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『異世界転生した俺、スライム蹴ったら国家災害扱いでした〜常識バグ世界で俺だけルール外〜』  作者: 関澤諭


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第17話 触れた瞬間、何かが流れ込んできたんだがこれ普通じゃない

 ――遅かった。


 伸ばした指先が、黒い“核”に触れた瞬間。


***


 ドクン。


***


 鼓動が、鳴った。


 音じゃない。振動でもない。


 “理解”だけが、直接脳に叩き込まれるような感覚。


***


「――っ」


 息が詰まる。


 肺に空気が入らない。体が硬直する。


 視界が一瞬で白に弾け、その直後、真逆に黒へと塗り潰された。


***


 落ちている。


 いや、沈んでいる。


 上下の感覚が消える。身体の輪郭が曖昧になり、自分がどこまで“自分”なのか分からなくなる。


***


 ――見える。


***


 知らない街だった。


 石造りの建物。崩れた塔。瓦礫の山。


 だが、人の気配はある。


 ……なのに、誰も“いない”。


***


 正確には。


 “いたはずのものが、いなくなっている”。


***


 ドクン。


***


 景色が変わる。


 焼けた大地。ひび割れた地面。


 その奥で――同じ“核”が脈打っている。


***


 人影が、近づく。


 触れる。


***


 ――消える。


***


 音もなく、悲鳴もなく、ただ“削り取られる”ように。


 光になって、核へ吸い込まれていく。


***


「……これ……」


 声が出ない。


 だが、分かる。


***


 これは――


***


 “過去”だ。


***


 ドクン。


***


 さらに深く潜る。


 視界が歪む。


 今度は――


***


 見覚えのある部屋。


 狭いワンルーム。机。椅子。散らかったコード。


 スマホの光。


***


「……あ」


***


 指が、震えている。


 画面に映るガチャ。


 タップ。


 演出。


 期待。


***


 そして――


***


 “落ちる”。


***


「……違う」


 これはただの記憶だ。


 俺の過去。


 ――のはずだ。


***


 なのに。


***


 ドクン。


***


 全てが、繋がる。


***


 吸う。


 吸われる。


 消える。


 残るのは“核”。


***


「……同じ、だ」


***


 俺の中の“何か”と、目の前の“それ”。


 構造が、同じ。


 仕組みが、同じ。


***


「――ユウト!!」


***


 声。


 遠い。


 だが確実に引き戻される。


***


 視界が戻る。


 色が戻る。


 重さが戻る。


***


「……っ、は……!」


 肺が空気を求めるように膨らむ。


 膝が抜け、その場に崩れ落ちる。


***


「ユウトさん!」


 ミラが駆け寄ってくる。


 いつもの軽さはない。明らかに焦っている。


***


「今の……何……?」


***


「……分からん」


 本音だった。


***


 だが、一つだけ。


***


「……これ、触っちゃダメなやつだ」


***


「今さら!?」


***


 ミラのツッコミが飛ぶ。


 珍しく、正しい。


***


「いや、ほら」


 呼吸を整えながら言う。


「今までは“なんかやばい”くらいだったけどさ」


***


「今回は?」


***


「“普通に終わるやつ”だなこれ」


***


 沈黙。


***


「終わるって何が!?」

「俺がだよ!!」


***


 さすがに笑えない。


 ……いや、ちょっとだけ笑えるけど。


***


 だが、その空気を切り裂くように。


***


 ドクン。


***


 核が、さらに大きく脈打った。


***


「……おい」


 筋肉男が低く言う。


***


「まだ終わってねぇぞ」


***


 黒い核の表面に、ひびが入る。


 細く、だが確実に。


***


「……まさか」


 リゼリアの声がわずかに揺れる。


***


 ゴキン。


***


 音がした。


 “割れる音”。


***


 次の瞬間。


***


 内側から、“何か”が押し出された。


***


「……嘘だろ」


***


 人の形。


 だが、人ではない。


 黒い光で構成された輪郭。


 空洞のような身体。


 そして――


***


 “目”。


***


 こちらを、はっきりと見ていた。


***


 ドクン。


***


 視線が、合う。


***


 その瞬間。


***


 理解した。


***


 これは、ただの魔物じゃない。


***


 “意思がある”。


***


「……やばい」


***


 今度は、言葉が自然に出た。


***


「これは……」


 逃げるべきか。


 戦うべきか。


***


 そんなことを考えるより先に。


***


 “向こう”が、動いた。


***


 その日、村の地下で――


***


 “核”は、殻を破った。


***


「……これ絶対俺のせいだろ」


 心の底から、そう思った。


 いや、もう認めたくはないけど。


 たぶん、そうだ。

「ここまで読んでいただきありがとうございます!

一気に雰囲気が変わってきました。

そして、主人公と“何か”の繋がりも見えてきましたね……。

この先どうなっていくのか、ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです!

よければブクマやいいねで応援していただけると励みになります!」

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