第7話 後の三人組
日本刀って、知らない異世界の人が見れば”曲剣”に見えるのかな?
俺は奴隷だった。
産まれたその日からつい最近までずっとそうだった。
世情はよく知らない。
ただ、知っている事と言えばこの大陸にいる亜人は全て奴隷だという事だろう。
亜人と人間は戦争をし、そこで囚われた亜人は奴隷としてこき使われ、奴隷同士、或いは物好きの人間の血が混ざって奴隷が増える。
俺もそうだ、両親が奴隷で俺も奴隷。
だが「こんな所に産みやがって」とか思った事は一度もない。何しろ奴隷なのが当たり前の様に育ったんだ、特に何を思う事もなかったさ。
人間に従い。
逆らわず。
顔色を伺う。
毎日毎日、来る日も来る日も。
それが俺にとっての当たり前だった。
そんな当たり前が壊れたのはつい最近の出来事だ。何が起きたのはよく分からないが、人間と亜人達の戦争が終わったそうだ。
突然の出来事に最初こそ戸惑った物の、外への興味からそんな物は直ぐに吹っ飛んだ。
聞けばやる事は今までと変わらない。雑用をこなし、力仕事をこなし、時には魔物と戦うだけの簡単な仕事だ。ただ、今までと違うのは人間の顔色を伺う必要がないと言う事。
俺は歓喜しながらも自分に与えられた職、冒険者の仕事をこなす為、冒険者ギルドへと向かう。
しかし、そこには予想だにしない事態が待ち受けていた。
「申し訳ございません、こちらは人間専用の依頼なので…」
ギルドの受付ではそう言われ、殆どの依頼を受ける事が出来なかった。
「亜人の方にはちょっと…」
そう言ってどこの店も商品を売ってはくれなかった。
なんだコレは?
人間専用?亜人だから?
意味が分からない。
それは俺が初めて受けた差別と言う物だった。いや、奴隷として使われていたんだ、最初から差別されていたのだろう。それでも、状況は奴隷の時より酷い物だった。
奴隷の時なら言われた事をしていればいいだけだった、人間と鬼人である俺とでは力が全く違う、だから力仕事も大した苦にはならなかった。それに最低限の飯は出てくる、どんなに酷い扱いを受けようが、仕事を永遠とこなせば生きられる。
だが今はどうだろう?生きる為には物を買うための金が必要だ、その為に仕事をしなければならないが、亜人である俺は依頼の殆どが受けれない。やっとの思いで造った金で物を買い求めても売っては貰えない。コレでは餓死するのを待つだけだ。
そう餓死するのを待つだけ。
数年ほぼ自給自足の生活を続けていた俺だが、やはり限界は迫っていた。
疲れ、痩せこけ、もはや依頼をこなすだけの体力も、獲物を狩るだけの力も無くなっていた。
後は死を待つだけだ。
はははっ、空腹で死ぬのってこんなに気持ちの悪い物なんだな。
あぁ、親父、お袋、もうすぐ会えるかもなぁ。
そんな事を考え、生きることを諦めようとしたその時だった。
「なぁお前、俺と来ないか?」
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人間はいつも見栄を張る、欲を張る、いつだってそうだ、今回も。
人間は我々亜人に負けたのだ。
だというのに。
ヴァリエンテ王が慈悲をくれたのだ。
それなのに。
どうしてこうも認めようとしない?人間は亜人に負けた、戦争は終わった、それでいいじゃないか。なぜ我々を迫害する?なぜ我々を目の敵にする?仲間や家族が殺されたのはコッチだって同じ事だ、だからこそお互い許し合わなければならないと言うのに、どうしてこうも敵視する!また戦争がしたいのか?また地獄が見たいのか?
私達を冒険者などと言う雑用に無理矢理ねじ込み、その雑用すら碌に受けさせる気はない。そんな能登をして楽しいのか!
民も分かっていない、お前らが亜人を迫害するその行為がまた負のスパイラルを生むのだ!なぜそれが分からない!なぜ我々エルフのように静かに暮らせない!なぜ静かに暮らさせてくれなんだ!
