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キルユー キルミー!  作者: 星崎咲也
殺し屋の日常
28/50

殺し屋と不死鳥の休日 その5

 電車が駅に着いた頃にはすっかり日も暮れていた。

 元から人通りが少なかった道を俺たちは荷物をゆっくり降りながら帰る。

「今日は楽しかったですね」

「そうか、お前がそう思うなら良かったよ」

 最初の目的を忘れている気がするけど。

 未来は2ヶ月前に出会った時の、あの時より表情が全然違う。

 依頼された日、未来は微かな希望を抱いた虚無の顔をしていた。

 しかし、今は心の底から楽しんでいるように見える。

 彼女は変わっていく、あの辛い思い出から抜け出していく。

 だから、見守っておかなければ。

 いつか、殺せるようになるまで。



「さて、そろそろ出てきたらどうだ?」

「?」

 俺は後ろの電柱の方に声をかける。

 未来はキョトンとしているが仕方がない。

「よく分かったな、流石天下の死神様だ」

「褒めても何も出ないし、死神はお天道様に顔向けできねーよ」

 俺は影から出てきた男に言い放った。

 未来は俺の背後に回し、すぐに臨戦態勢に入れるよう準備する。


「少しは落ち着きなよー、一体どこから気づいていたんだ?」

 男は獲物は出さず、のらりくらりと揺れながら尋ねてきた。

「図書館を出たところからだ」

「始めから尾行を分かっていたということかよー」

 なんだか自身無くすわー、とため息をつく。

「で、お前は誰だ?一体何故つけている?」

「質問は俺がしている所なのに待てねーのかよ…っていうか、大体想像はつくだろうよー」

「研究所の人間か?」

「まあそういったところだな、ただし『研究されるモルモット』の人間だが」

 と、彼は体の揺れを大きくさせる。


「じゃあお前も犯罪者か、殺しても問題ない人間だな」

 2月に会った時、最初に襲ってきた殺人鬼を思い出した。

 改造手術を受けていて、確か関節の可動域を増やしていたはず。

「殺していい人間なんているわけ無いと思うけどよー」

「じゃあお前は人を殺していないのか?」

「殺してなかったら今頃こんなことしてねーよー」

 あっそ、殺人を悪いと思っているのか。


「とりあえず、やるならさっさとしよう」

「だーかーらー急かすなよー、人生まだまだ長いんだよー?」

「殺人鬼が何を言ってるんだ」

 俺は早く帰って風呂に入りたいんだ。

「ちぇっ、じゃあやりますかー」

「では、改めて名乗らせていただこう、死神のライトだ、お前を殺す」

宰場瘡鷺(さいばかささぎ)、貴様を殺させてもらうよー!」

 男の揺れが止まった。

 俺はパーカーのフードを被って、内ポケットの中に仕込んでおいた三日月のナイフを取り出す。

 もうすぐ夜が始まる。

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