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『異世界転生した俺、スライム蹴ったら国家災害扱いでした〜常識バグ世界で俺だけルール外〜』  作者: 関澤諭


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第18話 人型が出てきたんだが完全にヤバいやつで笑えない

“それ”は、ゆっくりと首を傾けた。


 人の形をしている。だが、どう見ても人間じゃない。黒い光で構成された身体は輪郭が曖昧で、そこに質量があるのかどうかすら分からない。


 なのに――存在感だけは、やけに重い。


 視線が合う。


 ぞわりと、背筋に冷たいものが走った。


***


 空気が変わる。


 さっきまでの重さとは別の、“圧”がじわじわと周囲を満たしていく。肺に空気が入りにくい。呼吸するだけで、妙な抵抗を感じる。


 嫌な予感しかしない。


 というか、ここまで来ると“嫌な予感”というより“確信”だ。


 ――これは、絶対やばい。


***


「……なあ」


 無理やり声を出す。


「これ、逃げたらダメなやつだよな?」


 分かっている。分かっているが、確認しないと精神が持たない。


***


「ダメです」


 リゼリアが即答した。


***


「だよなぁ……」


 知ってた、という気持ちと、やっぱりか、という絶望が同時に押し寄せる。


***


 そのやり取りを、“それ”はじっと見ていた。


 まるで、こちらの反応を観察しているように。


***


 ドクン。


***


 黒い核が脈打つ。


 その瞬間――


***


 消えた。


***


「……は?」


 視界から完全に消失する。


 音も、気配もない。


 だが。


***


 来る。


***


 そう理解した直後。


***


 ドンッ!!


***


「ぐっ……!?」


 横から衝撃。


 身体が弾き飛ばされる。地面を転がり、土埃が舞い上がる。


 遅れて痛みが走る。


***


「速っ……!」


 いや違う。


 速いとかじゃない。


***


 見えてない。


***


「……これ、反応ゲーじゃなくて理不尽ゲーじゃない?」


 思わず本音が漏れた。


***


 立ち上がる。


 視線を巡らせる。


 どこだ。


***


 ――いた。


***


 目の前。


 数歩先に、“それ”が立っている。


***


「……近いな!?」


 いや、近いとかそういう問題じゃない。


 さっき殴られたばかりなのに、もうこの距離にいるのがおかしい。


***


 反射的に手を上げる。


 防御とかじゃない。


 ただ、“触る”。


***


 ドォンッ!!


***


 衝撃。


 だが――


***


「……消えない?」


 違和感。


 さっきまでと違う。


 確かに当たっている。だが、“消える”感覚がない。


***


 黒い身体が歪む。


 表面が削れるように崩れ、光が散る。


***


「……効いてる」


 ミラの声が飛ぶ。


 妙にテンションが高い。


***


「完全には消えてないけど、“削れてる”!」


***


「削れてるって何だよ……新品じゃなくなったみたいに言うな」


 思わずツッコむ。


***


 だが、その意味はすぐ理解した。


***


 ドクン。


***


 核が脈打つ。


 削れた部分が、何事もなかったかのように戻る。


***


「……再生機能付きかよ」


 しかも高速。


 クソ仕様すぎる。


***


「ユウト!」


 リゼリアの声が鋭く飛ぶ。


「核を狙ってください!」


***


「それ早く言え!!」


 ツッコミながらも、視線は奥へ向いていた。


 黒い核。


 あれが本体。


***


 だが。


***


 人型が、前に出る。


 道を塞ぐ。


***


「……ああ、そういうタイプか」


 理解した。


 ボスの前に立つ中ボス的なやつだ。


***


「いや普通逆だろ。ボスが出てきてから取り巻きじゃないのかよ」


 どうでもいいところが気になった。


***


 だが、そんなことを考えている間にも。


***


 来る。


***


 今度は見ようとする。


 気配。


 空気の歪み。


 わずかなズレ。


***


「……そこ」


***


 勘で手を出す。


***


 ドンッ!!


***


 当たった。


***


 人型が弾かれる。


***


「……なるほど」


 息を整える。


***


「消えてるんじゃなくて、“速いだけ”か」


***


「気づくの遅い!」


 ミラのツッコミ。


***


「うるせぇ!」


 こっちは今必死だ。


***


 だが――見えるなら話は別だ。


***


「……ちょっとだけな」


***


 手を握る。


***


 ドクン。


***


 自分の中でも、何かが脈打つ。


***


 空気がざわつく。


 周囲の“何か”が、手の中に集まってくる。


***


「ユウトさんそれやばいやつ!」


 ミラが叫ぶ。


***


「分かってる!」


***


 分かってるが――


***


「やらないと終わらねぇだろ!!」


***


 踏み込む。


***


 その日、村の地下で――


***


 “何か”が、確実に噛み合い始めた。


***


「……これ、あとで絶対怒られるやつだな」


 心の底からそう思った。


 だが、今はそれどころじゃなかった。

「ここまで読んでいただきありがとうございます!

ついに人型との戦闘に入りました。

明らかに今までとは違う相手ですが、主人公もちょっとずつおかしな方向に進み始めています(笑)

この先どうなっていくのか、ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです!

よければブクマやいいねで応援していただけると励みになります!」

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