↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普段高校生ゲーム実況者として活動している俺だが、最近仲良くなりつつあるVTuberが3人とも幼馴染だった件について。  作者: 水鳥川倫理
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/40

第38話、交錯する銃弾と阿吽の呼吸。

『Crisis Sector - Official Scrim Match 1』


画面が暗転し、荒廃した未来都市のマップが広がった。

戦場に降り立った瞬間、俺の脳内スイッチが完全に切り替わる。


「降下ポイントは予定通り『カルデラ発電所』。周辺に敵パーティ二組確認。右側の給水塔に一組、正面の格納庫に一組です」

「私、格納庫の物資漁ります! 武器拾ったらすぐカバー入りますね!」

「わたくしは給水塔側の射線を切る位置にスモークを張りますわ」

「……ん。……スナイパーライフル、拾った。……給水塔の敵、頭狙撃できる」


言葉を交わすテンポが、異常なまでに早い。

各々が自分の機材や部屋でモニターに向かっているはずなのに、まるで同じ部屋で肩を並べてプレイしているかのような錯覚を覚える。


「美桜さん、そのまま牽制を頼みます。遥さんはスモーク展開後、僕と一緒に格納庫の敵を挟み込みましょう。鈴香さんは正面からヘイトを集めてください」

「任せてくださいっ! 暴れてきます!」


鈴香のキャラクター『ルミナス』が、派手なエフェクトを纏って格納庫へと飛び込む。


ダダダダダッ!


激しい銃声が響き渡る。

敵の足音が交錯し、ボイスチャットに鈴香の焦ったような声が入る。


「うわっ! 敵二人いました! ショットガン持って突っ込んできます!」

「焦らないで。僕が左から行きます」


俺のキャラクター『ブレイズ』が壁をスライディングで抜け、敵の側面に躍り出た。

マウスをミリ単位でコントロールし、精密なヘッドショットを叩き込む。


『Shiizaki KNOCKED DOWN Enemy_01』


「ナイス椎崎さんっ! 残り一人、私が——」

「待って、鈴香さん右の壁裏にクレイモア(地雷)がある!」

「へっ!? キャーーーーーッ!?」


ドォォォン!


叫び声と共に、鈴香のアバターが爆風で宙を舞う。


(……はは、やっぱりドジ踏んだ)

俺は思わず口元を緩めた。この土壇場でのちょっとしたドジ。どこか既視感がある。

学校で「碧、今日のテスト余裕だったわ!」と胸を張った直後に、名前を書き忘れて落ち込んでいた七瀬の姿がオーバーラップする。


「……バカ。……何回引っかかるの」

美桜の呆れたような声が響くと同時に、給水塔の敵スナイパーが撃ち抜かれる音が響いた。


『Mio_Hibarigawa ELIMINATED Enemy_02』


「美桜ちゃんひどい! でも助かったぁ〜!」

「鈴香さん、動かないでくださいまし。今、蘇生いたしますわ」


遥が素早く煙幕を炊き、鈴香のもとへ滑り込む。無駄のない、完璧なカバーリングだ。この冷静沈着で包容力のある立ち回りは、学校で生徒会副会長としてテキパキと仕事をこなす椎名の姿に重なる。


(いや、ダメだダメだ。ゲームに集中しろ)

俺は首を振って思考をクリアにした。


「敵パーティ全滅。物資を回収して、第1エリアの安全地帯(アンチ)へ移動します。次は山岳エリアの『ラジオタワー』を確保しましょう。ここを取れば勝率が上がります」

「「「了解!」」」


四人の連携は、試合が進むにつれて研ぎ澄まされていった。

プロチーム『Vortex』や『Red Knights』といった強豪がひしめく中で、俺たち『Team D』は一切の隙を見せなかった。


「前方、岩陰に敵三機!」

「遥さん、ウルト(必殺技)で炙り出せますか?」

「お任せあれ! 天の雷よ、穿ちなさい!」


遥の呼び出しにより、空から巨大なレーザー照射が降り注ぐ。岩陰から飛び出してきた敵を、俺と鈴香の集中砲火が捉える。


「逃がさないよっ! 弾けちゃえ〜!」

「ラスト一機、美桜さん決めろ!」

「……ん。……貫く」


ズドン!


重厚なスナイパーの銃声が響き、最後の敵が倒れ伏した。


画面いっぱいに躍り出る黄金の文字。

『VICTORY! - CHAMPION』


「よっしゃぁぁぁぁぁっ! 1試合目ドン勝(チャンピオン)ですっ!」

鈴香が大はしゃぎでマイク越しに叫ぶ。

「ふふ、素晴らしい采配でしたわ、椎崎様」

遥が感嘆のため息を漏らす。

「……椎崎の指示、完璧。……撃ちやすかった」

美桜も珍しく素直に褒めてくれた。


「皆さんのおかげですよ。完璧なカバーでした」


俺は額の汗をタオルで拭いながら、素直に感謝を口にした。

強い。本当に強いチームだ。

ソロで活動していた頃には味わえなかった、背中を完全に預けられる安心感。

この三人とチームを組めたことは、俺の実況者人生においても最高の幸運だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。