第10話 原因を探しに来たはずが、なんか嫌な予感しかしないんだが
「……で、これどうするんだ?」
俺は目の前のクレーターを指差す。
さっきまで魔物がいた場所だ。今はただの大穴になっている。
「どうするも何も、原因はまだ不明です」
リゼリアが淡々と答える。
「いや明らかに何かおかしいだろこれ」
「同意します」
珍しく意見が一致した。
***
「……地面ごと消すとか、普通じゃねぇな」
筋肉男が呟く。
「普通だったら困るわ」
俺が一番困っている。
***
「ですが」
リゼリアがしゃがみ込み、地面に触れる。
「これは“ただの魔物”ではありません」
「またそれか」
嫌なワードランキング上位である。
***
「魔力の流れが異常です」
リゼリアは目を細める。
「一点に集まっている……いえ、吸われている?」
「吸われてる?」
意味が分からない。
***
「つまり」
筋肉男が腕を組む。
「親玉がいるってことか」
「そういうことになります」
嫌な展開すぎる。
***
「帰っていい?」
小声で聞く。
「ダメです」
即答だった。
***
「とにかく奥へ進みましょう」
リゼリアが立ち上がる。
「原因を断たない限り、被害は続きます」
「俺の精神の被害も考えてほしい」
***
森の奥へ進む。
さっきよりもさらに暗い。
空気が重い。呼吸がしづらい。
「……なんかやばくない?」
直感が警告している。
***
ズズッ……
足元から音がする。
「……またか?」
身構える。
だが、さっきとは違う。
***
地面が“沈む”。
いや、引きずり込まれるような感覚。
「え?」
次の瞬間。
***
――ズドォォォォォォォォォォン!!
***
地面が崩れた。
***
「うわあああああああ!?」
視界が落ちる。
完全に穴だ。
落ちている。
***
ドンッ!!
地面に叩きつけられる。
「いってぇ……」
なんとか無事だった。
***
「ユウト!」
「無事ですか!」
上から声がする。
見上げると、リゼリアたちが穴の縁にいる。
「なんとか……」
体を起こす。
***
「……ん?」
違和感。
周囲が暗い。
だが完全な暗闇じゃない。
ぼんやりと光っている。
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視線を向ける。
***
「……は?」
***
そこには――
巨大な“何か”がいた。
***
ミミズのような形状。
だが桁が違う。
さっきのとは比較にならないサイズ。
地面と一体化しているような存在。
***
「……これが親玉?」
声が震える。
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その瞬間。
ズルッ。
それが“動いた”。
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「うわ来たあああああああ!?」
反射的に叫ぶ。
***
「ユウト! 動くな!」
上からリゼリアの声。
「無理だろ!!」
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巨大な体がこちらへ迫る。
距離が一気に縮まる。
***
「……あーもう!」
覚悟を決める。
「これ壊していいやつだよな!?」
***
一瞬の沈黙。
***
「……許可します」
リゼリアが言った。
***
「よし来た」
拳を握る。
***
その日、村の地下で――
何かが終わる予感がした。
***
「……いや絶対やりすぎるわ俺」
本音である。
「ここまで読んでいただきありがとうございます!
ついに原因の正体が登場しました。
次回、どうなるのか……ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです!
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