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消えた恋心

ルシャーナはメイドたちに手伝ってもらい、ゆったりとした身体に負担の少ないドレスを着た。

髪は結う事をやめてもらい、櫛だけを通してもらった。

準備が終わり、アルバートが来るまでソファに座りながら待つ。


メイドが用意してくれた紅茶を飲んでいるとアルバートが部屋に戻ってきた。

馬車の準備が整ったので、荷物の搬入を始めるらしい。

アルバートの指示を受け、メイドたちがテキパキとルシャーナの荷物を運び出す。

あっという間に荷物が運び出され、後はルシャーナが馬車に乗り込むだけとなった。


自分の荷物が運び出された客室を見渡した後、アルバートに感謝を伝える。


「アルバート、いろいろとありがとう。湖で助けてもらったお礼がまだでしたよね。」

「いえいえ、ルシャーナ様。フレデリック様がいち早く気付いて的確な指示があったので、私も迷わず飛び込めました。」


(さ、さすが、公爵家の執事。さりげなくフレデリック様の手柄に…)


「ええ、フレデリック様にも感謝していますわ。」

「では、馬車に移動いたしましょう。」


ルシャーナはこくりと頷いて、アルバートと一緒に馬車まで移動すると、フレデリックが見送りに来ていた。


「ルシャーナ、もう帰るなんて寂しいな。また遊びにおいで。」


(私が帰っても寂しくはないでしょう…)


本当ならルシャーナは別荘に後3日間滞在する予定だった。

でも、もう少ししたらフレデリックが招待した公爵家の友人たちが別荘に遊びに来るのだ。

フレデリックは友人たちとばかり過ごしていて、ルシャーナは部屋で『療養』と言う名の一人時間を過ごしていた。

きっと、婚約者と一緒に別荘で過ごしたという実績が欲しかったのだと思う。


(いけない、いけない。卑屈にならない事!)


ルシャーナは自分自身に言い聞かせ、フレデリックに笑顔で挨拶する。


「フレデリック様、自宅に戻りゆっくり療養致しますね。」


少しぎこちない笑顔だけども、体調が悪いせいだと受け取ってもらえるだろう。

ゆっくりと馬車に乗り込み、窓からフレデリックに手を振る。

フレデリックも満面の笑みで手を振り返してくれたが、ざらりとした嫌な感じが拭えなかった。


馬車が動き別荘から離れると、身体の力が抜けホッとするのを感じた。。

ほんの僅かな時間だったが、フレデリックの前で12歳の婚約者として振舞う事に緊張していたのかもしれない。


屋敷までは時間かかるので、馬車に揺られながら窓から外の景色を眺めて過ごす。

夏の太陽の光が眩しく輝き、晴れた空の青色と草原の緑色がとても綺麗だったが、

別荘へ向かう時のふわふわと夢のような中にいた時とは見え方が違った。


(前はもっと輝いて、もっとキラキラ見えていたのにね…)


ルシャーナは自分の中の恋心が消えている事を実感した。

もしかしたら、景色が違って見えるような恋はもう出来ないかもと思った。


窓から見える景色がどんどんと流れ、見覚えのある風景に変わった。

屋敷までもう少しと思ったときに、例の分岐の脇道が見えた。


(あの脇道は…)


ルシャーナはサディムの事を思い出し、全身がぞわりとして背筋に冷や汗が流れた。

思わず目をぎゅっと瞑って、脇道を通り過ぎるのを待つ。


(大丈夫、大丈夫…まだ何も起きない)


呪文のように大丈夫と自分に言い聞かせた。

読んでくださってありがとうございます。

コメント、評価、ブックマーク、ありがとうございます。

とても嬉しく思っています。感謝です。

これからも頑張ります。

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