表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/20

寂しそうな笑顔

「……---ナお嬢様、ルシャーナお嬢様。おはようございます。」


ルシャーナは自分を呼ぶ声に気付き、目を覚ました。

のそのそとベッドから起き上がると、メイドのライアが側に立っていた。

まだ意識がまどろんでいる中、ぼーっとライアを見つめる。


「ライア…おは…、え?おはよう??」


ルシャーナは驚いて窓を見ると、眩しい朝日が差し込んでいた。

どうやら昨日疲れて寝てしまって、そのまま朝になってしまったようだ。


「ルシャーナお嬢様。昨夜、お声がけしたのですが、ぐっすりと寝ていましたので…。

 旦那様にご相談し、そのまま寝かせておこうとなりました。」

「そうだったのね。さすがに寝過ぎね、私。」


ルシャーナはエヘヘと笑うと、ライアの目にはどんどんと涙が溜まっていき、ポロリと一粒零れた。


「ルシャーナお嬢様…、本当にご無事で良かったです。」

「ライア…。」

「失礼致しました。さぁ、お着替えを致しましょう。」


ライアは手の甲で涙を拭き、笑顔でルシャーナの身支度を整え始めた。

髪を結ってもらいながら、鏡に映るあどけなさが残る12歳の自分を見る。

別荘に行く前と今とでは、顔つきが変わったようにも感じる。


(私の事を心配して泣いてくれる人たちがいる…

 自分のためだけじゃなく、心配してくれる人たちのためにも頑張る!

 まずは法律の勉強をして、婚約破棄と相続について対策を練らなきゃね)


4年後も無事に屋敷に帰ってこないといけないと、ルシャーナは強く思った。

身支度を整えて、両親が待つ食堂にライアと一緒に向かう。


「ルシャーナ、おはよう。よく眠れたようだね。」

「お父様、お母様、おはようございます。寝すぎてしまいました。」

「お腹が空いただろう?まずは朝食を食べよう。」


父親のルーカスが合図すると、朝食が運ばれてきた。

目の前にルシャーナの好きな物が並び、お腹がぐぅっと鳴った。

ほぼ丸一日何も食べていない状態だったため、すごくお腹が空いていたんだと気付いた。


「料理長にルシャーナの好きな物を頼んでおきました。」


ルシャーナを見て、母親のシエナがほほ笑んだ。


「お母様…嬉しいです!」


ゆっくりとスープを飲むと、少しずつ空腹が満たされていくのを感じる。

朝食を半分ほど食べたあたりで、ルーカスに別荘で起きた事故について聞かれた。


「ルシャーナ、別荘で何があったんだい?

 大体の事はフレデリック様からの一報に書かれていたが、ルシャーナから話を聞きたい。」

「お父様…。」


これ以上、両親に心配をかけたくなかったが、ボートから湖に落ちた事故の事を話す。

公爵家にフレデリックの言い分で話が伝わっていると、こちらの対応次第では関係が悪化するかもしれないからだ。

本当はフレデリックから誘われて手を取って立ち上がったが、私が勝手に立ち上がったためボートが揺れて落ちた事になっているとも伝えた。

確証がないので、フレデリックに手を押すように振りほどかれた事は言わなかった。


「ルシャーナ…。つらい思いをしたんだね。

 別荘に行く前とどことなく雰囲気が変わったと、シエナとも話していたんだ。

 急に大人になったような…。」


昨日は少ししか話せなかったが、ルシャーナの些細な変化に気付いていた事に驚いた。

シエナの顔を見ると、寂しそうな笑顔でルシャーナを見ていた。

急いで大人にならなくていいんだよと、言っているようだった。


その後は誰も会話する事がなく静かに食事が進み、食後の紅茶が出てきた。

ルシャーナの話を聞いてから、ずっと難しい顔をしていたルーカスが口を開いた。


「ルシャーナ、この婚約が提案された時、伯爵家には断る事が出来なかった。

 だが、今の話を聞いて婚約破棄の申し出ようと思う。」


ルーカスがルシャーナの事を第一に考えて、行動に移そうとしてくれている事は嬉しい。

でも、今ここで公爵家に婚約破棄を申し出て、伯爵家が不利になるような事は避けたい。


「お父様、婚約が決まった時は嬉しかったです。毎日夢見ているような気持ちでした。

 フレデリック様と上手くやりますので、こちらから婚約破棄の申し出はしないでください。

 お願いします。」


(4年後に『フレデリック様と上手く婚約破棄します』…の方なんですけどね。

 俄然やる気が出てきたわ!)


ルシャーナは両親に向けてにっこりとほほ笑んだ。

読んでくださってありがとうございます。

コメント、評価、ブックマーク、ありがとうございます。

とても嬉しく思っています。感謝です。

これからも頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