんでいただけていたら嬉しいです。

そして、まだ何かが終わっていない気配も……。

ここからどうなっていくのか、ぜひ続きも読んでいただけたら嬉しいです!

よければブクマやいいねで応援していただけると励みになります!」

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