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キルユー キルミー!  作者: 星崎咲也
殺し屋の日常
29/50

殺し屋と不死鳥の休日 その6

「ほーら、ほーら!」

 瘡鷺かささぎと名乗った男は鉈のような刃物を取り出しブン回す。

 揺れながら彼は道路を右往左往する。

 しかも、かなりのスピードで。

 俺は少しずつ距離を取る。

「死神様がびびっていたら格好つかねーんじゃないー?」

「そんな馬鹿みたいな挑発には乗れねーな」

 俺は口を叩くが、実際に反撃に転じるのにも困難である。

 瘡鷺の鉈は道路いっぱいまでの射程を持ち、次第に超高速で回り続ける。

 っていうか、あいつよくこんなに動きながら喋ることができるのか不思議でならない。

 出来るだけ後ろに下がらないよう左右に避けながら瘡鷺の追尾を逃げ回るが、あまり離れすぎると今度は未来が狙われないか心配なので、一定の距離を保たなければならない。

 と、彼の弱点に気がついた。


 俺はポケットから獲物を隠し持ち、構えた。

「鬼ごっこは終わりなのかー?」

「ああ、終わりだ。お前を倒せる準備ができた」

 何を言いだすんだ、と瘡鷺はさらにスピードを早めながらこっちに突っ込んできた。

 そして、俺は鉈が当たるギリギリのところで跳躍した。

 足のバネを全力で使ったジャンプは予想以上によく飛び、瘡鷺の頭上に軽く辿り着く。

 左右の動きで翻弄してくるのなら上からの攻撃なら反応できないはずだ。

 しかし、

「やっぱりそうくると思ったよー!」

 瘡鷺は鉈を徐々に上に動かせて速度はそのまま、鉈を俺に向けてきた。

 俺のナイフではさすがに鉈は防ぎきれない。

 彼の身体は捩り続け上下左右と鉈を振り回す。

 そうか、彼は恐らく軸を異常なまでに動かせるよう改造されたのだな!

 とにかく今は勝負に出るしかない。

 俺は鉈が真下にくる瞬間、足を伸ばして蹴り飛ばす。

 靴が切られるかどうか不安だったが、意外と切れ味は悪かった。

 斧のように重さで切るタイプなのかもしれない。

 とにかくもう一回飛び後ろの方に着地する。

 そして距離が離れた瞬間、俺は左手に持っていたボタンを押した。

 ドゴン!

 道路の中央で煙が膨れ上がる。


「あーあ、これ結構な値段かかるんだよ」

 俺は被害を確認する。

 爆発をモロに受けた瘡鷺はすでに肉片となってかなりの距離まで飛び散っていた。

 最初に飛んだ時、俺は裏から隠して爆弾を投げたのだ。

 俺自身を囮にしておけば、なかなか足元には気がつかないと思った次第である。

 それにしても、なんだか強い相手な割には呆気ない最期だった。


 ふと後ろを振り返ると、目をキラキラさせながらこっちを見る未来の姿がそこにはあった。

「……爆発でお前が死ねると思うか?」

「いえ、恐らく肉片がどんどん集まって再生すると思います」

 口は真っ直ぐのまま目だけ輝く彼女は、何か他のものに興味を持っているようである。

 …まさかこの死体に唆るとでも言いたいのか⁉︎

「いやいや…ひかるくんのその技術と臨機応変な考え方がすごいなぁって思っただけです」

「そう言われると嬉しいけど、人殺しはそんなに良いもんじゃねーよ?」

 殺し屋に憧れるのは人として危険が強すぎる。

 まあ、未来は人並みの人生を歩んでいた訳でもないから気持ちは分からなくもないが。

「さあ、帰るぞ」

 俺は獲物をしまい、彼女と繋いで帰路につく。

 こんな呪われているような手でも出来ることがあるのなら、

 俺は地獄にだって飛び込んでやる。

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