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止まった馬車

『さぁ、到着しましたよ。何が起きるか楽しみですね。』


馬車が止まり、ルシャーナの頭の中にサディムの楽しそうな声が響く。


(大丈夫、大丈夫…)


おそるおそる目を開けると、馬車の窓からエイファート家の屋敷が見えた。

ずっと帰りたいと思っていた屋敷に無事に帰れた事に安堵する。

御者に手を貸してもらい馬車から降りると、丁度ルシャーナの両親が屋敷から出てきた。


「ルシャーナ!!」


ルシャーナの姿をみて駆け寄ってきて、ぎゅっと強くルシャーナを抱きしめる。

抱きしめる力の強さに、どれだけ自分の事を心配していたのかが分かり胸が苦しくなった。


「本当に…本当に無事で良かった。」


自分を案ずる声が少し震えていて、ルシャーナは両親の腕の中で涙が零れた。

両親の元に戻ってこれて本当に良かったと思った。


「…お父様、お母様、心配かけてごめんなさい。」

「謝らなくていいんだよ。無事だったらそれだけでいいんだ…。

 ルシャーナ、疲れているだろう?部屋で休んできなさい。後でゆっくり話そう。」

「はい。そうします。」


今すぐにでも話したい事や聞きたい事があったと思うが、ルシャーナの身体を優先してくれた。

ルシャーナは自分の部屋に入り、ベッドに倒れ込んだ。

自分の身体に合った寝具が心地よくて、目を閉じると寝てしまいそうになる。


(やっぱり自分の部屋は落ち着く…このままだとまた寝てしまう)


むくりと起き上がってベッドに座り直し、これからの事を考える。


(大きな分岐点は4年後の婚約破棄ね…)


フレデリックの19歳を祝う夜会で、ルシャーナは婚約破棄を言い渡される。

まずは、4年後までに尽力して婚約破棄を回避するか、婚約破棄を回避しないか。


(答えは決まっている…婚約破棄を回避しない)


ルシャーナの中にフレデリックへの恋心が残っていたら違ったのだろうけども。

恋心が消えてしまった今、フレデリックとの婚約破棄は喜ばしいくらいだ。


(婚約破棄後の行動に注意しないとね。

 それと、横領の罪が付いてくるのをどうにかしないと…)


フレデリックが婚約破棄を言い出しても、ルシャーナの非が理由だと言い出したら意味がない。

もし公爵家から賠償金請求されたら、無実を証明しない限り支払い義務が出てくる。


(潔白を証明するにはどうしたらいいのかしら…)


ルシャーナは唸るほど考えたが、何をもって横領と言い出したのか分からない。

婚約期間が5年の割に、フレデリックと会う事が少なく、思い当たる節もなかった。

これからは誘われても全て断ろうとも考えたが、婚約破棄の理由に『婚約者の務め不履行』が付け加えられる可能性があると思った。


(難しい…断れそうなものは断って、後は気を付けながら参加するしかない)


本当なら今すぐ婚約破棄するのが一番早い解決策だが、立場的に伯爵家から公爵家へ婚約破棄を申し出るのは難しい。

慰謝料としてお金か同等額の領地の一部を求められるかもしれない。


他にもいろいろと考えなければいけない事が沢山あったが、ルシャーナの身体が疲れていると訴えてきた。

ばふっとベッドに仰向けに倒れ込み、4年後までに出来る事は全てしておきたいと思いながら瞳を閉じた。

読んでくださってありがとうございます。

コメント、評価、ブックマーク、ありがとうございます。

とても嬉しく思っています。感謝です。

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