vs龍
俺たち5人と4匹は揺れる船の上にいた。小さな船で、ここで龍に出会ってしまったら、船ごとひっくり返されそうな気がする。
「暗くなってきたー。何かでてきそう。」
呑気にデイゴが言った。気が付けば辺りは真っ暗になっており、夜空には一番星に続き、星がいくつか現
れ始め、幻想的な風景になっていた。
「前に調査に来たハンターは、ここから約3キロほど離れた場所で龍と遭遇したそうよ。気を引き締めてね。」
ルナが言った。皆の緊張が高まる。
「不気味だな。波の音しか聞こえないではないか。」
そのコジローの言葉に頷く。波の音しか聞こえない。
ザザーン ザザーン ザザーン
本当に静かだ。波の音だけが聞こえ、まるでひとりで海にいるみたいに…
「おかしいわね、こんなに近くにいるはずなのに、皆の気配が全くしない。これってどういうこと?」
突如ルナがそう言った。
そうだ、今ルナが言った通り、目の前にいるルナたちの気配が全くしない。
肩に乗ってるシモンの気配もない。それどころか感覚もない。
「おいおい、こりゃあヤベェんじゃねえの?」
ダッシュのその声が遠くに感じた。
いきなりマズイ事になったかもしれない。
気配が感じられず、感覚もない、こんな暗闇の中で気配を探ることができないなんて、もし龍が出たら…
「なんなんだこれは、UMAの仕業か?シモンわかるか?」
「分からん、でも強力なUMAの気配を感じる。それの仕業か……」
ザッバーーーーーーーーーーン
「!?」
後ろを振り向くとそこにいた。
ソイツは海から半分体を出して、鋭く睨みつけるようにこちらを見ていた。竜だ。
紫紺のしなやかな体をうねらせ、夜空に舞う。大きな龍鱗を大きな体にまとい、頭には立派な金の角と、長く伸ばした髭を風になびかせていた。そしてその目は、真っ赤で射貫くように、鋭く俺たちをにらみつけていた。
「これが噂の…皆なるべく離れないようにして!」
ザッバーーーーーーーーン
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
竜の咆哮で船ごとひっくり返された。俺たちは海に投げ出された。
「んぁっぷ、おい、皆どこだ?シモン?」
龍が現れたことにより、激しい波がつくり上げられた。水をたくさん飲んだ。しょっぱい…って、それどころじゃない。
「あ、おいコラ待て!ちゅんすけ!勝手に行くな!」
デイゴの叫びが聞こえた。きっとペットのちゅんすけに逃げられたんだろう。まあ鳥型だから相性が悪いのか。それにしても、一瞬で逃げられるなんてデイゴは…
それを言ったらシモンも…
「逃げるなよ、シモン!」
俺はシモンをがっちりと掴んだ。全く、命の危機だっていうのに…
「チッ、バレたか」
もう少し俺に優しくしてくれてもいいと思う、シモンは。
ウォォォォォォォォォォ
龍が雄叫びを上げた。すると、俺たちが乗っていた船がバラバラに砕け、壊れた。
「やっべぇ」
村長から話を聞いた以上にやばい。雄叫びだけで船を簡単に粉砕されてしまった。
「稲光の手!!」
ダッシュが龍に向かって技を繰り出した。
まぶしい光が龍を襲う。ドガーンと大きな音を出し竜を直撃した。
「すげぇ…」
竜をまとった黒煙が徐々に消えていく。そこには…
「嘘だろ…」
無傷の龍がいた。
さらに、今の攻撃で龍の怒りを買ったのか、龍がさらに大暴れをし始めた。
「とりあえず、体勢を整えないと…」
体勢を何とかしないと、攻撃することも逃げることもできない。
「リウス、あれに乗れ!」
シモンが、指さしたのは、壊れた船の一部だ。
「シモン、つかまってろ!」
俺は、そこに向かって泳ぎだした。しかし、波は強く、龍が暴れているため、なかなかたどり着けない。
ウォォォォォォォ
突然波が大きくなり、俺たちを襲った。さらにその波は俺を中心に渦巻くように波をつくった。
「うわ!」
これじゃ全く身動きが取れない。視界はよく見えず、口の中には水が大量に入ってくる。そして冷たい。
波は強くなる一方、俺とシモンは、身動きが取れず、波の渦に飲まれていった。
何とかして、脱出を試みるも、波の勢いが強すぎて波の自由になるままだった。
クソ…これじゃあの龍を倒せない。強すぎる。
嫌だ…死にたくない。こんなとこで…
「ワン!」
犬の鳴き声が聞こえた。すると同時に体が宙に浮かび、渦から脱出することができた。
「バンケンよ…なかなか力があるじゃないか…」
そう言うコジローの言葉を聞き、状況を理解した。
「チッ、オマエかよ…助けられたなんて思ってないからな!」
シモンが悔しそうに言った。
俺たちは、コジローのペットのバンケンに宙から引っ張られるようにして助けられたのだった。
「サンキュ、バンケン!」
俺はバンケンにお礼を言うと、壊れた船の上に立った。
「リウスよ、どうする?」
コジローが意味深な笑みを浮かべながらそう聞いてきた。
俺は、コジローに笑みを返しながら、言った。
「反撃だ!」
投稿が不定期ですみません。
頑張ります…




