第19話 ちょっと制御できた気がするんだが代償が普通に重そうで笑えない
――見える。
さっきまで“なんとなく”だったものが、はっきりと線になっていた。
空気の流れ。わずかな歪み。地面を蹴る瞬間の微妙なズレ。
人型の動きが、追える。
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来る。
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今度は迷わない。
踏み込むタイミングを合わせる。
視線を逸らさない。
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「……そこ」
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腕を振る。
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ドンッ!!
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確かな手応え。
人型の身体が歪み、黒い光が削れるように散る。
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「……よし」
小さく息を吐く。
今のは、見えていた。
ちゃんと、“当てにいった”感覚がある。
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「ユウトさん!」
ミラの声が弾む。
「今の!今の変わったよね!?」
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「……まあな」
息を整えながら答える。
胸の奥が熱い。鼓動が速い。
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「流れが見える」
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自分でも、驚くほど冷静に言葉が出た。
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「やっぱり!」
ミラが一歩踏み出す。
目が完全に研究者だ。
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「ユウトさん、周りの魔力を“掴んでる”!」
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「掴んでるって何だよ……」
意味は分かる。
だが言葉にされると怖い。
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空気の中にある“何か”を、引き寄せている感覚。
それを、そのまま自分の中に流し込んでいる。
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「……これ、長くやったらダメなやつだな」
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直感が告げていた。
これは便利な能力じゃない。
危ないやつだ。
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「正解!」
ミラが元気よく頷く。
「普通は死ぬ!」
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「普通じゃなくても嫌なんだが!?」
即ツッコミ。
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だが――
止める余裕はない。
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人型が再び動く。
今度は真正面から。
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「……来い」
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逃げない。
視線を合わせる。
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ぶつかる直前。
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一歩ずれる。
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「遅い」
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背後に回る。
そのまま、拳を叩き込む。
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ドォンッ!!
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人型が弾き飛ばされる。
さっきより、明確に崩れた。
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「今だ!」
リゼリアの声。
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視線を奥へ。
黒い核。
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「……やるか」
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深く息を吸う。
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空気がざわつく。
周囲の“流れ”が、一気にこちらへ集まる。
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「ユウトさん、それやりすぎ!!」
ミラの声が飛ぶ。
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「分かってる!!」
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分かってる。
分かってるけど――
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「これくらいやらないと、終わらねぇだろ!!」
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踏み込む。
地面が砕ける。
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核へ一直線。
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人型が割り込む。
だが――
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「邪魔」
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振り払う。
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ドォンッ!!
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人型が弾ける。
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そのまま。
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核に、手を叩き込む。
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ドクン。
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触れた瞬間。
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“吸う”。
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今までとは違う。
意識して、引きずり込む。
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ドォォォォォォォォォォォン!!
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爆発。
光が弾ける。
地面が抉れる。
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耳鳴り。
白い視界。
身体が持っていかれる感覚。
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「……っ!」
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何とか踏みとどまる。
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そして――
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静寂。
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「……終わった、か?」
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ゆっくりと顔を上げる。
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核は――
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“削れていた”。
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「……壊れてないのかよ」
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思わず呟く。
だが、確実にダメージはある。
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その瞬間。
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ズキッ。
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「……っ」
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頭に痛みが走る。
視界が歪む。
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崩れた街。
黒い空。
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一瞬だけ、あの光景がフラッシュバックする。
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「……おい」
筋肉男の声。
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「顔色やばいぞ」
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「……大丈夫だ」
口ではそう言う。
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だが。
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全然大丈夫じゃない。
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「ユウトさん、それ以上ダメ!」
ミラが叫ぶ。
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「もう限界来てる!」
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「……そうかもな」
苦笑する。
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だが――
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まだ、終わっていない。
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削れた核が、再び脈打つ。
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ドクン。
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その音が、さっきよりもはっきり聞こえた。
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「……これ、長期戦とか聞いてないぞ」
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心の底から、そう思った。
「ここまで読んでいただきありがとうございます!
ついに核にダメージが入りました。
ですが、それと同時に主人公側の負担もかなり大きくなってきています。
この戦いがどう決着するのか、ぜひ続きも楽しみにしていただけたら嬉しいです!
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