第15話 検証したいって言われたんだが被験者扱いはちょっと違くない?
ズズッ……と、足元の土がまたわずかに動いた。
さっきの感じと同じだ。
「……またか」
ため息が漏れる。
正直、もう驚かない。
――慣れたくないけど。
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「来るよ!」
ミラが嬉しそうに声を弾ませる。
「嬉しそうに言うな」
思わずツッコむ。
***
ガサッ。
地面が盛り上がり、小型のミミズ型魔物が数体、顔を出した。
さっきのボスと比べれば小さい。だが普通に見れば十分でかい。
***
「よし、いいサンプル!」
ミラが一歩前に出る。
「サンプルって言うな」
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「ねえユウトさん!」
くるっと振り向き、目を輝かせる。
「今の、もう一回やって!」
「やらない」
即答した。
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「えー!?なんで!?」
「被害出るからだよ!」
「大丈夫大丈夫!今回はちゃんと測るから!」
どこが大丈夫なんだ。
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「測るって何を」
「全部!」
雑すぎる。
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「まずね、軽く押した時と――」
ミラが指を立てる。
「普通に触った時と――」
もう一本立てる。
「あと全力!」
「却下」
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「なんで!?」
「全力はダメだろ!!」
周囲が消える未来しか見えない。
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「じゃあ軽くでいいから!」
ぐいっと距離を詰めてくる。
近い。相変わらず近い。
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「……ほんとに軽くだぞ?」
念押しする。
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「うん!」
元気よく頷いた。
信用できない。
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目の前の魔物に視線を戻す。
うねうねと動いている。
正直キモい。
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「……よし」
手を伸ばす。
今度は“触るだけ”。
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ぺち。
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――ドォォォォォォォォォォォン!!
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爆風。
衝撃。
土が舞い上がる。
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「…………」
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何もいなくなった。
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「はい消えたー!!」
ミラが大声で喜ぶ。
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「喜ぶな!!」
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「すごいすごいすごい!!」
なぜか俺の周りをぐるぐる回る。
「今の見た!?見た!?」
「見たよ!!」
全員見てた。
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「やっぱり触れた瞬間に吸ってる!」
ミラが興奮気味に言う。
「吸ってるって何だよ……」
嫌な単語だ。
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「周りの魔力も、対象の魔力も、まとめて吸収してる感じ!」
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「やばくない?」
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「やばいね!」
即答だった。
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「やばいのかよ!!」
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「でもね!」
ミラはさらに近づいてくる。
「コントロールできたら最強だよ!」
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「その“できたら”ができてないんだよ」
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「じゃあ練習しよう!」
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「しない」
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即答である。
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「えー!?」
ミラが露骨に不満そうな顔をする。
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「ユウト」
リゼリアが口を開く。
「検証は必要です」
「そっちも乗るな」
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「現状、あなたは危険すぎます」
「知ってる」
「なら把握すべきです」
「正論やめろ」
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逃げ道がない。
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「……分かったよ」
観念する。
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「ただし」
指を立てる。
「絶対に“軽く”な」
「うん!」
元気よく返事。
信用できない(二回目)。
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その時だった。
ズズズズッ……と、地面全体が揺れた。
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「……え?」
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さっきよりも大きい。
嫌な予感しかしない。
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「……これ」
筋肉男が呟く。
「まだ終わってねぇな」
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「ですよねー……」
思わず天を仰ぐ。
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「ユウトさん!」
ミラが楽しそうに言う。
「次はもうちょい強めでいこう!」
「いかない」
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その日、村の外れで新たな認識が生まれた。
この男は――
検証対象になった。
***
「……帰らせてくれ」
心からの願いだった。
「ここまで読んでいただきありがとうございます!
ミラの暴走(研究欲)が止まりませんでした(笑)
そして、主人公の能力についても少しずつ見えてきましたね。
この先どうなるのか、ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです!
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