なんて、愚痴を言っても…いや考えても無意味か、何せ私はもう時期死ぬ。
こんなご時世だ、仕方ない事なのか?もはや普通の感覚と言う物が分からん。
誰も助けてはくれない。
私は助からない。
その筈なのに…
なんだコイツは?
青い髪、青い目。合わせたのか青い服を着た身長168程の青年。
私に手を伸ばしてきた青年だ。
左手には反りの浅い曲剣が握られている。冒険者だろう。
彼は人間、亜人である私に手を差し伸べる理由はなんだ?
パッと考えられる理由は精々二つ。
一つ、私を冒険者として働かせ、自らのランク上げをする。要は虎の威を借る狐だ。人間よりも力か魔力のどちらかが強い亜人をパーティに入れば、それはそれは捗る物だろう。実際「依頼を受けさせてやるから」と言って亜人にたかる連中も多いそうだ。エルフである私がパーティに入れば確かに魔法と弓でこの中肉中背の人間よりは戦力になるだろう。
そしてもう一つは性的な目的だ。亜人は基本人間から嫌われている、しかし、エルフは人間からすると恐ろしく顔が整っているらしい、我々には分からないが人間にはそう映るそうだ。なので中にはそう言う物好きもいると聞く、まぁこの青年がこっちの目的ならある意味将来有望だな、ははっ。
まぁ上がってくる理由なんてこの程度の物。
しかし、私に選択権はなかった。今は死を待つだけの身、そんな所に生きる希望を見せられたのだ。縋り付くしかあるまい、少なくとも私はそうする。
戦争で捕まり、奴隷として働かされた、人間への恨みも憎しみもある。本来なら助けられるなど末代までの恥、死んだほうがマシだと蹴るだろうが、いざこうやってジワジワと迫る死を前にすればこの心情だってまる代わりだ。
情けない、終戦したとは言え、敵に助けられるとは。
だが今は死にたくないと言う気持ちが勝っている、だから私はこの青年について行く、例えどうなろうとも。
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な~んて考えていた自分が馬鹿らしくなるくらいこの人は優しかった。
食事はくれるし、装備も新調してもらった、宿さえ無料で貸しくれる。そこに悪意や打算は一切感じられないから凄いよねぇ、不思議だねぇ。
でもぶっちゃけ人間が亜人にここまですると奇行だよ?
それでこの人の奇行はまだまだ続く、僕らにそこらの亜人を集めてくれと頼むと、集めた亜人に仕事を与え始めた、戦える者には依頼を受注できる様にして、戦えない者には彼の所有物だという店の店員にした。
まぁ、亜人が働いてる店なんて人間の客は来ないからもっぱら僕達が使ってるんだけどね。
戦える人にはアドバイスをくれるし、僕なんて特注の棍をもらっちゃった。
どうやらこの人は他の人間と価値観が全く違うみたい、しかもお金持ち!まるで聖人だね!まぁ、変な人だけど。
とにかく、彼、ブルー・アルトリオさんのおかげで僕達は元気に暮らしてるんだ。
でも不思議な事もある。ブルーさんが何者なのかサッパリ分からないんだ。出身、経緯、素性、全部不明。分かっているのはブルー・アルトリオって言う名前と冒険者ランクがEって事だけ。
僕達を養うだけのお金がどこから出てるのか、なぜ亜人を抱えてるのにここが潰されないのか、そしてブルーさんはどんな環境で育ったのか、ぜーんぶ謎。
ただ、今まで接して来て分かった事もある、それはこの人が良い人って事と、面白いって事と、多分だけど凄く強いって事かな?
まぁ、こうやって暮らしていける事が感謝で一杯だから、ブルーさんが何者でもどうでもいいんだけどね。兎に角僕たちは元気ですよ〜と。
またね。
う〜む、国語能力が足りない…上手く表現できひん…駄文で申し訳ありませぬ。




